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 ゴトゴトと響く馬車の中重苦しい沈黙が続いている・・・

 どうしてこうなった・・・自分が楽しみたい、楽したいだけだったのに・・・


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 城に着き通されたのは謁見の間ではなく執務室、宰相がソロバン無双してた・・・なんだよこれ。


「おお来たかオセロ男爵、素晴らしい物を考え付いてくれたな、おかげで滞ってた書類もサクサク進むわい!」


 国王陛下・・・どんだけ書類溜めてたんですか・・・宰相がハイになってるようですが・・・無視ですかそうですか・・・


「それで追加の()()は持って来てくれたんだろうな?あるんだろう?これが有れば大臣たちをもっとこきつかい・・・はたらかせ・・・役に立てる・・・ん~…とにかくもっと()()を!」


 ドン引きである・・・どんだけ今まで役に立っていなかったんだ大臣ズ・・・


「陛下、ご入用のソロバンと呼ばれる物でございます、シリアルナンバー5~9まで用意してございます」


 ロットさんさらっと自分たちの物が取られないよう残りを差し出しやがった、気持ちはわかるがそれの所有者は・・・一応俺だぞ!


「ぉぉぉ、宰相、NO-000は私の物だ!NO-005を使うと良い!・・・宰相?」

「陛下は疲れたと仰っていたので臣である私が変わっているのでございます、このままNo-000を使わせていただきます!ふははははははっはは」


 NO-000大人気である・・・やっぱ特別感が出るからなぁ・・・


 5~9は・・・大臣ズがサッサと持って行って使い始めた・・・お前らどんだけ計算苦手やねん・・・


 しょうがなく自分の試作機を陛下に渡そうとしたがなぜか納得しない陛下・・・


「陛下、これはプロトタイプと申しましてNo-000より前に作ったものでございます、しかも商品化されれば他の物にはロットナンバーが使用されますがこれはナンバー無し、つまりオンリーワンでございます、しかーも!今後作られる予定もないため大変貴重な一品でございます」


 陛下ホクホク顔で俺の作った試作品使ってる・・・うん俺は嘘は言ってない、言うべき軸棒の脆さとか素人の俺が作ったから珠が碁石の大きさのままだとか・・・言ってないだけなんだ・・・


「いや~さすがオンリーワンだけあるな、珠が大きくて使いやすいし軸が木だから音も静かだ!」


 陛下がどや顔し、宰相と大臣ズがぐぬぬ顔でこっちを見ているが国王陛下に使わせないお前たちが悪い・・・


「あのーそれで私とエロールド子爵が呼ばれた理由は?」

「はて?宰相が大急ぎで呼べと言っていたんだが」

「大臣たちが呼べとうるさかったもので」

「「「「「これがどうしても欲しかったので」」」」」


「これは素晴らしいな、商人たちも喜ぶに違いない」


 ロットさんの心配事を伝えてみると陛下はあっさりと


「どうせ誤魔化す奴は誤魔化すし、そんなものは例年と比較すればたやすい、不作や豊作の年の報告書もあるから見比べればわかるではないか?あと戦争道具か?・・・気にしすぎだと思うぞ、ソロバンの代わりに計算の得意なものが居ても同じだろう」


 うん、言われてみれば全くその通りなんだが王都に着くまで胃が締め付けられるような緊張を味わった俺やエロールド子爵に謝れ!と言いたいが国のお偉いさん集団に物言う根性のないマルコンだった・・・


「陛下、急なでしたので私もとるものもとりあえず参上いたしましたのですが私への要件とはいったい何でしょう?」

「ん?私は用事はないぞ?」

「大臣たちが呼べとうるさかったもので」

「「「「「エロールド子爵は呼んでいませんよ」」」」」

 宰相はあきれ顔で「いや普通セットだと思うじゃろう」エロールド子爵まさかの伝言ゲームミス・・・



 俺は褒美としてお金をたっぷり貰い、子爵へは宰相から詫びとして領地を村一つだけ分けて貰えるらしい、子爵の機嫌も治り、港町ダトゥルへの帰路に就いた・・・そういえば今回はちゃんと陛下の話聞けたな・・・まぁあれ見て緊張する気は無くなるな。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 港町ダトゥル、国の内外を問わず様々な船が入り商業が盛んな上に海の幸、山の幸共に取れるグルメの町でもある、それに加え最近では木工、石工、それに美術の町としても有名になりつつある、理由は簡単、最近のはウオーゲームやファイブストーン、それにオセロとソロバンの効果である。


