〜古川〜
「ふ〜、学校終わりっ!!」
首を左右に振ってコキコキ鳴らすと、なんか気持ちいいんだよなぁ。
「……で?部員はどうするんだよ?」
突然拓也が顔を近づけてくる。
近いよ、オイ。
「どう…って。まだ考えてないけど。」
「………道場で、ココに通ってる奴を探してみれば?…」
再びニュルリと登場、信一。
お前、それ趣味?
でもまぁ、考え自体はなかなか良い。
あんだけ人いたら、少なくとも一人はいてるだろう。
「じゃ、今日、帰りに行ってみるよ。」
そういうと、俺は信一と拓也を置いて早々に道場へ向かった。
道場に着くと………なんかいるんですけど。
なんか、張ってるんですけど…ヤンキーが。
しかもめっちゃいるし、イカツいし。
門下生がめちゃくちゃ入りにくそうな感じ……って良く見たら
ヤンキー集団の中にデカヤマいるじゃん!!
お前、なにやってんだよ……。
「お…来たぞ…。」
「アレが内山さんを倒したっつう……。」
「バカ…お前声でけえよ。本人に聞こえたらどうするつもりだ。」
「…にしても、とても喧嘩強そうには見えねーな……。」
ボソボソと囁く声が聞こえる。
デカヤマは俺を見つけると、ズシズシとこちらに迫ってきた。
「古川をそそのかすとは…お前…何が目的だ。」
デカヤマがいつになく真剣な(多分本人はいつもそうだと思うけど)目つきで俺を睨む。
「…こ…古川?」
「……ハァ…。古川に手を出して…生きて帰れるかな…。」
「…ど…どういう意味だよ。」
デカヤマは俺の質問を無視して、携帯を取り出した。
「…あ…あーあー、もしもし。内山だ、見つけた。
……ああ、やっぱりお前の言った通りだった。
捕まえとくから、早く来い。」
そういうと、デカヤマは携帯を閉じた。
「今の電話の相手は?」
「古川だ。ここに居てろ。俺はもう帰る。」
「ええ!?いいんですか!?内山さん!」
「そうですよ…コイツが逃げたりしたら、俺らが古川さんに…。」
「古川に……何だよ?」
デカヤマがヤンキー達にその先の言葉を言わせんとばかりの視圧を浴びせる。
「……一つ言っとく。俺は腐っても…”稔-zin-”の幹部だ。」
……腐っちゃ駄目だろ………。
そう言うと、デカヤマはヤンキー達を連れてどこかへ行ってしまった。
門下生はそそくさと道場に入って行く。
俺は古川って奴を待つ事にした。
まぁ大体目星はついてるが……。
「お…いたいた。山元く〜ん。」
……やっぱし。
古川って野郎は、予想通り、朝に俺に声をかけてきた不良だった。
「あれ?内山は?」
「……帰りましたけど…。」
「……っち。まぁ……いいか。」
古川が髪の毛を掻く。
「俺は「古川 龍魅」。」
「俺は「山元 瞬」です。」
「あーあー、知ってるから。…で、考えてくれた?グループに入る事。」
「はい。で、一つ、聞きたい事があるんですが…。」
「?何さ?」
「……何で……俺を、誘うんですか?」
古川は難しそうな顔をしている。
目を泳がせてはいるものの、その視線はさっきのデカヤマと同じ、真剣な眼だ。
そして不意に口を開いた。
「喧嘩してーから。」
瞬:いまさらなんだが、この場所って関西地区なんだよな?
拓:?当たり前じゃねーか。
瞬:なのに、なんで俺ら普通に標準語(東京弁)で喋ってんだ?
拓:………なんでやねん!
瞬:は!?