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2人は、外に出る

作者: ぽん
掲載日:2026/02/04


——————


「朝まで、今の時代に不要なもの。それ、正解」


「は?」


「朝まで、今の時代に……」


「聞こえなかった訳じゃないのよ」


「それでは、語っていきましょう」


「やるとは一言も言ってない」


「しかしだね。やらないとも言っていない。違うかな?」


「じゃあやらない」


「何故?」


「逆に聞きたいんだけど、なんであたしがそれに乗ると?」


「だって暇じゃん」


「人間、暇だったらなんでも付き合うと思ってもらっちゃ困るわ」


「でも暇じゃん?」


「何?君、話が通じないタイプのモンスターだったっけ?」


「失礼な。話は通じますよ」


「なら話を聞きなさいよ」


「残念ながらその機能は私には付いてないね」


「尚タチが悪い」


「てな訳で、今の時代に不要なもの」


「話を聞かないモンスターめ……」


「二千円札」


「色んな方面から怒られそうなとこから行くんじゃないわよ」


「躊躇」


「今の時代限定じゃなくない?」


「テレビ」


「不要っていうか……使わないだけのような……」


「政治家」


「だから、それ怒られるでしょ」


「大丈夫。怒られたら全部秘書がやったことにすれば万事解決」


「もはや喧嘩を売りに行ってるからね、それ」


「買ってくれるような政治家が欲しい所ですな」


「今の時代、それこそ無理な話じゃない?」


「確かに。では正解は政治家ということで……?」


「駄目。それ絶対に駄目なやつ。てか、必要。絶対に必要なやつだから」


「必要だからといって、現れる訳じゃないって所が、ミソだよね」


「居るかもしれないじゃない。この時代を生き残っている、屈強な政治家が」


「それは、政治家というより、戦闘民族だと思うの」


「怒りによって覚醒するタイプ?」


「髪が金髪になって、逆立ったりね」


「確かに政治家ではないわね」


「はぁ、懐かしい。単行本、まだあるかな?」


「探せばどっかにはあるんじゃない?」


「探しに行くの、面倒でござーる」


「それについては同意するわ」


「と、言うわけで」


「どういう訳なの?」


「不要なものは、暇な時間」


「それなら、仕事しなさい」


「おーきーどーきー」


——————


「ぎぶみーちょこれーと」


「嫌よ。これ、最後に取っておいたやつなんだから」


「ぎぶみーちょこれーとぉ」


「そんな切なげな声出してもあげない。それなら、この間のコンビニ、また見てみる?」


「そこまでは求めてない。どっちかと言うと、チョコより構ってもらう方が主題でね」


「じゃあチョコは要らないのね」


「人間は欲深き生き物なのです」


「過ぎたる欲は身を滅ぼすってことを教えてあげる」


「後生だからよぉ〜。半分でいいから分けておくれよぉ〜」


「図々しいにも程がある」


「虎の子の、コンビニの前で拾った綺麗な石あげるからさぁ」


「小学生か。嫌よ」


「にゃにおう!?めっちゃ綺麗なんだぞ!?極彩色に瞬く超綺麗な石なんだぞぉ!?」


「知らないわよ。あたしが持ってても意味ないし」


「そんなことないね!意味ならあるさね!」


「もしそうだとしても、要らない」


「せめて何の意味があるか聞いてから判断して?」


「間に合ってまーす」


「相棒が冷た過ぎて凍死しそう」


「化物に食われて死ぬよりかマシじゃない?」


「前提として死にたくないでござる」


「それはそう」


「てな訳で、唯一無二の相棒を凍死させない為にも、ね?」


「うーん、チョコ美味しい」


「あ!食べた!勝手に食べちゃったね!」


「勝手も何も、あたしのチョコなんだけど」


「あーコレは凍死ですわ。悲しみに抱かれて寒死です」


「何さむしって」


