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0 感動のフィナーレと思っていたのか?

 スーパー戦隊って公務員なのか?そんな疑問から生まれました。

【タイトル とじこめられの→とじこめられたの、あらすじ 一年にも→一年もの、その中にに→その中に】 山間の盆地の一角、30メートルほどの巨人は、最後の力を振り絞っていた。

「いくぞ、みんなこれで最後にするぞ!」

 聞こえるのは、最後の最後まで活力にあふれるリーダー、ゴヨウレッドの叫び声。

「ふっ、この部の悪い賭けは嫌いじゃない。」 

 クールでニヒルなゴヨウブルー。やや不謹慎なようにも見えるが照準はこいつの担当。

「地球はみんなのものよ。」

 かわいくも誠実な印象な声のピンク。

「全エネルギーを、ゴヨウキャノンの回します。正真正銘、乾坤一擲、最後の一撃です。」

 冷静で生真面目なイエローのいつも通りの声。

 コクピットに集まっている仲間の声を聞きながら、俺も自身の担当分の操作を必死に行っていた。モニターの向こうには、宿敵であり地球を支配するためにやってきた悪の宇宙人、ゾクアークの首領があやつするアーク城がアップで映っていた。

『フハハハハハ、無駄無駄。このアーク城は我らの最後の砦にして、侵略ではなく破壊を目的とした最強の兵器、貴様らのような矮小な存在にはキズ一つつけられん。』

 聞こえてくるのは、ゾクアークの首領である、ゴクアークの傲慢で自信にあふれる声。正直イラっとする。一応世界の命運をかけた戦いなのに、なぜスピーカーでキャンキャン吠えながら戦わなければならないのか、一年以上戦ってきた俺には未だに分からない。

 とOK。ここで一旦今の状況を整理しておこう。俺の仕事はこの後の砲撃の際の姿勢制御だ。今なら余裕がある。


 1年前、突如として太平洋の海上に現れたアーク城とゾクアークの一味。奴らは地球侵略を企む宇宙人、つまり悪の組織だ。怪人と呼ばれる特殊工作兵による破壊工作や巨大兵器による侵略行為。圧倒的なその力に地球は瞬く間に侵略されるかと思われていたが。地球のインフラや労働力の確保のために絡めてな方法が多かったこと、そして何より地球側にも防衛戦力が充実していため、状況がわりと拮抗たのだ。

 そう、その防衛戦力こそ、今俺が所属させられている、特務戦隊ゴヨウダーなのだ。

『ミンナ、わたしたちにかまわず、ウってください。』

 と説明の途中だが、砲手エリアにいるゴヨウゴールドからの通信が入った。出力は十分ということだろう。

『うん、終ったら、寿司食べ放題。グリーンのおごりで。』

「いや、なんでだよ。」

 同じく砲手エリア担当である、ゴヨウシルバーの気の抜けた冗談に、俺は初めて声をあげた。

 あっどうも、自分、ゴヨウグリーンです。もう忘れていいよ。

「照準よし、いつでもいけるぞ。」

「おう。」

 いつものブルーとレッドのやり取り。そして、オレイガイの四人はそれぞれがびしっとポーズをきめる。

「行くぞ、ごくらーく、地球はお前たちには渡さない。」

「青い空を」

「愛するみんなを。」

「守るべく秩序を。」

 なお、このポーズに特に意味はない、いいからはよボタンを押せ、レッド。

「「「「必殺、ゴヨウレインボーキャノン!!」」」」

 揃ったポージングとともに発射ボタンが押され、文字通り7色の極太のレーザー砲が画面に映る。

(いつ見てもゲロビ―だよな。)

 緊迫して身構える四人に対して、俺はわりとのんきにそんな感想を持っていた。

 正直に言うと別に状況は切迫してない。

 ゾクアークの侵略は3年前から予測されていた。そして俺たちは侵略に対する準備のために訓練に明け暮れていたのだ。結果として、水際で多くの企みを食い止めることに成功、後がなくなったゴクアークが侵略から破壊に計画を変更、最後の決戦に挑んできたというだけだ。

