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 数日後タイン君は渋いオジサマを連れて帰ってきた。


「ロットと申します、この度エロールド子爵様より紹介していただき御身にお仕えする光栄を賜り感謝いたします、家令、執事、御者、何なりと申し付け下さい」

「・・・硬い!硬いよ!ロットさん!新参者の成上りなんだからそういうのには慣れてないの!もう少しでいいから柔らかくしてお願い」

「そうは仰られても、職業的なものと解釈していただき、慣れてもらうしかございません」

 グリッドさんが後ろで笑っているのが分かるが・・・グリッドさんロットさんに詳しく説明してあげて・・・

 二人が出ていった執務室でクドと報告書見たり税の計算を黙々とすることにする・・・


 税や経費の計算をしているとついついこぼしてしまう一言がある・・・


『電卓欲しい』という一言だ。


 暗算だとミスもあるし筆算できるほど紙が潤沢なわけでも無い、せめてソロバン辺りがあるといいんだが・・・あ・・・


 書類を無視しアイテムボックスから碁石を取り出し穴をあけ、棒と板を組み合わせる、クドがまた何か変なことを始めたという目で見てたがそこはスルーだ、両手で持たないと持ち上がらないが卓上で使うなら十分だ、パチパチではなくカチカチと言う音だが何とか使えそうだ、カチカチカチカチ暗算より楽だな、計算ミス発見、赤インクでチェックを入れる、クドが胡散臭そうに見てたため説明すると同じものを欲しいと言い出した、どうせなら軽い物が欲しいのでクドに木工屋に走ってきてもらった。

 カチカチカチ(計算計算)・・・カリカリ(訂正)ドン(はんこ)カチカチカチ(計算計算)ドン(はんこ)・・・静かな室内でソロバンモドキとペン、ハンコの音だけが・・・ん?この踵から歩く独特の足音はクドかな?木工の親方と共にクドが入ってきた。


 ノック忘れるなよ、グリッドさんからの小言を俺まで聞くことになるじゃないか・・・


 早速親方に相談するがソロバンの珠を木で作るとすぐに割れてしまうとの予想を聞き日本産の原料を思い出そうとするが思い出せない、親方のアイデアで珠を碁石のまま使うか小さくしてもらうことを前提に木の棒だと摩耗が激しかったり折れたりすることを指摘され金属の棒に変えることになった。

 珠のサイズなどを打ち合わせていると昼時となっていた、親方も昼食に誘うが出直してくるそうだ、ご飯はいつも通り皆で食べるのかと思ってたらクドとクースそして俺だけだった。

 ロットさんとグリッドさんが話し合った結果やはり使用人と一緒というのは問題があると言うロットさんの主張が通ったがせめてもというグリッドさんの主張でクドとクースも一緒という形になったそうだ。


 貴族って面倒臭いのね・・・


 昼食後は親方と俺が話しているのを両執事(グリッドとロット)が見守る形で行われた、正直途中で何か言われるかと思ったが終わるまで二人とも口を挟まず、試作品が出来たら持ってくると親方が帰った後、説明と言うかお説教と言うか・・・ステレオで延々領主としての態度や話し方など、話した内容が事細かに書かれた物を添削していく形で進められた・・・この二人いつの間にメモ取ったのだろう?と思っていると

「「覚えました」」

 と言う事だった、執事パネェ・・・これはクドには無理だ。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ソロバンは碁石の小型化と軸棒の金属化で片手て何とか持てるかな?程度の重さまで軽くなった、両執事(グリッドとロット)の勧めで複数製作することになりとりあえず10個シリアルナンバー付きで作って貰った、オセロマークも付けてもらいNO-000はいつも通り陛下に送り001は世話になってるエロールド子爵に送っておいた、002~004はクドと両執事(グリッドとロット)にあげて残りは・・・売り出すにも男爵の名前で売り出すのは・・・と考えていたらロットがこう言った。

「王都の方から追加で欲しいと宰相辺りから訴えが来ることが考えられます、商人たちも欲しがるでしょうが最初は王家に伺いを出す方が良いと思われますが如何なさいますか?」

「伺いってオーバーだなー・・・」

「これ一つで桁の大きい計算も早々(はやばや)と出来ることを考えますと軍事機密扱いになるやもしれません、あと問題になるのは計算しやすくなると言うのは税のごまかすためのつじつま合わせがしやすくなると言う側面もございます」

 真剣な顔でそれを言われると怖いな・・・


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 使いで出したタインが戻ってきた時に封書を渡され、嫌な予感しつつも封を開けて読むと案の定すぐに登城するようにとの事だった。

 大急ぎて用意しているとエロールド子爵もやってきた。


「俺のとこにもすぐ来るようにと言う封書が届いた、今度は何やらかしたんだ?」

「子爵にも送った計算するものが問題になったんだと思います・・・」

「・・・すぐに行くか」

「行きましょう・・」


 護衛等合わせて20人分の馬車と馬が王都に向けて走る・・・叱られに行くために・・・


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