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「伯爵さまあああああああああああああああああああああ」
「どうしたんだいの○たくん」
「アクセルです、開店して一週間で『ウォーターサーバー』が売り切れてしまいました」
「良い事じゃないか」
「買えなかった行商の人や探索者の人が押し寄せてきてるんですよ」
「マジで?」
「本当です、行商の人たちにとって水は無くてはならない物ですがあのコップ一つでどれだけ荷物が減らせるか熱く語っていました。」
「ぉ・・・おう」
「探索者たちにとっても同じなようで途中から値上げを行ったんですがそれでもどんどん売れて行って・・・正直怖かったです」
・・・売れるとは思っていた、ただこれほど早く売れてしまうのは問題が出てくる・・・生産が追い付かねぇ・・・
とりあえず持ってきたお金から原価だけ引いてアクセルに渡しておく、きょとんとしているがお前の取り分だと言うと腰を抜かしてしまった・・・
「こんなに貰えませんよ!」
「うん気持ちはわかるがこれで元手になるよね?あそこのお店は解体しちゃうから新しくお店を持ちなさい」
「ええッ、勿体無いですよ」
「じゃあ不定期開業と言う事でちょっと息抜きしてきなさい、在庫がね・・・まだ出来上がらないんだ・・・」
「わかりました、少し考えることもあるのでお店はお休みとしておきます、あとお金はやっぱり伯爵様が預かってくれませんか?こんな大金持ち歩くのも怖いので・・・」
袋にアクセルの名前の札を付けてアイテムボックスの中に放り込む、そして預かり証(貸倉庫業の名残で残っていた)に金額と名前を記入し渡しておく。
銀行でもするかなぁ・・・金利とか無しで手数料だけ取ればなんとかなるかな・・・
書類が増えることはやめよう・・・知り合いだけ特別に預かると言う形で・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「九十億ゲンかぁ・・・無駄に貯まっていってるよな・・・」
「何の話ですか?」
「ああロットか、いやなアイテムボックス内のお金がね・・・」
「造船所が出来れば軍船などでいくらか減るとは思いますが」
「軍船は領のお金の方だろ?そっちは勘定に入れてないよ」
「・・・大量の金貨を死蔵してしまうと流通に問題が出てきます、御自身のお金は魔法道具や寄宿舎、領のお金は海軍や領兵に使えばよろしいかと」
「人材育成や生活向上・・・スラム対策忘れてたな、で山削った土地に領営住宅増やして価格設定は日雇いで何とかなるくらいで仕事先はいくらでもあるから何とかなるだろうになんで働かずに犯罪に走るかねぇ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「捕まえてきた」
ゴウが連れてきたのは頬に傷のある男でシャドゥと名乗った本名ではないだろうが・・・センス無いな。
「お前がスラムの元締めか?」
「へっ、捕まったとはいえ仲間を売るような真似はしねぇ」
ヘイ、ストップ!ティア、スタァァァァァップ!
シャドウはガタガタ震えているが構わず話を続ける。
「裏で生きられない人がいるのは残念だが・・・そうだ諜報部でも作るか、非正規雇用となるが月々の手当ても出す、やってもらうことは密輸や盗品の情報集めとリスト作り、不法入国者の管理とスラムの縮小くらいかな?」
「・・・そう言って一網打尽にするつもりだろう、騙されねぇぞ貴族なんて信用でき無い奴ばっかだからな」
「うん、信じるかどうかは別にして私は七年前まで日雇いやってた人間だからな、貴族的な事を期待されても困る」
「信じられるかよ・・・」
「ん~・・・かと言ってお前さんをずっとここに居させても別の頭が出来てお終いだからなぁ・・・」
「騙されねぇ・・・騙されねぇぞ・・・」
「まぁダトゥルで殺人は全く起きてないからなぁケンカや窃盗はちょっと多い気もするが港町でなら許容範囲だろう」
「当たり前だ、窃盗も食料さえ手に入れば態々領兵に目を付けられる事も無かった」
「だから取引を持ち掛けてるんじゃないか、君たちは安全とお金を手に入れられる、私は裏の情報を手に入れてスラムに手を煩わせずに済む」
「うう・・・」
「あと質問なんだがスラムにいる子供はどのくらいるか分からんが全員を寄宿舎に入れても良い」
「それはどういう事なんだ?」
「子供は親の職業を継がなければならない事も無いし、子供の為だよ、これに関しては深く意味は無い、ただ寄宿舎に入るなら親元を離れるか親共々領営住宅に入って貰うことになるがな」
「分かった・・・仲間と相談してくる・・・開放してもらえるんだろうな?」
「そうだな、解放はしようその代わりと言っては何だがひと月、返事が無いようならスラムを解体し整地して領営住宅立てさせてもらう」
「分かった、それまでに使いを出す・・・」
「じゃあゴウ、すまないが目立たない場所で開放してやってくれ」
「分かった、こっちだ」
「ああ・・・」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「誰か着いて行かせた方が良かったのでは?」
「人死にが出るからダメ」
「そんなことは・・・」
「無いとは言えないからスラムが出来てるの、人死にが出てないと言っても領民だけ、スラムの人間は勘定に入って無いからなんだよ」
「そこまでお考えでしたか、ではこれ以上は何も申しません」
「ん、分かってくれればいいよ、貴族らしい考え方じゃなくってロットにはまどろっこしいように見えるだろうけどね」
伸びをしながらこれで街がもっと良くなればいいんだが・・・と思っている自分が甘いとは分かっているが性分なんだからしょうがない。
シャドウの使いが館に来たのは二週間が過ぎていた。
初めて総合評価ポイントが100を超えました。
みなさんのおかげで続けようと言う意欲もわいています。
これからもよろしくお願いします。
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