表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/102

白銅の首飾り

阿子は、山師の屋敷を訪ねていた。


なんでも、草木を枯らして禿山を作り出したとかいう、あまりよくないうわさを耳にしていたし、たまたま観衆の中に、山師の屋敷づとめをしている者もあったからだ。


「まあ」


よくぞお越しくださいました。

土産の反物に微笑む山師の娘の首元には、白銅の頸飾が煌めく。

阿子はわらって、屋敷の内部構造の把握に務める。 


ーー約一ヶ月後、山師の屋敷には、刑部の下級官吏を名乗る偽役人が現れた。


ーー約一週間後、寝静まった山師の屋敷。


ある者は縛られ、ある者は顔面を殴打され、ある者は一突きにされていた。

山師の蔵は開け放たれ、貧民街には、貴金属の類が広範囲に渡ってばらまかれた。


「何も分からないのです。気がついたら目隠しと猿ぐつわをされていて……」


彼女は声を震わせ、指先で目元をこする。嗚咽が小さく漏れる。


「騒いだら殺す、と……う、うううぅぅ……おとっつぁん、私たち、これからいったいどうしたらいいの……?」


彼女の肩が小刻みに揺れる。

首元で、形見となってしまった白銅の頸飾がかすかに動く。


「やっぱり、悪い事してたんだろうって……誰も助けちゃくれない……」


無傷で助かった山師の娘だが、その精神はズタズタに切り裂かれていた。

取り乱す彼女に、冷静沈着な声がかかる。


「この下手人は必ず引っ捕らえる。

 些細な事でも何でもいい。

 なにか違和感を覚えた事は?

 使用人に、変化は見られなかったか?

 借金苦や、人間関係の恨み」


「そんな……生き残った仲間を疑うだなんて……」


山師の娘は堪えきれず、机に突っ伏して泣き出した。

白銅の頸飾は、彼女の首元で煌めく。


「刑部」


刑部は冷静に山師の娘を観察し、状況を分析していた。

一旦は全てを疑わなくてはならない。

それが山師の娘だって、例外ではない。


ーー阿諛がこちらを全力で眺めて来る。なんだ?


ーー俺がこの娘を泣かせたとでも言いたいのか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