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テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~  作者: さとう
第四章 海洋国オーシャン編

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海洋国オーシャンへ

 数日後、全ての準備を終えて海斗たちは王城正門前に集合した。

 大きな二階建て馬車に、霧の国シャドーマで手懐けたブラックモーモのモータンをドッキング。魔獣であるモータンは馬よりもパワー、体力があり、数日程度なら不眠不休で馬車を引っ張れるそうだ。

 馬車の前には、海斗、ハインツ、マルセドニー、ナヴィア、イザナミ、クルル、ツクヨミ。そして旅衣装に身を包んだクリスティナだ。

 クリスティナは、海斗も原作で名を知っている宰相、ドミニカへ言う。


「ではドミニカ。あとはお任せしますね」

「はい。クリスティナ様、どうかお気を付けて。それと救世主カイト殿と、護衛たち……どうか、クリスティナ様のことをお守りくださいませ」


 初老の宰相ドミニカ。原作でも有能な宰相である彼、さらにタックマンたちハインツの師匠たちに国を預ければ、ひとまずは問題ないだろう。


「よし……行くか」


 全員、馬車に乗り込む。

 クルルが御者席に座り、モータンに「じゃ、行こうか」と言うと「モォォ」と鳴いた。

 馬車が走り出し、デラルテ王国から海洋国オーシャンへ向かう。


「ガストン地底王国からの分岐路を通って、海洋国オーシャンへ向かうんですよね」

「ああ、そうだな」


 馬車の中では。

 一階部分では海斗とクリスティナ、窓際で本を読むマルセドニー。二階ではナヴィアとハインツがお喋りし、ベッドで爆睡するツクヨミ。馬車の屋根ではイザナミが座り周囲を観察していた。

 かなりの大人数である。


「皆さんと一緒に海洋国オーシャンへ向かうのかあ……カイトを召喚してからはずっと仕事漬けでしたし、なんだか新鮮な感じがしますねー」

「戦いになる可能性は低いけど、お前はお前で油断するなよ」

「し、しませんから。というか、私いちおう女王ですからね? ちゃんと守ってくださいよ」

「はいはい。とりあえず確認……お前が向かうのは、海洋国オーシャンの首都だよな」

「はい。カイトは知ってますよね? 海洋国オーシャンの首都は海上にあるって」


 海洋国オーシャン。

 首都は海上に浮かぶ海上国家であり、地上は魔族の自治区、海中は海人の国になっている。

 もちろん、人間であるクリスティナは海で呼吸できない。なので、魔族の自治区にある『海中経路』を使い、海底にある他種族を迎えるための建物へ向かうのだ。


「魔族の自治区……話では、海人と連携しているって話ですけど」

「真実だ。恐らく、十二の国家で一番、魔族と仲良くしている国だ。『求愛』インナモラティが何年もかけて、海人と魔族の関係を良好にしたからな」

「知らなかったですね……」

「まあ、十二国家は閉鎖的だしな。デラルテ王国は海洋国オーシャンと交流ないからわからなかっただろ」


 海洋国オーシャンは、閉鎖国家だ。

 国の特色を考えれば流通や交友があってもいいのだが、魔族が他種族を見下しているという事実は海洋国オーシャン以外では当たり前。それらを持ち込むのを防ぐために、海洋国オーシャンは閉鎖している。

 だが、執政官が半数消え、どの国も自主性を持ち始め、連携を取り始めた……インナモラティが交流を許可したのだと海斗は考える。

 

「とにかく、お前は仕事をしろ。俺は途中で行くところがある」

「え……そうなんですか?」

「ああ。ほれ」


 海斗は、鳥の骨の頭をクリスティナへ。

 クリスティナは露骨に嫌そうな顔をしたが、ハンカチで包んで受け取った。


「……なんですか、これ」

「俺の力を注いだ骨。これでどこにいてもお前の場所がわかる」

「はあ……」


 クリスティナはポケットに骨を入れる……かなり嫌そうに。


「お前の護衛はツクヨミ、イザナミ、クルルに任せる。俺とハインツたちは途中下車するからな」

「ど、どこで降りるんですか?」

「海洋国オーシャン郊外、陸沿いにある町だ」


 海洋国オーシャンは海に浮かぶ国だが、海岸沿いの陸地も領内ではある。

 大地の上でないと農作物が育たない。陸地も必要なのである。

 海斗たちが向かうのは、陸沿いにある小さな町だ。


「とりあえず、お前は仕事優先だ」

「わかりました。あ、リクトはどうします?」

「……最初に会うのはお前だ。恐らくヤツは王城に向かうはずだ」

「え、わかるんですか?」

「……まあ、な」


 海斗には、やるべきことがあった。

 海洋国オーシャンでは、ハーレムメンバーの一人であるオーミャがいる。リクトと接触すれば物語が動き始めるので、その前に接触しなければならない。

 

(オーミャ、あいつが執政官の情報をリクトに流したらおしまいだ……)


 馬車は、海洋国オーシャンに向かって順調に進んでいく。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日の夜。


「……カイトと、三人は、別行動?」


 全員で焚火を囲み、イザナミが言う。

 クルルは、骨付き肉をモグモグ食べながら言った。


「はじめて聞きましたけど……用事ですか?」

「ああ。大事な用事だ。クルル、イザナミ、ツクヨミの三人はクリスティナの護衛を頼む」

「まあいいぜ。この身体は立派なお嬢ちゃんに付いてりゃいいんだろ」

「な、なんですかその言い方!! セクハラ、セクハラってやつです!!」

 

 この世界にも『セクハラ』という言葉があることに海斗は微妙に驚いた。胸を押さえるクリスティナ、それを見て笑うツクヨミを放置して言う。


「三人組、頼むぞ」

「あのさ、あたしらひとまとめにして言うのやめてよ」

「同感だ」

「ったく、ハインツ様を筆頭とした三人組って言いやがれ」

「はあ? ナヴィア様の間違いでしょ」

「やれやれ。馬鹿二人に付き合う天才マルセドニーの間違いだろう?」


 ギャアギャア騒ぎだす三人。海斗はそれを無視。


「イザナミたち。今回は戦闘にならないと思う。それと……海洋国オーシャンには、俺とは別の『救世主』がいる。会うこともあるだろうな」

「カイトさんとは別の救世主……」

「どんな人間なのだ?」


 クルル、イザナミが言うとツクヨミが言う。


「ザンニは、『偽善者』って言ってたぜ。自分とその周りしか見えていない。単純で利用しやすいってよ。力があるけど、それだけだってな」

「な、なんか会いたくないなあ……」

「同感だ……カイト、あなただけでいい」


 イザナミが言うが、海斗は首を振る。


「一応、主人公なんだ。正直いない方がいいけど、そういうわけにもいかないしな」


 イザナミは「主人公……?」と首を傾げる。

 海斗はそれに答えず言う。


「とにかく。海洋国オーシャン行きの船に俺たちは乗らない。そっちは任せるぞ」

「はい。といっても、会談だけですけどね」

「船!! そうだ、船でした!! イザナミさん、船って乗ったことありますか?」

「小舟はある」

「ワクワクしてきました!! ん~楽しみ」

「いいなぁ。ねえカイト、あたしらは本国行かないの?」

「……わからん。展開次第」


 こうして、海斗たちの夜は更けていく。

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テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
レーベル:GA文庫
原著:さとう
イラスト:山椒魚
発売日:2025年 5月 15日
定価 863円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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