君の尻尾は見え隠れ
春の陽気に包まれ桜咲く4月。
俺(藤川 成隆)は高校2年生となった。
一年生の歓迎会を終えて、帰ろうとすると下駄箱に1通の手紙が入っていた。
手紙の内容はおそらく、放課後体育館に来てくださいとかだろう。
体育館に行くと案の定告白された。まぁ、予想は当たっていたな。
返事は考えてあるので口に出す。
「もふもふ感がないので、貴方とはお付き合いできません。」
相手の子はぽかんと口をあけ、突っ立ってしまったので「それじゃ...」といいそこから去った。
その様子を見ていたのが友達の石川 直樹。
直樹「今日も女の子振ったの。結構可愛かったと思うけどな」
俺「俺はもふもふ感がない子とは付き合えない。駄菓子屋の看板猫のまおならいけるけど...」
直樹「猫ならいいのかい...そのもふもふ感がないってどういう意味なんだよ…」
俺「そのままの意味だけど…?」
直樹「そうじゃなくて…お前、そういうところザンネンだよな」
うん。ここまで見ていただけて分かっただろう。
俺はもふもふが好きすぎて、彼女ができない残念な男なのだ。
現実にそんな、もふもふしている人間なんていないとはわかりきっている。
それでも諦めきれないのだ。
今日現れなくてもいつか現れると信じて明日に臨もう。
と今日も俺は心の中で思うのであった。