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〜龍門学園〜

「…じゃ、行ってきます……。」


気乗りしないまま俺は家を出た。


「初日なんだから、しっかり頑張ってきな!!」


お袋が俺の肩をバシッと叩く。



四月六日。世間から見れば、『新学期』である、


今年から、中二になる俺。でも正直、中二で引っ越しって…ヤだよなぁ。



学校の場所は俺の家から直線距離で300mちょい、とめちゃくちゃ近い。


普通に歩いても5分かからずでいける距離だ。


しかし、道が入り込んでたりとかで、実際学校につくのは10分かかるらしい。


そんなワケで、始業式の始まる8時半に間に合うよう、俺は7時45分に家を出た。


お袋からは、初日なのでもっと早くから行けと言われたが、そんなトコに行くくらいなら、


昨日全空連様が提供してくれた我が家の道場で練習してる方が、ずっとマシだ。



俺は学校がキラいだった。


友達はいたが、何しろ前の学校では「空手の天才」とか言われて、


不良にケンカを売られたり、周りから変な目で見られたりしたからだ。



(…今度は、俺が空手やってるってこと…バレないようにしなきゃ…)


空手をやってる事がバレなければ、きっと普通に学校生活が送れるハズだ。


俺はチビで眼鏡で目立たなくて、


クラスメイトの一部から「あれ?お前いたの?」って言われるくらいで十分。



そうこう考えてるうちに、学校に着いた。


『龍門学園』……。すげえ名前。


学園証には竜のマークがはいってるし、見た目完璧不良校じゃん。



俺はさっそく不安になった。



だが、まぁ、中に入ってみるとそうでもない普通の中学校だった。


とりあえず職員室に入り、目立たないように事務の先生に転校の手続きをしてもらった。


担任と思われる先生は男の先生だった。


とてもゴツく、その割りにスーツで、ちょっとばかしヒいた。



「俺が担任の『剛堂ごうどう りき』だ!よろしくな!山元!!」


うわー、名前濃ゆっっっ!


「お前は2-Aだ!さ、ついてきたまえ。」


……うわー、今更だけど緊張してきた。


これから、漫画とかの定番の転校生扱いになるのか…。


あれほど目立ちたくないと思ってたのに、早速目立つのか……。



『2-A』と書かれた札が見えて、緊張はピークに達した。


「俺が合図したら、入ってくれよ?」


剛堂先生は顔に似合わないウインクをして、教室のトビラに手をかけた。


ガラッ!


「さ!席に着け!!」


中の様子は、外から丸分かりだった。が、幸い中から外の様子は分からなかったようだ。


生徒がみんな口々に呟いている。


どうやら、剛堂先生が担任であることに不満があるようだ。


「さてと…、今日、転校生がきた!」


おっ……いよいよ来るか…?来てしまうのか……!?


「入れ!山元!」


俺は深呼吸をしてトビラをあけ、


なるべく目立たないよう小さくなりながらそそくさと教壇に上がった。


うつむきながら、剛堂先生がチョークで黒板になにか書いている音をひたすら聞いていた。


「山元 瞬!東京から来たんだ。みんな仲良くな!!」


みんながザワつきはじめる。うわ〜、バリ恥ずかし〜〜!!


「じゃ、なんか一言!」


おいいいい!!!先生!無茶ぶりすなーーー!!!


こんな状況で喋れるかぁぁぁぁぁ!!!


……お前ら生徒も急に黙るなぁぁぁぁぁ!!!


めちゃめちゃ恥ずかしいだろぉぉぉぉ!!!



「…………。」


結局黙りこくってしまった。



「…ま、転校初日で緊張してるんだろう。じゃ、山元は、一番角の席で。」


先生……。フォローするなら、最初からやらせないでくれ………。



俺はさらにうつむいて、鞄を持ちながら机へ向かった。


途中で俺の顔を覗き込むような輩が何人かいたが、目をそらしてやり過ごした。



机に座ると、全員の視線がこちらにかかってきて、ウッとなった。


そんな中、俺の前の席のヤツは鼻提灯はなちょうちんをつくって爆睡していた…。

瞬:一番角の席でホント良かったぁ…。

  ………日差し強いけど…。

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