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62話 参加しましょう!

 いろいろと負けた感たっぷりのデートが終わると、いよいよ大会です。

 私が出るのは雪合戦ならぬペイントボール合戦。生き残りをかけたサバイバルゲームです。


 まぁ、私はこう見えても「大人」ですからね、成竜にもなりましたし、参加するのは子供達。彼等に花を持たせるくらいの大人の余裕はありますよ? 


「どりゃぁぁぁっ。討ち取ったり~っ!」


 うん、大人の余裕ありましたよ。始まるまでは。

 この戦い、なかなかにハードでした。何しろ私は子供にも勝てぬ最弱竜。たとえ成竜となれどもその辺りに変化はなかったようです。ゆえにっ、大人の余裕~なんて構えていると、物珍しい古竜は狙いの的なのです。

 片っ端から返り討ちにしてやりましたよ。

 42歳マジ参加ですよ。


 ペイントボールは3つしか持てませんが、飛んできたボールの跳ね返しと、奪い取りはできるのです。

 そこで活躍するのがこれっ、うちわです。ピンポンのラケットのような形の紙の板ですけど、盾にも跳ね返しにも使える優れものです。

 おかげさまで私、8歳から12歳が参加するこの大会で12位になりました。参加人数は1試合20人ですからそこそこの結果ですね。


「アメ貰いました」


 参加賞です。大会の見学に来ていたグレンに見せると、良い子良い子とばかりに撫でられました。


 あれ? 私大人になったんですよね?…



     ☆      ☆


 さて、別会場ではすでにメインイベントの闘技大会の予選が始まっています。

 騎士達も別格の隊長や副隊長は参加不可ですが、それ以外の人達は参加可能です。ですから騎士達ばかりが勝つかと思いきや、ギルドやフリーの冒険者達も強い強い。予選から大盛り上がりです。

 ちなみに賭けはトーナメント戦が始まってから最初に賭けることになるので、賭け参加者は皆今からどの選手に賭けられるか、強さを見切るために目をぎらつかせて予選に食い入っています。


 私は、現在盛り上がる個人戦ではなく、団体戦の方の控室におります。


「緊張してますね」

「ガチガチですね」


 団体戦参加者、青竜隊見習いリオン君と私の会話です。ちなみに、そんな私達が見ているのは、椅子に座ってガッチガチに緊張してしまっているギルドの受付キールです。

 実はこっそり申請をしてしまった私も団体戦の参加者です。

 グレンやウィルシスには内緒で、この控室には応援してくると告げてやってまいりました。ばれたら怒られますね。


「大会を盛り上げられればいいんですから気楽にいきましょう」


 実は団体戦は不人気で、やはり個人戦で力試しをしたい人たちが多く、こちらは予選を行わずトーナメント戦なのです。参加チームは5組だったところに私達が入って6組です。

 リオン君はそこそこ鍛えてきているのでまだまだ子供でも頼りになりますし、キールも緊張さえしていなければそこそこ強いのだそうです(レインさんのお墨付きです)。

 そこに私ですので、まぁ、負けても仕方がないチームではありますが、大会に貢献はしていきましょう。


「あぁ、なんでこんなことに…」


 それはギルドの受付だったのが運の尽きですね。たまたま団体戦トーナメントのチームが足りないとぼやいていたのを遊びに来ていた私が聞いてしまい、その時の護衛だった青竜隊の副隊長ゼノを丸め込んでリオン君強制参加でチームができたのですから。


「二人とも出番だよ」


 リオン君に呼ばれて、私はキールの肩に乗り、とぼとぼ歩くキールを叱咤(しった)しつつ会場へと出て行った。



      


「お色気チーム対ギルド受付チーム~!」


 

 わっと観客の声が上がる。と同時に飛び出した両チームに、ざわめく観客。

 ギルド受付チームはもちろん私達のチームだ。対して相手チームはお色気チームなのですが…


「すごいですね」

「あれと戦うのか」

「緊張解けた…」


 目の前に立つ三人組は筋肉ムキムキのマッチョなおネエ様方です。どこに色気があるのかと問いたくなるピンクのふりふりドレスに身を包んだすね毛の濃いおじネエ様達は、一名スキンヘッドですが、後の二人は茶色の髪をクルクル縦ロールにした破壊的お色気チームです。


「覚悟はいいわねチェリーボーイとトカゲ一匹」


 チェリーボーイは死語じゃないのですかっ!? そしてトカゲって私ですかっ!? 


 お尻をフリフリ、腰をくねくねしながら一段高くなった舞台に上ります。 

 先ほどまで観客数は少なめですが盛り上がっていた会場が、イロモノキャラの登場で一気に静まり返りましたよ。

 

 祭りを盛り下げてどうするんですか―!!


「リア!」


 うっ、こちらでは私の存在に気が付いたグレンママとウィルシスの射ぬくような視線がビシビシと飛んできます。


「あらん。いい男がいるわぁ」


 うわぁぁぁ~。なんて声!

 オネエ言葉を放つ重低音の美声に周りがどよめきます。

 あの声はやばいです。魔性の声です。あれでオネエ言葉でなく男言葉で口説かれたら世の女性は顔を見ずに砕け散るという確信があります。


「あぁ、そっか、あれが有名なセイレーンだ」


 なぬ? 

 聞き捨てならぬことをキールが呟きましたよ? 


「あ、それ聞いたことある。魔性ボイスで敵を惑わせる冒険者だよね」


 それでついた通り名がセイレーン。

 魔性のボイスは認めましょう。しかし、あの見た目はおかしいと思います!


 セイレーンと言えば私のイメージは人魚なのです。美しい姿と魅惑のボイスで船乗りを水底に引きずり込む悪魔なのです。

 ですが、ですがあれではっ


 たくましき筋肉と魅惑のボイスで船乗りを地獄に落とし込む悪魔ですぅぅぅぅっ!


 

 私の中で彼らは瞬殺決定しました。


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