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78/95

78話 ただ今悪化中

ありがたいことに消えたお話が戻ってまいりました

新しく書き直したお話は残しておきます 78・5として次話に

見比べたい方は78・5話もお読みください 

どうでもいい方は次の話は飛ばしてくださいな~

……悪化した。


 さすがは否定の感情でできたキューブだけあります。

 まさか植物の存在まで否定されるとは思いませんでしたよ!


「キュアアアアアア!」

「ギュルエェェェェェ!」


 うねうね、ビシビシと動くのは薔薇の怪物。もしくは怪獣としか言いようがありません。

 薔薇は蔓だけで己を支え、しなる蔓の鞭をあちこちに振り降ろしながら移動までやってのけるのです。

 しかし、古竜も負けてはいませんよ。飛んだり跳ねたりスライディングしたり、あちこちに散らばって悲鳴を上げつつ逃げ惑います。いまだ誰もあの蔓の餌食にはなっておりません。とはいえ

、そろそろ薔薇も苛立っているようで、攻撃が激しくなってまいりました。


 かくいう実況者である私は、いまだあの桜の直線状から動かず古竜達の姿を見つめております。この事態の原因ではありますが、人間よりもさらに大きく、竜一頭に匹敵する大きさの薔薇怪獣に何をなせと?


「なんとっ、我らがかっちょ良い登場シーンを考えている間に敵がおるではないかーっ」


あ、黒古竜4頭が復活しました。古竜改でしたっけ?


「皆のモノ、行くぞっ!」


「「「応っ」」」


 何をするつもりなのでしょう。ドキドキしながら見ていると、黒古竜はだかだかだかだかと人並みの速さで走り、唸る蔓鞭に尻尾アタックをかましております。


「お、おぉっ」


 他の古竜達もそれに気が付いて尊敬のまなざし。

 蔓鞭は走りと跳ね返され、一瞬何が起きたのかと考えるように薔薇怪獣の動きが止まりました。

 なぜか、バラの花の色が赤、黄色、ピンク、白、そして深い赤へと変色します。


「嫌な予感がひしひしと」


 緑の牛柄古竜アイノスがメガネをクイと指で持ち上げて私の心と同調したように呟きます。


「私達もどこかへ逃げましょうか」


 ピンクの牛柄古竜リアーナはきょろきょろあたりを見回します。ですが、ここは真っ白な何も無い空間。逃げ場は無限にありそうですが、隠れる場所はありません。


「あのですね。実はこの私からまーっすぐこの後ろ方向に歩いたところに、外と繋がっている所があるんです」


 本当はキューブを花に替えて、それを食い尽くしたら何とか方法を見つけてあの桜の天辺が出ているところから外へ戻るつもりだったのです。


 繋がっているということはきっと出られるということですから。

 外にいる皆が心配な私はこれでも焦っています。


「なるほど。ということはその穴を少し開けてやればあれも落とせるか」


 アイノスが言うあれというのは、今古竜改の皆さんがさらに事態を悪化させているあの薔薇怪獣のことですね。


「て、そんなことしたら外のウィルシス達が襲われます!」


「ウィルシス?」


 リアーナが首をことりと傾げます。可愛いですね、て和んでいる場合じゃありません。


「外に騎士と魔道王国の騒ぎの元となる人がいて、魔獣達も暴れまわっていると言ったじゃないですか」


 端折った状況説明だったのでけが人が多数いるということを伝え忘れておりました。それを今言えば、アイノスは考え込みます。

 リアーナはというと、古竜と大怪獣の戦いを背景に、ニマ〜と笑みを浮かべ、目じりを下げながら私を見ました。


「ウィルシスってだあれ? リーリアちゃんの恋人?」


「こっ」


「あ、旦那様? 番なの?」


 ウィルシスが恋人とか、ましてや旦那様だなんてっ。

 ぼふっと体がゆでだこのように真っ赤に染まります。


「いやん、かーわーいーいー。好きな人なのね?」


「すすすすっす、好きじゃなくて、好きだって言ってくれてはいますが、どちらかと言えばストーカーでっ、変態さんですっ」


 あわあわとよくわからない言い訳をします。いやいや、言い訳じゃなくて真実、真実ですっ。


「ストーカー? よくわからないけどリーリアちゃんその人好きでしょ? ドキドキするでしょ?」


 好き…はいまだよくわかりません。ドキドキについては騎士様達皆格好いいので傍に来られるとドキドキします。一番ドキドキするのはやはり私のタイプナンバーワンに輝くアルノルドです。ウィルシスはどちらかというと、ドキドキより、時々胸がきゅっとなります。

 そのことを伝えてみると、リアーナの目がきらきらと輝きます。

 私は胸がきゅっとなる現象についてを少し考えてみます。


「私…ひょっとして…」


「うんうん」


 リアーナは何かを期待しているようです


「ひょっとして…ウィルシスを」


「うん!」


「心配してるんでしょうか?」


 リアーナの顔が目覚めたばかりのおっさんのようにになりました。

 ナゼ?


「どうしてそうなるのぉ?」


「いや、ほら、こう心配しすぎるとドキドキして胸がきゅってなりませんか?」


「ちょっと違うわ〜。じゃあ、今一番逢いたいのは誰?」


 えぇと、リアーナの背後で古竜達が蹴散らされておりますがこんな話をしていていいのでしょうか。


「逢いたい人…」


 パッと浮かんだの焦ったようなウィルシスの叫び声。きっと心配してるだろなぁ。

 いやいやいや、これは心配させてるから早く元気だよって顔を見せたいのであって、色恋とは関係ない…うん、無いと思いますよ?。


「よし、リアーナ。われわれもここを出よう。あれと共に」


 突然かけられた声にびくっとしてみれば、どうやらアイノスの結論が出たようです。

 話も逸れて少しホッとしました。


 『あれ』というのは薔薇怪獣ですよね。あれと古竜が外に出たらどうなるか、先ほども言ったはずなのですが。


「外にいるのがウィルシスと言うならそれはおそらくセルニアの王に就いたものだろう? 何とかしてくれると信じよう」

「あ、それってリヴちゃんのお兄さんね」


 ? なんだかおかしな会話になってますが。

 リヴちゃんのお兄さんはウィルシスで間違いありません。リヴちゃんはグレンさんの奥さんで、ウィルシスの妹さんというのはこの間確認済みです。ですが、セルニアの王様は…名前の言え

ないあの方ですよ?


「あのぅ、セルニアの王様って」


「セルニアという国ができたその最初の王がウィルシス・エイル・セレニア。古竜の女と魔道王国の王の息子だ」


 えぇと、それはきっと私の知ってるウィルシスとは違うと思います…よ?

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