〜最悪〜
あ〜あ、だからイヤなんだよ。転校。
休み時間になると、こう、なんでみんな俺にたかってくんの?
俺は何?珍しい動物ですか?
一方休み時間が始まっても、前のヤツは寝ていた。
俺はうっとうしくなってきたので、テキトーに返事をして静かな場所へ向かう事にした。
教室はうるさすぎる。屋上とか……いいかも。
屋上は誰もおらず、田舎の風景とマッチしていて、とっても気が楽だった。
俺は屋上のベンチにドサッと座り込むと、眼鏡をとって目をつぶった。
明日になりゃ、普通に教室にいても、みんな気にかけないようになってくれるだろう。
転校初日はみんなそんなモンだ。今日だけガマンすれば事は足りる。
あとは自分と本当に気が合う友達を見つけて、その人とだけ接していれば十分である。
ふいに水滴が頬に落ちた。
目を開けると、どうやら雨が降ってきたようであった。
眼鏡を取って屋上を降りた所で、チャイムが鳴った。
「……やべ。」
教室に着くと、ただ一人を除いては全員いなかった。
あ、次「体育」だった………。
ま、いいや。どーせ面白い事なんてしないだろうし。
…にしても……この人……ずっと寝てるよな………。
俺は人差し指でさっきから熟睡中の少年をつついた。
すると、その少年は大あくびをして起きた。
「…………。誰?あんた……。」
第一声が、コレであった。
「………、転校生?」
「…うん。山元っていうんだ。よろしく。」
「へー………、俺は………高須 信一。」
「……体育いかなくていいの?」
「……………、メンドくさい。」
「…………。」
口数すっくねーなぁ、コイツ。
でもイケメンだな。なんか悔しいけど。
「高須くん、趣味は?」
「………睡眠。」
「…じゃあ好きなものは?」
「………枕。」
「……嫌いなものとかは?」
「………日の光。」
なんつー野郎だ……。
なんか、つかれるなーコイツと話してると。
あー、ムリだ。気が合わねえ。
コイツとは友達になれそうにねーや。
そのとき、教室のドアがドーン!と大きな音を立てて外れた。
そこには5人ほどの男が立っていた。
「………不良?」
「………………また来た。」
教室にズンズン入ってくる輩。完璧不良だ。イナカモンだけど。
「高須ゥ……?まぁた授業サボりですかぁ??」
フードをかぶった大男がズイッと前に出た。どうやらこいつがリーダーらしい。
「…………メンドくさいだけだ。」
「ザケンなよっ!!!」
フードの男が高須のイスを蹴飛ばした。高須は転げ落ちた。
「おい!大丈夫?」
「…んー?誰だお前?新入りか?」
「…………俺に構うな。お前も……目つけられんぞ。」
高須が瞬を庇う。
「そーだな。新入りは黙って…このゴミがクズになるのを見とけやァァァァ!」
フードの男を中心に、高須がリンチされる。
教室で…しかも…俺の目の前で……。……うっとうしい!!!
「だぁぁぁぁぁ!!!!!」
瞬は一人の男に殴り掛かる。
「なっ…、てめぇ……メガネのくせに…。」
「メガネは関係ねえだろ?一人相手に五人で喧嘩するようなヤツ…俺は大っ嫌いなんだョ。」
瞬が指をポキポキならす。
「オイお前ら、高須はもういい…。今度はこのなまいきなクソチビ眼鏡をやれ!」
フードが言った。
…ものの10秒で終わった。
楽勝楽勝。こんなヤツら、空手使うまでもねぇ。
…………ハッ!やっちまった。イメージがぁぁぁ!!!
「………お前、許さねえぞ?この龍門学園の番長が、ハンマーセッションしてやらぁ!!!」
フードが殴り掛かってきた。
「………へぇ、なかなかやるなぁ。でもお前、俺より弱えな。」
水月に一発!!
「ぐ……へェ……。」
…さてと、ツラ拝ましてもらうか。番長の。
……!!
なっ………デカヤマ……?!
瞬:………ちっ、ちなみに特技は??
高:……………早寝。