「なんかマムシみたいで嫌だね」


「話題がころころ変わるなぁ」


「ころころ転がるのは得意だよ」


「あんまり無駄に転がると疲れちゃうわよ?」


「凍死しない為に身体を暖めてるんだもーん」


「じゃあ、これあげるわ」


「およ、ホッカイロじゃん。え、これ使えるの?」


「さぁ?試してないから分からないわ」


「見事に使用期限が過ぎてますねぇ」


「あら、そうだったの?残念ね」


「いけるかもしれない。試してみよう」


「チャレンジ精神旺盛ね」


「……ぬう?」


「どう?暖まりそう?」


「駄目だね。コレはもう使えないよ」


「あら、それじゃあやっぱり凍死しちゃうの?」


「誠に遺憾ながら、そうなるね」


「仕方ないわね……。ほら、半分でいいんでしょ?」


「およ?さっき食べたんじゃ?」


「さあ?綺麗な石が、チョコにでもなったんじゃない?」


「マジかよ。すげえな、綺麗な石。家宝にする」


「家宝にする価値があるか分からないけどね」


「うむ、家宝、美味しいです」


「食べちゃったの?家宝を?」


「私の生きる活力になったのです」


「そ?じゃあ、コレからも生きてけるかしら?」


「うん。元気に生きていけます」


「なら、コレからも宜しく」


「ほいさ。こちらこそ」


——————


「ねーぇ、ごめんて。許してちょんまげ」


「別に怒ってた訳じゃないけど、今ので許す気がなくなったわね」


「え、何故」


「理由が本気で分からないなら、これから喧嘩だけど」


「嘘です。すみません。ふざけました」


「そうね。コレからは時と場合を考えてふざけるのよ?」


「はいな。ごめんなさいです。今後は気を付けるよー」


「そうね。気を付けてくれると助かるわ」


「やー、ね。まさか寝過ごすとは思いもよらず。まだそんな機能が私に残っているとは。よもやよもや」


「まあ、平気よ。一日位なら」


「実際何とかなってるからすげえや」


「自分でもちょっと驚いてるわ」


「私も、行けるかな?」


「止めた方が良いんじゃない?……結構音が近くまで来てたし」


「だねー。結構壊されてるみたい」


「やっぱりそうよね……。はあ、心臓に悪かったわ」


「ごめんよー。ここは私が責任を取ってしっかり修復しとくからー」


「頼むわね。……修復箇所まで、一緒に行く?」


「んにゃ、近いからだいじょぶー」


「そ。なら、お願いするわ」


「ごろごろー」


「転がって行くんだ……」


「転がるのは得意ですけん」


「得意気に言われてもね……」


「特異な特技を得意気に誇るのです」


「何それ?言葉遊び?」


「遊びは常に必要だよー」


「それこそ、時と場合によるんじゃない?」


「遊ぶ為にそんなもんを考慮する大人にだけはなりたくないね」


「それを考慮するのが大人って気もするけど」


「そうか。ならネバーランドの住人になろう」


「あるといいわねぇ……」


「感じるぜ……だんだん面倒になってツッコミを放棄する相棒の気配を……」


「それを断言する所を見るに、やっぱり大人じゃないわね。君は」


「そう言うおんしは大人かや?」


「さあね。自分の面倒も自分でみれないし、まだ子供なんじゃない?」


「じゃあ、私もまだ子供だ」


「なら、あたし達は、ずっと子供のままかもね」


「そうかな?」


「そうじゃない?」


「……まあ、生きていれば、その内年齢的には大人になるもんでない?」


「そうね。生きていれば」


「だからさ」


「なぁに?」


「二人で一緒に大人になろうぜ?」


「……え〜」


「何でちょっと嫌そうなの!?」


——————


「緊急会議です!モノども、集えい!」


「共?」


「モノよ!集えい!」


「あたしはモノじゃないので、集いません」


「文脈的には者が正しいのであってだね!?」


「ああ……悪かったわよ。謝るから、べたべた触らないで」


