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76話 穴の中です

 私死んだ~?


て、思ってる人は大抵死んでないんですよって話です。

 

 ガスガスゴスゴス

 ガスガスガスゴスゴス


 なんだか懐かしい音がして目を開けると、そこは真っ白な世界でした。

 私、生きてるとは思うのですが…。ここは三途の川一歩手前とかでしょうか。


 ちらりと辺りを見回すと、自分の倒れていたすぐわきに桜ののきの天辺らしきものが床からもこっと生えています。

 なんでしょう、ちょっと不気味。


 ツイツイと突いてみると、わさわさと花が揺れます。

 ここはどこなんでしょうね?


 ガスガスゴスゴス


 この音もうるさいです。

 

 音のする方へ首を巡らせれば、少し遠くに黒い点が見えます。私はこの桜の場所からまっすぐにその黒い点を目指しました。

 音はそこから響いているのですが、近づいていくにつれて、なにやら黒いものがぞわぞわと動いてます。

 

 虫…だったら怖すぎるのですが…


 ちょっとばかし古いですが元現代っ子ですからね。虫嫌いです。ゴキブリ駄目です。あの黒いもの…ゴキではあるまいな?


 怖々近づくと、私はそれが何か理解して安堵と共に目を丸くしました。


「最近ちょっと食べすぎで~す」


 あの歌です。あの魔穴から聞こえた歌を歌いながら、まっ黒と牛柄の古竜が、これまたまっ黒の巨大なキューブに飛びついてかじりついてました。

 

 ガスガスゴスゴス


 この音はキューブを齧る音だったのですね。・・・・ダンボール齧ってるような音ですが大丈夫でしょうか?


「あ~のぉ~」


 声をかけると、これまた綺麗なピンクの牛柄古竜が振り返ります。


「まあっ。新入りさんね?」


「いえいえいえ、新入りさんといいますか…。それより、ここは魔穴の中でしょうか?」


「えぇ、そうなの。新しい子は…何年ぶりかしら?」


 新しい子って、古竜がまるで増え続けてるみたいな言い方ですね…。

 魔穴に新入りが現れたとばかりに古竜達の動きが止まり、わらわらと私の元に集まってきます。その数…ちょっとわかりません。とにかく多いです。


「えぇと、この中にリアーナさんていますか?」


 あの時と同じ穴の中ならばいるはずなのですが。と周りを見回してみると、ピンクの牛柄古竜がピコピコと尻尾をフリフリ。


「私よ~」


 はい、あっさり見つけてしまいました。同じ穴だったということですね。


「確認ですが、リアーナさんはクロちゃん…えぇと、魔王の恋人ですよね?」


 リアーナはきょとんとした表情で「う~ん?」と首を傾げます。とっても可愛いです。さすがは愛玩竜ですね。外側から見ると襲いたくなる可愛らしさです。

 襲い掛からないように踏ん張りながら答えを待つと、リアーナは首を横に振りました。


「残念だけど魔王は見たことないわ」


「俺知ってる、もじゃ髭のおっさん」

 

 横から声が入ります。 


「お~もじゃ髭のおっさんだ」


 もじゃ髭のおっさん…? クロちゃんにもじゃ髭は似合いません。どちらかと言えばクロちゃんは細マッチョな美形です。中身は見たことないのですが、ここはあくまで女子的妄想(・・)…ゲフンゲフン、想像(・・)で中身は無駄な筋肉のない身体つき、胸毛なしだと思うのです。

 あ、体の話じゃなかったですね。顔です顔。


「もじゃくないです。黒髪で金色の目です」


「クラウスのこと?」


「あ、そんな名前だった気もします。クロちゃんて呼んでて、ほんとの呼び名が似てるなと思ったので」


 リアーナの目がキラキラと輝きます。乙女の輝きです。眩しいっっ


「クラウス元気? 私のこと死んだかと思ってるのかしら。あ、赤ちゃんのこと言ってないわ~っ。あの子生まれたかしらっ」


 とんでもない話を聞いた気がしますがどういうことでしょう。赤ちゃん放置? 父親に言ってないって…古竜の子がどこかにいるってことになりますよ?、しかも現魔王様との子です。


「クロちゃん外にいると思います。ここに来る前は彼に抱っこされてましたので」


「まさか浮気っ!?」


「いやいや、それは大歓迎ですがクロちゃんはおとーちゃんです。育ての」


「あら残念」


 その残念はどういった残念なのでしょうか…?

 どうも古竜と話していると話が進みません。ここはとりあえず強引に今まで起きたことを端折って伝えることにします。


 ・・・・・・(数分後)


「というわけで今に至ります」


 話し終える頃には古竜達が体育座りで(一部ポッコリお腹が邪魔をして後ろに転がってますが)座り、パチパチと手を叩いておりました。

 幼稚園にいるような気分になるのは私だけでしょうか。彼等は私よりもうんと年上のはずなのですが。

 

「そういうことならそろそろ我らも腹をくくらねばなるまいな」


 緑の牛柄古竜が顔にかけたメガネをクイと上げる仕草をします。そのメガネ、人型になったら顔を潰すのではないでしょうか? 余計なことを考えてしまいます。


「これを食いきれということだな」


 そういって古竜達が見たその先には、例の黒いキューブがあります。

 キューブは時間がたつほどに巨大化しているようで、今も古竜の齧り後が消えて一回り大きくなったように思えます。


「これはなんですか?」


 黒くてすごくまずそうです。というか、食べ物じゃありません。


「これは人の負の心が魔力で具現化したモノだ。これがある限り我らはここを離れられない」


 魔力で具現化…。それは何処かで聞いた話じゃありませんか?

 そう、私の花咲か爺さんと似たような感じです。これが負の心で、魔力によってできているというのならば、私の花咲か爺さんは効果あると思うのです。


「これ、何とかできるかもです」


「「え?」」

 

 古竜達が一斉に私を見ます。

 皆さん体育座りは無謀なのでやめるべきだと思うのです。先ほどから何頭もの古竜が挫折しているのですが…。


「でも、これを何とかしても出られないし、出てもどうにかなる状況ではなさそうですよ? 最弱の古竜が戦闘をどうにかできるとは思えません」


 その瞬間なぜかまっ黒古竜達の目がピカリと光りました。

 な、なんか嫌な予感がします…


「安心するがよい! 我らは最強の古竜! たかが人間、たかが竜族恐れるものなど何もないぞっ!」


 ばばーんっ


 効果音を後ろで古竜達がつけております…。その効果音と共に現れたのは4頭のまっ黒古竜。彼らはそれぞれポーズをとると、戦隊モノの真似でしょうかと思うようなしぐさで告げます。


「我等は」

「最強」

「最弱」

「古竜(かい)である!」


 わあっと歓声と共にパチパチパチと拍手が起きました…

 

 あのぉ~、最強で最弱って…ものすごく弱いってことじゃないんでしょうか…?  

 

 


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