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58話 噂を広めましょう

 闘技大会の案が通りました!


 お祝いしよう!ということで、ゼノ率いる青竜隊の非番の面々と町の酒場へと繰り出しました。


 酒場は案外広いです。二階建てで、まだ夕方だというのにお客さんが結構入ってますね。給仕してくれるのは女の人、皆見目麗しく、彼女たちが通り過ぎると、男達が皆その豊満な胸と、きゅっと上がったお尻に向きます。


 私はと言えば、豊満な胸は別にいりません。あってもCカップまでがいいです。将来垂れるので。

 お尻はきゅっと持ち上がってほしいです。

 思い出せばあの頃は垂れてたなぁ、胸もお尻も…うぅっ。


 寄る年波には勝てぬとふと振り返って切なくなりましたよ。人生で一番のショックは30代頃からの頬の垂れですね。あのホウレイ線が…。

 やめましょう、将来が恐ろしくなります。とりあえず今から顔の体操は欠かさないことにします。


「ここは飯も結構いけるからな。リーリアは飲むなよ」


 お披露目パーティーの時のことを言っているのでしょう。飲みませんよ。チートな気分は恋しいですが。


 騎士達が適当に注文してくれて料理と飲み物がテーブルに並びます。

 騎士は花形職ですから、給仕してくれるお姉さん方の眼差しの熱いこと熱いこと。しかし、ここで遊びにふけるようでは騎士にはなれないのです。見習い時に耐えるということを散々教えられているそうですので、皆さんものすごく上手にかわしています。


 鼻の下は伸びて、視線の先がおかしいですがね…。


「騎士様が町で飲むなんて珍しいわね。何かあったの?」


 きました! 話題を振られましたよ! 

 ここぞとばかりに騎士の一人が答えます。


「闘技大会が開催されることになったんだよ。その案が通ったお祝さ。誰でも参加可能で賞金も出る。子供も参加できる部門がある。よかったらいろんな人に宣伝してくれるか?」


「へぇ、面白そうね」


 まだ食いつきが弱いですね。


「ついでにだれが勝つかを賭けて儲けることもできる。一攫千金が狙えるかもな」


 この話に周りの耳がダンボになっております。どうやら作戦は成功のようですね。

 じつは、酒場でのお祝いは仕組んだことなのです。もちろん元々お祝いする予定ではあったのですが、どうせなら宣伝をしてやろうと町へ繰り出すことにしたのです。

 この世界にはインターネットなんて便利なものはないので、口コミで広めてもらうしかありません。

 開催日は今日から1か月後。それだけの間にどれだけ他国の人間を集められるかもかかっているのです。

 商人が動けばかなり大きな規模のお祭りができるはずですしね。


「町で屋台も開いてもらうのです。参加したいお店があったらギルドに申請してください」


 ちゃんとギルドの協力も取り付けました。

 彼らのお仕事は屋台の申請、大会の参加の登録などです。城を窓口にしてもよかったのですが、しり込みする人もいるし、何より市民に怖がられている節のあるギルドと、町の人々との交流を持たせるのも目的です。

 世の中繋がりって大事ですからね。


 酒場にいた人々の口に闘技大会の話が昇り始めると、私達はにんまりと笑みを浮かべて今度こそ祝杯をあげます。

 私はジュースですけどね…。


________


「と、俺はそこで思ったわけだ。絶対隊長は男が好きだと」


 酒のまわった騎士達が、一見酔ってなさそうな顔で明らかに酔っている話をしております。しかも、公共の場で話せば後で鉄拳制裁を受けそうな上官達の四方山(よもやま)話。

 気づいてないんでしょうかね。いや、気づいてないでしょうね、給仕の女性達が耳をダンボにしてわざわざ近くを通り過ぎていることに。


 アルノルド…男好きにされちゃいますよ~。


「いやいや、あの人ロリコンだろ。リーリアにメロメロじゃないか。姫様にだって笑顔を見せてたときあるし」

「ゼノは何か聞いたことないわけ? 隊長のコレについて」


 小指を立てる騎士に、思わずその仕草はいまどきやらないんじゃないかーいと思ってしまったが、世界が違うので黙っておこうと思います。


「んあ? あぁ、そうだなぁ…一度だけすっげー美女ひっかけてたの見たぜ?」


 なんと! アルノルドも男でしたか! 

 私が前のめりになれば、近くを通っていた給仕の女性もピタッと足を止めた。

 

「こう出るとこ出て、締まるとこ締まってる涎の出そうな…」


 はい、ピピ~ッです。イエローカードです。ゼノだからちょっとは許されますが、これを放っておくと下ネタになります。騎士としてそれは許されませんっ。


「お会計です!」


 私が叫ぶと皆がびくっと反応し、ついでに傍で聞き耳を立てていたお姉さんもびくっと反応して素早く笑顔を作ると寄ってきた。


「あら、もう行っちゃうのぉ~?」


 ゼノの前にはまだ空になっていない酒があり、彼が名残惜しげにそれを見たのを確認すると、私は素早くそれを奪い取って飲み干した。


「あぁっ!何すんだっ」

「お会計です!」


 これ以上は駄目ですとばかりに睨みつければ、通じたのか、ゼノがしぶしぶ騎士達をまとめ、会計を済まして立ち上がった。


 騎士の中にはフラッとよたつく者もいたので丁度良い引き際でしょう。


「お姉さん、アルノルドさんは清純女性が好きですからね、ロリでも男好きでも熟女好きでもないですからね?」


 会計をしてくれたお姉さんに誤解がないようくぎを刺しておきます。


「熟女は言ってねーだろうが」


 ぼそりとゼノが言うのを無視し、お姉さんに手を振って酒場を後にしました。


 外に出れば道はもう真っ暗。カンテラの明かりでゆっくりと帰ります。

 涼しい風が酔った皆の頬を覚ましてくれます。

 ついでに、現れた黒子が皆の警戒を高めてくれます。


 ん? 黒子? 


「ゼノ! 黒子再びです!」

「黒子ってなんだ?」


 焦る私に対し、ゼノは落ち着いたものです。

 黒子の数はこちらと同じぐらいですね。10人程度。みなあの物騒な青く光るナイフを持っています。 

「刺客ですっ。暗殺者ですっ。芸人ですっ」

「芸人ではないだろ?」

「芸人ですよ。彼らは着物の早着替えなんかを手伝ったりするんです」

「キモノってなんだ? てか、お前さっきの酒で酔ったろ…」


 酔っ払い認定されました。

 

 そんなやりとりをしている間に、双方剣を抜き、騎士達の表情がなぜか凶悪犯のようなものに変わります。


「こんだけ証人がいれば問題ないだろ。吐いてもらうぜ黒幕を」


 にやりと笑みを浮かべるゼノも極悪人のようでした…。


 戦闘開始です!


 


 

噂は風のごとく広がる

町娘1「アルノルド隊長男好きだって」

町娘2「それって青竜隊の?。私ロリコンだって聞いたわよ~」

花街の女1「熟女好きなんだってねぇ。チャンスがあるじゃないか」


アルノルド「…誰かゼノを連れてこい」


ゼノに命の危険迫る!!    続く…のか?

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