ヒロインの「可愛さ」をどう描くべきか、という問題
1年ほど前から小説家になろうの作品を読み始め、自分でも書いてみよう、と何度か試しては途中で心が折れるのを繰り返している。折れてしまう理由は簡単で、着地点までの道のりの想定が甘く、見切り発車気味に投稿を始めてしまうことだ。それに気づいた今回は、プロット、というほどではなくとも、どんなことがあって、最終的にどんなふうになる、というのを比較的真面目に考えてから書いているつもりである。
さて、自分の書く文章を見ながら、ふと思ったことがある。それは、端的に言えば「もっと女の子を可愛く書きたい」ということだ。自分の頭の中では十分魅力的な人物たちなのだが、それを文章としてきちんと伝えられているか、となると疑問符がつく。そこで本稿では、今後も更新を続けていく上で、どうすれば文章上で女の子の「可愛さ」を表現できるか、ということについて考えたことを備忘録的にまとめてみることにした。
まず、「可愛い女の子」の定義は人によって異なる以上、そこから定義せねばならないだろう。とはいえ、言葉で定義をするのも難しいので、有名作品のなかから、挿絵・アニメなどの視覚的な情報を抜きにしても、文章から個人的に「可愛い」という印象を受けるヒロインを列挙してみる(著者名は敬称略)。並んだ名前から、筆者の抱く『可愛い女の子』のイメージを掴んで頂ければ幸いである。
クルーエル・ソフィネット(細音啓『黄昏色の詠使い』、富士見ファンタジア)
姫柊雪菜(三雲岳斗『ストライク・ザ・ブラッド』、電撃文庫)
大蓮寺鈴鹿(あざの耕平『東京レイヴンズ』、富士見ファンタジア)
朝比奈みくる(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』、角川スニーカー文庫)
リュー・リオン(大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、GA文庫)
以上が個人的に可愛いと思うヒロインランキングトップ5である(あくまで個人の感想、異論は認める)。なお、ハルヒに関してはアニメから入ったので、後藤邑子さんボイスの影響の可能性は排除しきれないことを付記しておく。
小説家になろう内の作品で言えば(同上)
上月日和(双葉三葉『子守り男子の日向くんは帰宅が早い。』 N0637EW)
恵那唯(同上)
綾瀬光(としぞう『親友モブの俺に主人公の妹が惚れるわけがない』 N1166ET)
日羽アリナ(水埜 アテルイ『毒舌少女のために帰宅部辞めました』 N6599DS)
アンジェリン(門司柿家『冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた』 N5947EG)
あたりが最近印象に残ったヒロインである。他にも可愛らしいヒロインの出てくる作品があれば是非教えて頂きたい。
なお、以上ヒロインたちを挙げたのは、具体的な『可愛いヒロイン』の例示にすぎず、これ以上の個別の論評は控えたいと思う。従って、これから述べることはあくまで「どうヒロインを可愛くするか」ということに過ぎず、上記のヒロインに関して直接言及しているわけではないことを事前に断っておきたい。
ここからが本題だが、自分の作品の反省も兼ねて、ヒロインを書くときにここを意識すると良くなるんじゃないか、と感じた点をいくつか挙げてみる。
1.言動の一貫性
ヒロインとか、可愛らしさ以前の問題とも言えるが、場面によって口調や性格、言動がブレてしまうと、人物としての魅力を感じてもらえなくなるだろう。というより、「どんな人物か」ということ印象が与えられない以上、魅力を感じろという方が無理だと思う。
2.キャラごとの差別化
現実には一口に個性を表現できるような突飛な人物はそうそういないだろう。しかし、小説にあって、登場人物が皆同じような口調でしゃべり、同じような気遣いを見せ、同じような行動をしてしまうと、一人ひとりのキャラが立たず、印象に残らない。ある程度分かりやすくキャラを作ることも必要だろう。また、女の子を登場させすぎるのも、印象に残すという観点からは避けたいものだ。
