3
翌朝クドに相談しに行く、確かおふくろさんが臥せぎがちだと言ってたから果物でも買っていこう、朝市で果物を買いクドの家に行く。
「あらマルコンさんうちに来るなんて久しぶりね、クドー、マルコンさんよ」
クドの母親に果物を渡すと恐縮されたが、こう言うのは気持ちの問題なので受け取って貰った。
クドと朝っぱらから酒場に行きエールとつまみを頼む。
「俺持ち合わせねぇぞ」「おごりだ気にするな」
から始まりアイテムボックスの事を伝え、『このまま日雇いを続ける』『貸倉庫屋を営む』『商人に弟子入り』『小さな商店から徐々に大商会まで勤めを変える』などのパターンを伝えどうすればいいのか相談するが「知らん、好きにすりゃいいんじゃないか?」と一言で済まされてしまった・・・
ダメだコイツ当てにならねぇ・・・
「だが・・・手伝えることが有ったら何でも言え、ロハとは言わねぇが付き合いの長いよしみで割引してやるよ」
そういう事言うから悪人顔に拍車がかかるんだ、と言うと無言で立て続けにエール三杯も一気しやがった・・・
それから五日はダグフの仕事を受け二日休むサイクルを作りお金を貯めていく、三月も経つと俺の手元には小金貨が握られている、百万ゲンだ・・・大銀貨と小銀貨もあるので百十一万ゲンある、とても儲かるが問題点も出てくる、俺が仕事を早く終わらせるため船側が雇う人数を減らし始めたのだ。
お前のせいで等言う奴は居ないがクドも何度か割を食って仕事が取れないこともあった、そういうのを見てしまうとこのまま日雇いを続けるのは無理、精神的にクル、俺はダグフにこれ以上は続けられないことを伝え、鍛冶屋に台車を作ってもらう。
貸倉庫屋マルコンを作るためだ。台車が有ればアイテムボックスから取り出しやすいし入れるのも楽だ、ただ数を揃える必要があったため五十万ゲンも掛かってしまった。
倉庫は一番小さい物を借り、料金は一日台車一台三千ゲン、月だと九万ゲンになるがそこまで長く預ける奴もいないとダグフに教えてもらっていた。
預かるのは生鮮食品が主になり、しかもいつ取りに来るか分からないため、とうとう倉庫に寝泊まりするようになった。
なぜなら家より居心地がよく家賃も安いからだ・・・アリルのばあさんには睨まれたがきちんと掃除もして出たし文句を言われる筋合いはないんだが・・・
しかし・・・貸倉庫屋って忙しい時と暇な時が両極端なんだな・・・ぶっちゃけ一月で台車代は元を取れたし忙しくても貸倉庫屋が人手を用意する事も無い、問題は・・・暇なのだこっちでは娯楽等も無く本も高級品なせいか学術書や魔導書くらいしか無いから暇をつぶすことができない。
近所の貸倉庫の番人や店主なども暇だったようで五目並べを作った(木の板に碁盤の目作って黒と白の貝殻で代用)えらく流行り出して貴族の耳に入ってると言う話も聞いた。
背もたれのないベンチでおっさん二人が五目並べ・・・将棋の方が面白いかなと思い作ってもらった。隣の番人に勝てない・・・うぐぐ。
そしてどこから聞きつけたのかこの町の領主であるエロールド男爵本人がわざわざ俺の貸倉庫までやってきてしまった・・・
もっと何かアイデアは無いかと聞かれ、もう無いと答えるが数日ごとに来るようになった、貴族の中で下位とは言え平民の所にわざわざ来て親しげに話すものだから護衛の目がコワイコワイ・・・
根負けして一生懸命考えたと言いオセロの図案を男爵に渡す、ここで重要なのは男爵家の紋章を入れること、ロットナンバーを入れて製造年月日も入れれば自分が先に作ったとか複製品などの問題が少なくなることなど話す。
男爵はさっそく作って王に献上するとか言い始めたので男爵が思いついたことにしてもらうようしっかり言い含めて帰ってもらった。
一週間もしないうちに男爵が試作品を持って遊びに来たのは言うまでもなかった・・・
6/3 修正
、の追加
フルーツ→果物