 木工は言うに及ばずウォーゲームの駒に使われているものが木工の手が足りず石工も駒に手を出し始めたのである、最初に連れてきた彫刻家たちは貴族からの特注品で手が回らないため図面やデザインのみを木工や石工に任せたのだ、それが技術革命につながったと言う訳だ。


 グルメ云々は・・・すまん俺も美味い物が食いたかったんだ・・・



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「旦那様、ヘルラディ商会のオリトさまが御出でになられました」


執務室から応接室に移るとオリトさんは土下座せんばかりの勢いで謝りだした。

「オセロ男爵様、突然の来訪をお許しください、実は困った事が有りまして・・・」


 何の事は無い、儲かりすぎてお金が倉庫に入りきらなくなったが貿易や加工業の倉庫も増え最近では町全体で倉庫が不足していると言う事らしい。自慢か?と思っているとロットがボソッと「当家でも10カ所倉庫を借りておりますがそろそろ入りきらなくなってきております」


 城壁の拡張だな、っていうか無くしても良いような気もするが・・・魔物や盗賊の報告も全くないし・・・攻めてくるってどこから?周りの国からダトゥルはエロールド子爵家に囲まれてるし攻めてくるとしたら海から?貿易都市であるダトゥルにいくつの国の船が入っていると思っているんだ、攻めたとたん入港していた船の国から攻められてフルボッコになるんじゃないのか?


 そうと決まればとりあえず領外への道の拡張だ次に城壁の解体そして元城外に領営住宅を建てる町の再建中は再開発する場所の住人はそこに移ってもらう。区割りなんかの細かい所は港湾関係者、倉庫関係や運送、そうそう漁業関係者とも打ち合わせたうえで決めて行こう、なに材料は船でバンバン持ってこれる、木工や石工も豊富だ、家のデザインコンペとかも良さそうだ、ロット、オリト問題が出てきそうなところはどこだ?


「それではまず私から私見を申し上げます、畑をつぶすことになり戦争時の食料に困ることになります、それに農奴を使っている地主などから反対が出るでしょうその辺りはどうされますか?」


「まず食料自給率の事だがそんなに心配はいらん、すべての国が敵にならない限りこの港には船が来るさ、畑をつぶすことに反抗またはそれに類する行為をした場合か・・・この町を大きく、豊かにするための計画が気に入らないと言うなら出て行って貰うさ、何も無償で奪おうって訳じゃない、子爵に頼んで代替え地か俺が金で買い取ればいい」


「どうしても言う事を効かない場合は・・・切って捨てますか?」

ロットさん発想が怖いよ・・・まぁもっと酷い目に合うかもしれないけどね・・・

「俺はそうは考えない、周り中に家が建ちぽつんと残された畑で居たい奴はそうすればいい、売りたいと向こうから言って来たら買い叩いてやる事にする、あとオリトさん商店の取りまとめをお願いしても良いですか?報酬としては通りの一番いい場所に土地を用意すると言う事で」


「商人だけでよろしいので?職人も取りまとめますよ、フフフ」


「よし、じゃあ陛下に町の拡張の件を手紙で伝え・・・直接行った方が良いかな?ロットさん準備お願い、オリトさんうちが借りてる倉庫空けるからそっちとりあえず使って」




 さて・・・どう説明したものかと考えながら倉庫の金貨袋をじゃんじゃんアイテムボックスに収めていった・・・所で俺のアイテムボックスどんだけ入るんだ?10カ所の倉庫が空になってからそう思った・・・









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