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8話 人間との遭遇

 ついに人間とのご対面のときが来ました!

 よくよく考えたらフィーラは鳥犬ですし、クロちゃんは例の種族、そう、黒エルフですものね~。人間じゃあないんですよ。

 

 わくわくドキドキの朝を迎え、クロフさんより小さめの腕輪をもらいます。

 守護の腕輪というそうで、世に出回る竜退治用の武器での攻撃を軽減してくれるそうです。安心ですね。

 

『ところでクロちゃん、ナゼに抱っこではないんでしょう』


 移動は私の足では遅い、というのはわかります。ですが、なぜ私はフィーラに(くわ)えられて運ばれているのか。


「フィーラがお前を気に入ってるからだろう」

『これ、愛情表現ですかっ?』


 フィーラの背に乗るクロフさんに目をやれば、彼はついっと目を逸らします。

 よもや食べられかけてるんじゃあるまいな?。時々フィーラの舌がベロンと体に当たるんですよ??


「フィーラ、街道だ」


 不意にクロちゃんが目を細めてフィーラに命じます。フィーラは心得たとばかりに向きを変えると、私を加えたまま構えるような低姿勢から一気に空へと飛びあがりました。

 あっという間に高い森の木々を抜け、空へと飛びだします。が、いまだ上空5センチしか飛べぬ私にこの高さはハードルが高すぎます!命綱無しです!いまだかつてない恐怖!


『にゅあえおぉぉぉぉぉっ』

 

 奇妙な叫びとともに、私の中の野生が再び犬掻きをはじめよというのですっ。

 

 バタバタバタバタ


「落ちるぞ」

『怖いんですよっ!』

「竜なのに?」

 

 普段散々竜らしくないとか、最弱だとか、いろいろいろいろ言って(無表情の視線を自分がそう感じているだけで言われてはいない)くれてる人がここで竜としての何かを求めるんですか!

 涙目で訴える私に、クロちゃんは呆れた溜息を吐くと、フィーラの首を軽くポンポンと叩きました。


「ピギャアアアアアアアアッ!」


 確実に脳内と実際の声が重なったようです。悲鳴は森の上空に響き渡ります。

 私はというと、フィーラにぽ~んとさらに上空へ投げ飛ばされ、そのままクロちゃんの腕の中へとキャッチされたのですが、その瞬間にはがくりと気を失いました。



 ___________



 どれくらい経ったでしょうか?気を失っていたのでわかりませんが、何やら叫ぶ声と悲鳴に起こされ、目を開ければ、森の影になっているところで、フィーラの頭の上に乗せられていたらしい私はぼてっと落ちました。


『何事ですか?』

 

 悲鳴や怒号というのでしょうか、いまだかつて聞いたことのない音にびくびくしながらきょろきょろと辺りを見回します。


「村が盗賊に襲われている」

『ぬなっ?』

「沼?沼はない」

『びっくりしすぎて言い間違えたんですよ!なぬっ?です!じゃなくて、何突っ立ってるですか!助けに行かねば!』

 

 じたばたしながら訴えれば、クロちゃんは首を傾げる。


「人間をか?」


 お…おぉう、クロちゃんはあれですか、迫害の歴史から人間に怒りを抱いておるのですね。(思い込み)


『悲しい歴史や怒りはそれをこらえて歩み寄る偉人によって覆されるものですよ!さぁ、一歩前へ!』

「よくわからんが、頑張れ」


 わ・た・し・がですか~っ?

 はっ、でも言われてみればそうですね。他力本願ではいけません。ここは大人の私がお手本を見せるときです。

 

『て、敵は本能寺にあり~っ』


 歴女じゃないですよ?脳内の強い言葉が勝手に念話として外へ出るだけですよ?。

 私はうおぉぉぉっと本陣へなだれ込む武士達を思い浮かべながら声のする方へと走り出し、森の低木をガサリと抜けた。


ドドドドドドッ!

 

 「一隊は右へ!二隊は左、一人も逃すな!散開!」


 叫び声とともに目の前を馬の脚がいくつも通り過ぎ、驚いて私は尻餅をつく。

 何事?


 すっかり勢いがそがれて村の方へとそのまま首を向ければ、馬に乗ったきらびやかな人達が統制のとれた動きで村で暴れる荒くれ達へと立ち向かうところだった。


 

 味方ですかね?

 

 

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