3.デレの兆候
主人公に対して一切の可能性を感じさせないヒロインは、人気が出にくいのではと個人的に思っている。特にメインヒロインの場合には、初めからデレッデレとはいかなくとも、何かしら主人公に気を許した素振りや照れた表情などがある方が読みたくなるように思う。サブヒロインであれば、「え、お前主人公のこと好きだったの」的な驚きを読者に与えられる点で悪くはないと思う。
4.身体的な女性らしさの描写
口元や顔の輪郭、胸元などの身体的な部分や、ちょっとした所作など、視覚的なファクターが無視されるということは、現実の恋愛においては考えにくい(もちろん内面的な魅力をもった女性であることが前提ではあるが)。であれば、主人公がそういう部分につい目線がいってしまう描写くらいはあってもおかしくないと思う。もちろん過剰になれば品位が落ちるだけだが、全くないのは男性を主人公とした小説としてはかえって不自然だと思うのだ。
5.そもそも筆者自身にとって魅力的な女の子であると感じられること
たとえば、先ほど挙げたクルーエルの良さについて語りなさいと言われれば、10000字くらいは余裕で語れる自信がある。それくらいの愛着を自分のヒロインにもてているか、という問題。どんなところが良いのか、どこにキュンと来るのか。作者自身がそれを熱く語れるようでなければ、読者には伝わらないのではないか。筆者が本当に伝えたいと思うことしか読者には伝わらない、と言うのは、強ち極論でもないだろう。
一方で、意図的に避けている事項もあるので、こちらも列記しておく。
1.あまりに分かりやすいキャラ立て
「ツンデレ枠」「幼なじみ枠」「生徒会長枠」といった、いわばテンプレートになった属性のセットは、人物像を考える上では楽だろう。それに、「ああ、○○枠ね」と理解してもらえるので、印象にも残しやすく、なおかつその属性推しの読者から支持を得やすい。しかし、実際にそんな女の子がいるだろうか、と考えたときに、リアリティという観点からはむしろマイナスになるというのが個人的な意見だ。とはいえ、人物像を考える上でのたたき台として使う上では便利なことには違いない。また、その「テンプレ性」をメタ的に逆手にとるような作品も多く存在していることも認識しているが、それについてはここでは深入りは避けることにする。
2.過剰な性的アピール
これは個人的な好みだが、別に特別な間柄でもないのにあからさまに無防備になったり、胸を押しつけてきたり、というシーンはあまり好みではない。中高生くらいの年齢だと特にそう感じる。肉体関係を持つこと自体を否定するつもりはないが、もう少し踏むべき段階があるだろう、と感じることが少なくない。
3.とりあえずおっぱいを大きくする
安直だな、と思う。実際胸の大きさを気にする男性がどれほどいるのか。先ほどの第4項で指摘したとおり、ふと目線がいってしまうくらいのことはあるかもしれない。だが、単純に胸の大きさに女の子の魅力を感じる男性というのはごく少数だと思う。
結局「ヒロインの魅力が足りない」というのは、畢竟「伝える力」が足りないということと同じだと思う。逆に言えば、「ヒロインをいかに可愛く描くか」を突き詰めることは、単純に文章力を上げることにもつながるのではないか。ここで論じたのは現時点で感じた抽象的・観念的な指針ではあるが、少しでも質の良い文章にするために、よりいろいろなことを考えて執筆に挑戦したい、と考えている。
何を当たり前の事を、と思われる作者の皆様もいらっしゃるかと思いますが、初心者なりに思ったことをまとめてみたらこうなりました。内容への異論・反論や「こんなことに気をつけると良い」等のアドバイスがございましたら、感想欄やメッセージ等で教えて頂けると非常にありがたいです。
また、本文中でタイトルをお借りした作品のリンクを下の方に貼ってあります。有名なものばかりですが、もし読んだことのないものがあれば、是非ご一読をお薦めします。