『むだよ、そんな豆でっぽうで、バリアーが破けるか。』

 うざったい高笑いがなんともイライラさせる。まあ確かに、以前同じような攻撃でキズ一つつけられなかったからね、そりゃ自信があるよね。

「くっ、俺たちは地球の看板背負ってんだ。」

 首領の煽りに、噛みつくレッド。いや、そんな重いもん背負わせるな。

「今度は外さん。」

 ブルーよ、前回もお前の狙いは正確だったぞ。

「みんな諦めないで。」

 ピンクさんに至ってはすることがない。

 なんだろう、この茶番、こいつらミーティング聞いてたはずだよな。

「イエロー、タイミングは。」

 蚊帳の外になりながら、俺は唯一冷静なイエローに声をかける。

「呉越同舟、準備万端、来ますよ。」

「よし、こっちもやるぞ。」

 レインボーゲロ(俺命名)は、俺たちの乗っているマックスキングゴヨウダーの最終兵器だ。持っているエネルギーをなんだかよくわからない仕組みで力に帰るよくわからない技術ってやつだ。そして人類を守るための兵器がそれだけのわけないだろう。

「全オプション使用許可申請・・・申請通りました。」

「ほい、レッド。」

 ややこしいのは、その使用許可だが、流石にこの状況で出し惜しみなんてあのバカ上司もしない。

「イエロー、グリーン。わかった。」 

 ただ、このロボの武器の最終判断はレッドにある。正直めんどくさい。

「ゴヨウミサイル、ゴヨウマシンガン、ゴヨウキャノン、ゴヨウクレイモア。」

 ビームの他にも搭載されている数々の飛び道具を次々に発射していく、ちょっとした打ち上げ花のような派手さだがどれも周辺を更地にするほどの破壊力を秘めている。

『むだむだ、そんなもので。』

 それでも余裕そうな反応だ。

 だが、考えてもほしい、世界を散々騒がせた悪の組織がここまで追い詰められているのだ。

 こんなチャンスをたった7人の戦闘員に任せるだろうか。

『うん、何だ。この音は。』

 最初に届いたのは高速で飛来する飛行音だった。

 そして、正面後ろ、アーク城の背後が爆発が見えた。

「ジャストタイミング。」

 ぼそっとつぶやきつつ、俺は俺の仕事に集中した。

『おのれ、おのれー。』

 ついで飛んでくる多くのミサイルや砲撃、そして爆撃を繰り返す戦闘機。

「みんな、来てくれたのか?」

 いや、みんなってだれだよ。知らない人だぞ、レッドよ。

 なんてことはない、そもそもこの決戦自体が世界規模の軍事作戦であったにすぎない。

 俺たちが正面からアーク城の注意をひき、その隙に各国の軍隊が地上、海上問わず展開。先ほどのタイミングをきっかけに、今まさに、歴史上初の人類総攻撃が行われているのだ。

『く、卑怯だぞ。それでも正義の戦士なのか。』

 さすがに旗色が悪いのか声が一気にトーンダウンした。(ざまあ。)

 反撃しようにもバリアーを展開していてできない、バリアーを解除すればハチの巣。はい、集団リンチですが、何か問題でも?

『おのれ、おのれ。』

 もがく首領の声とともにバリアーが減衰するのは比較的早かった。多分5分もかかっていないだろう。まるで最終回だ。

 正直ここまで長かった。

 各国への根回しと、核兵器など環境への影響がやばすぎる兵器の使用はしないことへの取り決めや着るゾーンの設定。ばれないようにレッド、ブルー、ピンクには内密にイエローと俺があちこち駆けずり回って仕込みをした。もうね、隙あらば利権やら新兵器の実験を使用とするバカには文字通り肉体言語で語ったりもしたよ。ホント疲れた。

 だから、この最終局面で少しだけ不謹慎にみえる脱力も勘弁してほしい。

「ああ、やっと解放される、こいつらから。」

 いよいよ爆発しそうな敵の城をみながら、俺はそっと涙するのであった。

 次回予告  

戦隊ものの最終回、悪のラスボスを倒した直後の、コクピット。事件は底で起こるのか?

 の前に、グリーンさんのこれまでをざっと語ります。

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