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作者: 佐藤朝槻
掲載日:2023/03/13

 

 なにもしたくない。

 なにものにもなりたくない。

 凪いだ海を眺め、穏やかに過ごしたい。

 なのに君はぼくを可哀想だなんて揶揄するのだね。


 可哀想? どうして?

 ぼくは気づいただけだ。

 この孤独を抱きしめていたい。

 いや、嘘だ。君が好きだ。離れたくない。

 けれども心のなかは孤独でありたい。

 すがってしまわないように。


 寂しそう? 可哀想?

 つれないこと言わないでよ。外野は黙っててよ。

 疲れさせないでよ。

 楽でいたい。

 苦しくなりたくない。

 でも、生きていたい。

 たったそれだけのことなんだ。

 簡単なことのはずなんだ。


 生きるなら、人生が砂の味では飽きてしまうから。

 人が頑張る理由なんてシンプルでしょ。


 生きることは苦しみを伴う。

 それを否定するほど子どもじゃない。

 苦しいのは、どこに向かって歩いていけばいいかわからないことだけ。


 灯りはどこですか。

 どこにいけば灯りは手に入りますか。

 この道にはどんな茨がありますか。

 あの道には何がありますか。ガソリンスタンドは潰れてませんか。


 そっか。こんなふうに迷子になるぼくが、君は可哀想に見えたのだね。

 ああ。やっぱり、君、ずっとそばにいてくれない?

 寂しいんだ。悲しいんだ。

 生きていくのに君が必要だ。

 君はぼくの帰る理由。勇気の源。

 背中を押してくれるだけで頑張ることができてた。

 今になって理解しても遅いね。

 君からしたら理不尽だね。

 傷つけたのはぼくのほうだ。

 こんな後悔するなんて思わなかったな。


 それでも君のいない道を歩くよ。

 ひとりぼっちの道だとしても、休む時間が長くなっても。

 灯りはきっとある。君から離れた今ならきっと見つけられる。

 ぼくを連れて歩くことだってできる。

 君の穴を埋めず生きることだって、できるのだ。


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