「冷たい!ねえ!凍傷になりそうだよ!?」


「はいはい。ホッカイロあげるから」


「それ期限切れであったかくならないやつ!」


「その熱いテンションがあれば乗り切れるわよ」


「このテンションで物理的な温度は上がりません!」


「じゃあ物理的に体温が上がるように、転がしてあげましょうか?」


「何それちょっと楽しそう」


「よーし、じゃあ行くわよー」


「何で足を振りかぶるのかな?」


「蹴り転がそうかと」


「それ、転がるのかなぁ?」


「さてね?試してみましょ?」


「それは会議の後にしてもろて」


「試すのは吝かじゃないの?」


「違うよ。有耶無耶にしようとしてるだけだよ」


「成る程ね。では、議題はなにかしら?」


「へい。重大な議題です」


「その謳い文句で、本当に重大だった記憶がないわ」


「今回は本当に重大だぞぉ?」


「オオカミ少年って知ってる?」


「ワタシ、ショウネン、チガウ。つまり関係ない。QED完了」


「重要なのはそこじゃなくてね……」


「そうさ!重要なのはその会議の内容なのさ!」


「力技ねぇ……」


「そう、私達は、外の世界に出発するのだ!」


「…………」


「うえ?どしたよ、相棒。急に黙りこくって」


「本当に重大な内容だったことに驚きを隠せなくて……」


「そっちかね!?」


「あたしとしては、どんなくだらないことを言うのかと、足を振り上げて待っていたのだけれど……」


「それは有耶無耶にしたじゃん?」


「君の中では、そうなのね?」


「それは共通認識。あーゆーおーけー?」


「No, I don't」


「ノリが良いのか悪いのか!?」


「悪くはないんじゃない?」


「何が!?ノリが!?」


「それは分からないけど……外に出るんでしょ?」


「ノリが良いね!その通りです」


「最近は食料の確保も厳しくなって来たしね」


「それも理由の一つ」


「それ以外の理由は?」


「なんか、ノリで」


「1人で外に行って来て。どうぞ?」


「相棒!?私達相棒だろ!?」


「……それで、現実問題、あたし達2人だと、移動速度がネックになると思うんだけど」


「私は歩けないからね!見捨てないで!相棒!」


「あたしは目が見えないんだから、お互い様ね」


「こんな怪物が闊歩する今の時代じゃ、1人になった瞬間終わりだね!私達!」


「よくもまあ……こんな滅びた世界で、2人で生き残れたものね」


「そこはほら、日頃の行い?」


「疑問系じゃないのよ?」


「いやぁ……生き残る為とは言え?怪物をぱーんしてるから、ちょっと……」


「そこは正当防衛でいいんじゃない?」


「……で、あるか」


「そ。……で、外に出て何をするの?」


「他の生存者でも探す?」


「ああ……戦闘民族な政治家?」


「現実に存在したら是非ともお会いしたい所ではある」


「後は……そうね。あたし達の身体を治す技術とか探す?」


「何それ熱い」


「相手は日本を一ヶ月で滅ぼす連中なんだから、そんな技術があってもおかしくはないんじゃない?」


「いいね。夢が広がリング」


「そうね。夢が広がるわ。……だ、だから、よ?」


「うえい?何?恥ずかしそうにして」


「うるさいわね……ちょっと、お口にチャック」


「うす?」


「だ……だから、一緒に大人になるってのも、不可能じゃ、ないのかもね?相棒?」


「…………相棒ぉ」


「もう……泣きそうな声出すんじゃないの」


「泣いてるよ!相棒の愛に触れて、感動で涙ちょちょぎれてる!」


「嘘くさい」


「嘘やん?こんな感動の展開の後に、そんなバッサリ切り捨てることある?」


「うるさいわね……さ、そうと決まれば、早速準備をして出発しましょ」


「おうよ。足は頼むぜ、相棒」


「ええ。目は任せたわ、相棒」


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