第3話 高卒までエスパー…?
今回は第3話、高卒までエスパー…⁉︎
多々野の離れの勉強部屋に、お弁当持参で突然尋ねて来る夏美と仲本。宇宙人ビビルの地球に来た目的は?
エスパーグッズを3人はこれからどう使うか?
恥ずかしくなるくらいの青春小説です。温かい目で見守ってあげ手下さい。
「ドンドンドン」
エスパー騒動後の日曜日。
多々野の離れの勉強部屋の玄関をノックする音が…。
「うるさなあ〜なんだよ日曜の朝っぱらから…」
多々野が玄関のドアを開けると。
周りを見回して小さな声で、
「おはよう〜」
と夏美ちゃんが、大きな風呂敷包みを持って立っていた。
後ろには、同じように大きな紙袋を持つ仲本が…。
「えっなんで…?ちょっと10分、いや5分待って…」
慌てる多々野。
部屋の中にいるビビルに
「夏美ちゃんが来ちゃったよ、どうしよう…?」
「夏美ちゃん?ああ、あの茶髪の可愛い子ね、
どうしようったって、今から部屋の掃除は無理でしょう…この際だから、この散らかった部屋を見て、彼女がどう言う反応を示すが、観察してみたら…」
と意地悪な視線を多々野に送るビビル。
「お前は宇宙人だから、気楽で良いよな」
「部屋の散らかり具合で、男の良し悪しを決める女性もいるらしいからな…」
「どんな本読んでんだ、お前は…?」
「お邪魔しま〜す」
「えっ‼︎」
「ごめん、入って来ちゃった。大丈夫、男の人の散らかった部屋に、めっちゃ耐性があるから、わたし…お父さんの部屋なんか、そりゃ酷いもんよ」
「ささ、動いた動いた、早く片付けちゃいましょ」
「なっ、心配すること無かっただろ」
「あ、ああ…」
「もうこのくらいでいいかな」
夏美ちゃんの指示で、あっと言う前に部屋は片付いた。
「人海戦術、4人いるんだから早いもんよ」
「2人とも、起き抜けで朝ご飯はまだでしょ、
お弁当作って来たから…」
「コンビニ弁当や出前に飽きて来た頃だど思って…」
「えっお弁当があるの⁉︎」
1番初めに反応したのはビビルだった。
出しっぱなしの電気の入っていない、コタツに座る4人。
テーブルの上には、重箱に入ったおにぎり、卵焼き、唐揚げ、ウインナーソーセージと、若い子が好きなおかずがズラリ。
「えっコレ、夏美ちゃんが作ったの?」
と、嬉しそうなビビル。
「掃除の手際といい、料理といい、
将来夏美ちゃんと結婚する人が羨ましいですね」
と多々野をチラ見するビビル。
そして多々野は仲本をチラ見。
何故か恥ずかしそうに顔を赤らめる仲本。
(お前、自分のことだと思ってるだろ、仲本…でも隣同士の幼馴染み、意外とあるんだよなあ〜結婚)
と、悔しそうな多々野。
皆んな、食べながら聞いて、
口をもぐもぐ、紙コップに入ったお茶をごくごく飲みながら、夏美ちゃんの話に聴き入る3人。
「いきなり連絡もしないで来たのは、盗聴の心配があるから、メールだって信用出来ないでしょ」
「確かに…」
今まで、陰謀論だ、都市伝説だと言っていた夏美ちゃんの変貌ぶりに驚きつつも、納得してしまう多々野。
(そりゃそうだよな、本物の宇宙人が目の前にいるんだもんな、変わらない方がおかしいか…)
「それで、ビビルくんに質問なんだけど、
多々野くんに訊いたんだけど、例の防御グッズって、一年間は私たち以外の者は使え無いって本当?」
「ああ、そう言うふうにセッティングされちゃったからね…しかも、1人分を3人に分散しちゃっただろ?3人揃わないと使えないんだよ」
「うわーめんどくさいね」
と多々野。
「でも幸いなことに、この国は安全だし、防御グッズなんて必要ないみたいだね」
「最近は熊が麓まで、降りて来てるみたいだけど…」と仲本が最近のニュースに触れる。
「確かに、生態系に変化が起きてるのは違いないけど、他の惑星と比べたらこんなに安全な場所は無いよ」
「それから、もう一つ質問なんだけど、ビビルくんの地球に来た目的な何?」
「だから調査だって…本当の目的はわからないけど、末端の僕らには調査だとしか…君たちだって、社会に出て仕事をするようになったら、上の指示に従うだろ、それと同じさ。コンピュータ社会になり、分刻みに動くようになって、それが顕著に現れるようになったよね。良いとは思わないけど、効率ってことかな…」
「宇宙人もコンピュータ社会なんだ」
と感心する多々野。
「僕はアクシデントに見舞われて、置いてけぼりをくらった訳だけど、そもそも、この調査に加わるってことで、覚悟は出来てました。過去に何人も同僚を置き去りにしてるし…」
「それじゃお前、帰るところはもう無いか?」
びっくりした多々野が聞き返すと…。
「ああ残念ながらね…」
「そんなあ…」と泣きそうな顔でビビルを見る夏美。仲本もウルウル、良いやつである。
「なんでこの時期かなあ、高校3年の1年間だけ、エスパーなんて…大学生になったら、時間はたっぷりあるのに」と多々野。
