決戦
金屏風輝く宮中書斎。
長上は、英賀手から絵手紙を見せられ、意見を聞かれていた。
「英賀手さま。この絵…素晴らしいな」
「うん! 天音……喜んでくれるやろか?」
「うむ。しかし、これからは文字の時代だ」
「…文字?」
「大陸当て字…万葉仮名で“文”を交わしてはどうだろう?」
長上は英賀手に熱弁を振るった。
「上の者から率先して使うことの大切さ!
英賀手さまは宗女。伝統を重んじつつ、
新しいものを取り入れる柔軟さも必要!」
「…ふぁ~ん…長上がそう言うなら…」
英賀手は、いつになく熱心なその様子に、思わず首肯した。
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ーー海霧が色濃く残る、雨の川辺。
長上ーー阿諛ーーは、計里氏による反乱鎮圧後、
水汲み場にて、かつての恋人・計里勾人の✝封印されし日記✝を発見した。
後日、門客に代読依頼すると、腹を抱えて笑い出した。
「阿諛、本日宮中行事にて~₍₍◝( ゜∀゜)◟⁾⁾」
「長上には隠しきれない育ちによる粗野な振る舞い(・∀・)」
「阿諛の自然体に嫉妬し…ククク(◜‿◝)♫
あ~可笑しい」
「…なんじゃこりゃあ!?Σ(゜o゜)」
でも自分で読みたいから、大陸当て字を門客に習うことにした。
天媛の死後、今度はひとりで読んでみた。
「こりゃ天媛襲ってはいないわ…純情浮かれポンチやんけ」
長上は安堵の表情を浮かべる。
そうだ……彼は、不義の子という生まれに悩み、苦しんだ。
結局反乱軍の誰かが襲ったのなら同じこととはいえーー彼個人の名誉は、俺だけが記憶しよう。
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長上は、英賀手に
長上が自分で書き写した✝抜粋日記✝を朗読した。
「これはある女の宮中日記…読んでやろう」
「恋の予感…?」
【✝抜粋日記✝朗読タイム】
長上「( ^ω^)『〇月〇日 阿諛、本日宮中行事にて初めての参内…』」
英賀手「ふ~ん…(どうして長上が持ってるの?)」
長上「( ^ω^)『長上、御前の扇子を逆に持ちそうになったり…』」
英賀手「ぷっwww 長上それ本当?(´艸`)」
長上「( ^ω^)『阿諛の自然体に嫉妬し…』」
英賀手「え~!?長上モテモテやん!(≧▽≦)」
長上「( ^ω^)『あの笑顔を誰も独占できぬのかと…』」
英賀手「この女官…めっちゃ長上好きやんwww(//▽//)」
長上「( ^ω^)…しっ!誰にも言うなよ!(汗)」
英賀手「(´ω`)でも…ちょっとおもろ~」
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夜比古は激怒した。
必ずあの天性謀略の鬼を、除かねばなるまいと。
「…文字?」
「長上が…万葉仮名はどうかと…」
「私の、絵師としての努力を全否定だと!? ヽ(`Д´)ノプンプン」
ーー英賀手さまの絵心を育て…
天媛の遺志を継ぐ指導を…
すべて無に帰す気か!
やっぱコイツ、英賀手さまを支配する気だ!
夜比古は書斎に駆け込んだ。
「絵には魂がこもる!
英賀手の心は、私の指導で表現してきた!
それを『文字の時代』だと!?」
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政務殿では、重臣たちも大混乱。
阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れる。
「文字なんてアカンアカン!」
「大陸文字やと?! 英賀手さまにはふさわしゅうないわ!」
「絵手紙こそが伝統や!」
引き立て派閥もパニック状態。
「万葉仮名だと!? 異国風情!」
「英賀手さまのお手手が汚れる!」
「絵師・夜比古どのの名誉が!」
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英賀手は考えた。
「…長上が言うなら…
遅筆も改善するし…
将来のためになる…やろか…?」
(絵も好きやけど~
長上のためなら…
でも夜比古悲しそう…
ヨヨヨ…どないしたらええの…?)
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あやぎり朝の合議場にて、決戦の火蓋が切られた。
【長上陣営】
長上「未来を見据えた決断!
文字は文化の進歩!」
【引き立て陣営】
夜比古「絵には魂がある! 英賀手の才能を潰す気か!」
引き立て「そうだそうだ!」
【重臣陣営】
重臣総代「伝統を守れ! 大陸文字など異端や!」
重臣「せやせや!」
【宗女審判】
英賀手「ヨヨヨ…みんな…(´;ω;`)」




