表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

剣呑

 狩りの件はどうなったのやら。英賀手(あがで)は再び長上(おさがみ)の病床へ舞い戻り、事の推移を見守っていた。


匪躬(ひきゅう)っ、今日という今日は、もう勘弁ならん。自らの過ちを、ちっともお分かりでないようだ」


「ああそうだな。留守役(るすやく)などさっさと追い出して、阿諛(あゆ)と二人きりにならなかったのが全ての誤り。まさか王朝交代に巻き込まれるとは思わなんだ」


いい年した連中が、何をそんなに言い争っているのやら。英賀手(あがで)は退屈でしょうがなかったが、長上(おさがみ)はそうでも無さそうだ。


「あ~らら、やきもちなんか焼いちゃって。分かった分かった、休暇中くらい匪躬(ひきゅう)とは二人きりで過ごそう。別にいいだろ留守役(るすやく)、減るもんじゃないし」


「減ります。長上(おさがみ)としての威厳が確実に」


「それは困ったな~。じゃ、おじさま。そういうことだから。遊び相手は他を当たって」


「待て阿諛(あゆ)っ。そんなつもりは……」


「聞いて呆れますね。遊びじゃないなら何なんですか、まさか本気だとでも。攫って付き纏った挙げ句、右も左も分からない相手と関係まで結んでおいて、その上まだ欲しがるとは。厚かましいにも程がある。やはり早めに縁談を受けさせて正解だった」


留守役(るすやく)は心底軽蔑した表情で匪躬(ひきゅう)を見やり、匪躬(ひきゅう)はうなだれてさめざめと泣き出した。それを長上(おさがみ)は、場違いな程面白がる。


「へー、だからあんなに次々と。あっはっは、もう離婚も再婚も繰り返し過ぎて、顔も名前も思い出せないや~。途中で一人、とんでもない頑固者が居残り続けたから苦労したよな。ほとんど円満離婚してきたのに、とうとう別れてくれないで。知らない土地へ置き去りにしても追いついて来たから、参った参った。出世と夫婦の観点からは、見る目があるのか無いのか……どっちかな」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