表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

菜蕗

 あれから管媛(くだひめ)の侍女は寵愛著しく、鈴媛(すずひめ)の名まで授かった。

ただ使いっ走り根性がいつまで経っても抜けないで、管媛(くだひめ)には言いなりの低姿勢を貫くものだから。(ひめ)達の中で、管媛(くだひめ)は益々調子づいていた。


今日など旅芸人の一行が長上(おさがみ)に招かれて、(ひめ)達の前で近頃流行りの曲を演奏し、いくつか披露したのだが。


「何という音色でしょう。得意部分らしき箇所は、どうにか音を外さないけれど……。それでいて聞くに堪えない。殆ど滅茶苦茶な音程で、他の者の演奏にも間に合ってないし、勝手に飛ばす。この程度でよく旅芸人が務まるものですね」


管媛(くだひめ)は手厳しいな。なまじ吹けるから、一家言あるようだ」


「当然です。笛の音にかけて、この管媛(くだひめ)の右に出る者は居なくてよ」


鈴媛(すずひめ)長上(おさがみ)に願い出て居室に下がり、横笛を持参して再び戻ってから、管媛(くだひめ)にそれを手渡した。使い込んでいるだろうによく手入れされていて、古さは微塵も感じさせない。


菜蕗(ふき)といふも草の名 茗荷(みようが)といふも草の名

富貴自在 徳ありて 冥加(みようが)あらせ給へや


管媛(くだひめ)は、厭味ったらしい自慢屋だ。しかし矜持ある態度というのは、何も出自や家柄だけでなく、何かに秀でているからこそ裏打ちがあって、揺るぎ無く自然に身に付くものなのだろう。




楽曲解説∶菜蕗フキより引用

https://shakuhachi-genkai.com/analysis/analysis06-fuki.html


菜蕗

作詞:不詳 作曲:八橋検校

https://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/huki.htm

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