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80話 真実は小説よりも 嫌です…

 話は少し遡って魔穴内――――


 歌いだした古竜達の足元に黒い穴が広がっていき、古竜達も少しずつ人数を増やして手をつなぎ、輪を大きくしていきます。

 でも、そうなると薔薇怪獣をひきつける役が減るわけでして。

 当然私ものんびり走っていられないわけでして…


「ギュギヨパ~!」


 変な声と主に地面を蹴り、飛び上がって蔓を避けます。

 

 ボス戦再びです!


 リーリア レベル2 (ぐらいにはなってるでしょうか?)

 武器 尻尾

 技  花咲か爺さん 尻尾アタック 全身アタック

 装備 何も持っていない


 無理でしょう! どうやって戦うですか!

 自分を分析した後は必死に逃げます、右へ左へ上へ下へ 

 右左右左BA …何のコマンドですかっ! BAてどこ逃げるですか!


 一人ボケ突込みしてしまいました。というのも、もうすでに周りに古竜いないんです! 一人ぼっちでひきつけてるんですよ! パニックにもなると思いますっ。


「まだですか~!?」


「「そろそろいいよ~!」」


 古竜達の集団から声がかかりましたので穴に向かってまっしぐらです。ですが、手をつないだままでは皆さん薔薇怪獣に蹴散らされます。


「避けてください! 潰されますよ!」


 ぽてぽて走る私と皆の距離はかなり縮まっております。手を繋いだままでないと穴が保てないなら、このままでは皆さん蔓の鞭に滅多打ちにされます。そのあとは本体に蹂躙されて草一本ここにはありませんが残らない状態になるのですっ。


「何言ってるんだ、我々は『こ』竜であるぞ、飛べばよいのだ」


「薔薇怪獣は30センチではないと思いますよ!?」


 そう反論したときにはすでに彼等は目と鼻の先、私はそのまま彼等の腕を飛び越えて穴へと飛びます。


「我等は『こ』竜。真の姿になれば空だって飛べるのだー!」


 もう誰が話しているかはわかりませんが、久しぶりに外に出られることが嬉しくてテンションがあがっているのだと思います。がはははは~って笑ってますから。

 彼等を見やれば、すでに薔薇怪獣の鞭の射程圏内。


 もう駄目です!

 

 鞭が振り上げられた時、古竜達が光だし、光の柱が立ちます。


「あ…あぁっ!!」


 私は穴に落ちる寸前、真の古竜の姿を見てしまいました。そして、そのまま突っ込んできた薔薇怪獣に一人捕えられ、そのまま落ちて行ったのです…。



_______________



と、いうわけで戻ってきましたよ下界~!


 非常に不本意です。この姿は不本意。

 

 胴体は薔薇の蔓に巻かれ、手足を犬掻き状態で動かすが、宙しかかけません。そうしている間にずしんと地面に落ちた薔薇怪獣は、ぶおんぶおんと音を立てながら鞭を振るいます。

 そうなると、当然私も振り回され、時々地面に叩きつけられます。


「ギャプッ! ギョフッ!」


 私はハンマーではありませんよ!

 丈夫でなかったら私は今頃血みどろですね。恐ろしい…。そして騎士の皆さん私を避けてください。そこ危ないです、叩き潰されますよっ。

 ひやひやしながら薔薇怪獣の足元を逃げ惑う騎士達を見つめます。

 

 ぶ~ん・・・


 音に反応して魔穴を見上げれば、薔薇怪獣の後から羽虫が飛び込んできます。


 あれ…実は…


 古竜なんです。


 そう。古竜の真の姿というのは


 虫だったのです!


 虫いやああああああああ~!!


 この叫びは口からも出てました。


 ザッ


 小気味いい音と共に私の体は蔓と共に地面に落ち、ぶちゃっと地面に衝突しました。

 どうやらウィルシスによって蔓が斬られたようなのですが、ここって普通、ヒロインが空から降ってきて、助けたヒーローがお姫様抱っこでキャッチするという王道のワンシーンになる予定ではなかったのでしょうか?

 私蔓と共に落ちましたよ? 結構高かったですよ? 顔潰れたですよ?


「リーリア、ケガはないか?」


 腹に巻かれた蔓を裂き、ウィルシスが私を抱き上げます。しかし、私の心はただ今どす黒いです。


「けがする高さでしたよ?」


「けがしないよね?」


「愛する人はキャッチするものですよ?」


「蔓に棘が付いてるから無理だよ」


 オノレ反ヒーローめ!

 ギラリと睨みつけると、ちゅうっと唇…はこの姿だとわかり辛いので顔ということにしておきましょう、顔にキスされました。


『あら~、その子がウィルシスちゃん? かっこいいわね~』


 念話で話しかけてくるのはリアーナです。しかし、姿が小さすぎてどこにいるのかわからないんです。

 私はきょろきょろと辺りを見回しました。


『ここここ、手を広げてみて』


 古竜の紅葉(もみじ)のような小っちゃい手を広げると、そこにぶい~んと嫌な音を立てて、虫ならぬ豆ちび古竜が乗っかります。


「リア?、何してるの?」


 私はウィルシスに掌を差し出しました。


「これが『こ』竜の正体です」


「は?」


 ウィルシスは目をまん丸くしております。無理もないでしょう。私の掌に乗っているのは、ハエ程のサイズの古竜の姿なのですから。

 要するに、古竜の多くは隠れていたわけでなく、見つからなかったんだと思います。だって、こんな小さいのが真の姿だそうですし。


『初めまして。『蠱』竜のリアーナです」


「は?」


 呆気にとられるウィルシスの腕の中で、私は再び声を上げた。


 虫は嫌あああああぁぁぁぁぁぁ~!

リーリア「虫でした…よりにもよって虫…」


むしと書いて「こ」竜と読む。




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