〜友達〜
……おいおい。まさかデカヤマがここの番長(?)だったとは………。
これ、ヤバいんじゃね?
「………。」
おいおいおいおいおい(汗)デカヤマの仲間めちゃめちゃ怒ってるって、絶対。
「…………!」
「お願いしますっっっ!!!!」
………は?
何言ってんだこの人達。
「………何?」
「この学校の掟では、強いものの言う事に従うのがルールです!」
一人の仲間が言った。
「今の番長である内山さんを倒したあなたこそ…真の番長だ!」
真の…番長…?
うわーいい響き^^
おっと、そういうワケにはいかない。俺はチビで眼鏡で地味な少年なのだから。
「俺の言う事何でも聞いてくれるんだよね?」
「はい!!」
「じゃあさ、俺が今した事、秘密にしといてくれない?」
「………は?」
「番長とか向いてないし、そもそも俺、争いごととかキラいなんだ。」
「…というと…。」
「今まで通り、コイツを番長としといて。俺が今コイツを倒した事も他言無用で。」
デカヤマを指差して言う。
「………へ…へぇ…。」
「じゃ、壊したトビラ、元に戻して、ここから出てってくれない?
俺、高須くんと話があるからさ。」
「………は…はい…。」
デカヤマを引きずって教室を出て行く。
番長…お前はどうしてそんなに弱いんだ…。
「……お前…強いな…。」
高須が頭をかきながら言った。
「…そ…そう?マグレだよマグレ。」
いかんいかん。
ただでさえ口数少ない高須くんが今のを人に喋るとは思えんが、念には念を入れておかねば。
「高須くんもさ、今の、黙っててくれない?」
「………興味ないからな。」
ホッ。…あれ?これって答えになってんのか?ま、いいか。
「信一……でいいよ…。」
「………え?」
……あれ?高須くんが自分から話しかけてきたよ?これは幻聴か?
「高須くん……っての…キライなんだ…。」
「へ…へぇ。分かったよ…信一。」
高須く……じゃなかった。信一と喋ってるとこっちまで口数少なくなるわー…ったく。
そうこうしてるうちに、チャイムが鳴り、みんなが帰ってきた。
「ふぃ〜〜!体育面白かったァ!」
一番に教室に入ってきたのは、成宮くんにめっちゃ似てるめっちゃかっけーヤツだった。
「………ん?お前ら、サボりかよ。体育サッカーだったのに。」
「…あ、いや。転校初日で…ちょっと腹痛が…。」
俺は笑ってごまかす。
「なっ!信一!……。」
信一に相づちを求めたが、……こいつはまた寝てるよ…。熟睡3秒だな…。
「……へ〜。高須と仲良くなったのか。」
さっきのかっけーくん(?)が俺らの方に近づいてきた。
「こいつが人と触れ合うとこなんて初めて見たぜ?」
「へ…へー……。」
「あ、俺さ。金城 拓也っていうんだ。よろしくな!」
「うん。よろしく。拓也くん。」
「……くんづけとかやめよーぜ!呼び捨てで良いよ!俺もそうするし。」
「あ、俺は山元 瞬。拓也……はすっげーかっこいいよな。」
「……そうか?ま、男にほめられてもそんな嬉しくねーけど。」
そりゃそうだ。
「俺、サッカー部なんだ。お前サッカーやらねーか?」
「……いや…俺ホントスポーツ苦手で…。」
「いいっていいって!俺も最初はドリブルすらまともに出来なかったんだから!」
「いや……でも…。」
俺、帰ったら真っ先に流真道場行って空手の練習したいんだけどなぁ。
「じゃ!放課後はうちの部、来いよ!!」
…………勝手なヤツ……。
…でも…ある意味これって、友達が出来たってことかな。
ま、いいや。せっかくだし、見学くらいなら…言ってみよっかな。
瞬:別にサッカーができないってワケでも…ねーんだがなー。
拓:じゃ、来いよ。
瞬:………。(信一の真似)
拓:瞬、殴って良いか。