「高卒までエスパー、高卒エスパーだね‼︎」
とたまにユニークなことを言う仲本。
でもいつもみんなにスルーされてしまう…。
「宇宙人の防御グッズが地球人にヒットしたこと事態、あり得ないことなんだから…」
「まさか、防御グッズってバビル2世みたいに、生命力を一輝に使うってことじゃないよね」と多々野。
バビル2世、横山光輝の名作漫画である。
「地球人にとってはその説は正しいかもね、
防御グッズそのものが、増幅装置みたいだから…」
「それじゃ一輝に老けちゃうってこともあり得るの?」
とスマホの鏡を見ながら心配そうに夏美。
「で、ビビルくんはこれからどうするの?」
「1年後に、防御グッズを身に着けて作動すれば、小型UFOが回収に来てくれる可能性はあります。そのことを期待して、多々野くんのところに、厄介になります」
「わたしからもお願い多々野くん、たまに今日みたいに差し入れ持って来ますので…」
「僕からもお願いします。ビビルくんの大食感は聞いています。僕んちので良かったら、出来るだけ提供しますから…。
仲本の家は、町中華。大盛りが売りで、近くの体育会系の大学生に大人気なのである。
「本当ですか?ラーメン、カレー、餃子、
わたしの好きなもんばっかりじゃ無いですか‼︎」
と大喜びのビビル。
「とにかく、1年間、わたし達は防御グッズを使ってエスパーになれるんだから、この町の安全くらいは守りましょ、見て見ぬふりなんかしたら、お父さんに叱られるわ。それこそヒーロー失格だよね、多々野くん」
「い、いや……」
返答に困る多々野。
「この間はごめんね、ヒーローなんか映画や漫画の中だけなんて言っちゃって……誰かを助けたり、人の役に立ちたいって気持ち、とっても大切だと思うの」
と多々野の方を見てニッコリ微笑む夏美だった。
隣の仲本も嬉しそうである。
「それじゃ、このグッズはめいめい持っておくってことで…」
防御グッズを3人に手渡すビビル。
「お前ら、なんか良いよな」
とビビルもニッコリ顔。
「ビビルが良いのは、食べものの心配がいらなくなったからだろ?」
と茶々を入れる多々野。
おにぎりをほうばりながら、納得の表情のビビルであった。
夕方、 皆んなが帰ったあと、離れの多々野の勉強部屋から、多々野の嘆く声が響きわたる。
「ああーもう終わりだ‼︎」
「なんだよ、いきなり大声だして…」
とビビル。
「アダルビデオのDVD、夏美ちゃんに見られちゃったよ〜変態だと思ってるだろうな、俺のこと…」
アダルビデオのDVDを、部屋に出しっぱなしにしてたことに気づいた多々野だった。
「そのことなら心配要らないよ」
と一見オモチャのように見える、原子分解収納銃を取り出すビビル。
引き金を引くと…。
目の前にアダルトビデオの入った小型ボックスのDVDが出現。
「ビビル、お、お前…」
「こんなの、彼女に見られたく無いと思うお前の気持ちを汲んで、とっさに収納したって寸法さ!どうだい、少しは役に立つだろ俺!」
「立つ立つ、ありがとうビビル、これ以上の感謝は無いですよ」
ビビルに抱きつく多々野。
男同士の友情が深まる瞬間て、意外とこーゆー時だったりするのである。
宇宙人との関係も意外にシンプルだったり
するのかも…。
その足元で散歩から帰っ来た猫の母ちゃんが、お腹を減らしたのか
「にゃ〜にゃ〜」と多々野にまとわりつく。
風呂場の突き出しの窓は、開けっぱなしで、出入り自由な母ちゃん。
「ヤバイ、母ちゃんのご飯買うの忘れてた」
「トントントン」
またドアをノックする音が…
多々野が、ドアを開けると、今度はキャットフードの入った袋を両手に下げた、本間カヨちゃんが立っていた。
「ナイス、タイミング」
月に一度、母ちゃんを多々野に預かってもらうお礼として、母ちゃんのご飯の差し入れをしてくれる本間姉妹でありました。
「カヨちゃん!ささ上がって上がって…」
多々野を押し抜け、カヨちゃんの手を取り招き入れるビビル。
「お前も隅に置けないね」
とやらしい目でビビルを見る多々野。
「お、俺は命の恩人としてだな…」
と顔を赤くして弁解するビビル。
お腹が相当空いていたのか、訳の分からない猫語を喋りながら、ガツガツと美味しそうに、ご飯を食べる母ちゃん。
「お前も俺とおんなじで、食料を与えて貰えないと、生きられない身分なんだな…」
「そんな深刻ぶるなよ、夏美ちゃも言ってたろ、助け合いが大切だって…」
多々野の優しい言葉にウルウルするビビル。
「あ〜母ちゃんがゲェゲェやってる〜」
と慌てるカヨちゃん。
「もう〜焦ってガツガツ食べるからだよ…」
と呆れ顔の多々野。
3人の笑い声が、部屋からもれていた。
第3話、お読みいただき、ありがとうございます。
楽しんでいただけたでしょうか?
高校3年の貴重な1年間。恥ずかしくなるくらいの青春小説を堪能して下さい。




