雨とカツ丼とビニール傘と
お題ジェネレーターにより
●ジャンル:学園・青春 ●キーワード:僕の嫌いなモノ、ビニール傘、日本刀 ●シチュエーション:食堂で学食を食べていると山盛りのカツ丼を頬張る学園一の美女がこちらを見ていた ●セリフ:そんなもの使ってどうするつもりだ!
というお題が出たので、書いてみました。
「うひゃぁ…すごい雨だな…」
期末試験最終日、昼。
僕は閉じたビニール傘を軽く振って水滴を払い、激しい雨から逃げるように学食の中へと入った。
朝から降っていた雨は、午前中、試験を受けている間に勢いを増したようだ。
入り口の脇にある食券機で日替わりランチ(今日はチキンソテー、ご飯、味噌汁、金平ごぼう)の食券を買い、カウンターのおばちゃんへ持っていった。
待っている間、座席の方を見れば、ほとんど人の姿はない。どこでも席は取り放題だ。
ランチを受け取り、窓側の席へ座る。
朝は寝坊して遅刻しかけたせいで何も口にしていない。少し甘めのソースがかかったチキンソテーの香りは耐え難い誘惑である。
出来が微妙だった先ほどの試験のことは忘れ、雨音をBGMにまったりとした食事の時間を楽しんでいた。…と、その時。
「?」
ふと、視線を感じた。
箸を止め、辺りを見回してみる。
客の数は少ない。
難しそうな本を読みながらランチを食べているスーツ姿の男性、時折笑いながらうどんを食べているカップル、まだ試験が残っているのか、お茶を飲みながら参考書に何かを書き込んでいる学生…そして。
…彼女か。
テーブル一つ向こうの席の正面に、あからさまにこちらを見ている女性がいた。
切れ長の目に黒のポニーテールの美少女…
見たことがある。
今年の学際のミスコンに出場していた人ではなかっただろうか。
確か実家が剣術道場を営んでおり、彼女自身も師範レベルの腕とかで「サムライガール」なんて印象を受けた覚えがあった。
初出場ながらにして昨年の優勝者を差し置いて優勝。
皆の前でトロフィーを貰っていた姿は強く印象に残っていた。
そんな彼女が、僕を見ていた。
ちなみに彼女が食べているのは、運動部の男子しか手を出さないという1日10食限定「真・俺のカツ丼DX」であった。
1kgの米の上にこれでもかとソースカツを山のように積み上げたカツ丼は、大食いチャレンジにも使える代物で、とても女子が食べれるものとは思えない。
山盛りのカツ丼を頬張る学園一の美女がこちらを見ている。
よくわからない状況だ。
とりあえず僕も見つめ返してみるが、相手が美人なだけになんだか照れくさくなってしまう。
と。
彼女は箸を置くと、食べかけのカツ丼を持って僕の前に席を移動した。
ええっ!? なんで!?
すると、カツ丼を食べながら彼女は言った。
「ふははひ(もぐもぐ)ひひはほほはほ(もぐもぐ)はひはほへひははふはほは(もぐもぐ)」
「…すみません、口に入っているものを飲み込んでからお願いします」
食べながら言っているので何を言ってるのかわからなかった。
しばらくして口の中身を飲み込んだ彼女は改めて言った。
「失礼した。ときに、君はこの後何か予定があったりはするのだろうか?」
「予定、ですか? いえ、試験は午前中で終わりましたし、あとはうちに帰るだけですけど…」
「そうか」
さすがにドキドキする。
噂によると、あのミスコンの後、彼女に人気は急上昇し、こっそりとファンクラブが結成されたとか。
そんな美少女に声をかけられたのだ。彼女いない暦=年齢の自分としてはドキドキするなという方が無理である。
すると彼女は意を決したように顔を上げ、言った。
「申し訳ないのだが、傘を貸してくれないだろうか」
「え、持って来てないんですか?」
今日は朝から雨が降っていたけど…
「いや、私が家を出た朝6時くらいには、雨は降っていなかったのだ。ただ天気予報で雨が降るということは聞いていたので、一応持ってきたつもりだったのだが、間違えてこれを持ってきてしまい…」
そう言って彼女がどこからともなく取り出したのは一振りの日本刀だった。
「何で傘と日本刀を間違えるんですか!?」
「どうやら玄関の傘立てに紛れ込んでいたらしい。私も部活の朝錬に遅れそうになっていたので慌てていたのだが…」
なんという天然。
「多少の雨ならこれでもなんとかなると思っていたのだが」
「雨に対してそんなもの使ってどうするつもりだ!」
思わず素のキャラでツッコンでしまった。
「それはこう、この刀で雨を弾きながら走る…みたいな」
「できるか!」
というか、雨の中日本刀を振り回しながら走っている人間がいたら怖いわ!
「さすがに、この土砂降りだと、ね…」
小雨だったらやるつもりだったのか…
「そして途方にくれていたら、ちょうど君が傘を持って入ってくるところを見かけてね。こうして頼んでいる次第だ」
「はぁ…」
何故、僕なのだろう。
やっぱ一番ヒマそうに見えたのかな。
「何、どこかコンビニまで行ければ十分だ。そうすれば自分で買うさ」
ふむ。まぁ別にいいか。
「わかりました。いいですよ」
「おお! 助かった。まぁ、君には元々選択肢なんてなかったわけだが」
(持っていた日本刀を)チャキッ
「ひぃ!」
こ、殺してでも奪う気だったのか…
「はははは。冗談だ冗談」
そう言いながら、彼女はラスト1切れのカツを口に運びながら笑った。
…笑った顔、可愛いな…
って、ん? え? あのカツ丼食べきったの!? いつの間に!?
「さぁ、ほら、君も早く!」
彼女に急かされるようにして、僕は慌ててランチの残りを食べたのであった。
――この時は思いもしなかった。
後に、このちょっと天然で大食いな美少女サムライガールが、僕の“彼女”になるなんてことは。
やらかした\(^q^)/
書いてる途中に寝落ちした! しかもキーワード一個入れ忘れた!
でも修正とかめんどくさいのでこのまま挙げちゃいます^q^ (ぉ