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港の方はドワーフたちに任せて大丈夫との事だったのでヴィシャスと館に戻った。
「だからどうやって魔法を固定化するのかを聞いているんだ」
「出来るかどうかわからないし方法もあやふやだ、ただの思い付きと言っただろう」
「だから方法を言えと言っとるんじゃ!」
なろうで身に付けた知識の中では核となる物に呪文または魔法陣を書き込み魔力を通すことによって詠唱の必要なしに行える、と言うようなことを伝えるとヴィシャスはあんぐりと口を開けていた。
「その核となる物じゃが・・・」
「おそらくだが魔力を持つ魔物の一部や宝石なんかが考えられる」
「確かに普段から魔力を帯びている魔物の目などは加工して杖などに付けると魔法の威力が上がると聞いた事は有るが・・・」
タインにひとっ走りしてもらいオリトに宝石類を色々持って来て貰った。
「気が早いのう、まだできると決まったわけではないであろうに・・・」
「呪文なのか術式なのか魔法陣なのか教えてくれないか?」
「わしらの魔法は呪文じゃの、ドワーフ文字じゃが読めるか?」
「うーんさっぱりだな」
とりあえず真似てコツコツとピックみたいなもので彫り込んでいく、何度か試すが最後の一文字を入れようとすると宝石が砕けてしまう。
「何が悪いんだろう?宝石にも属性とかあるのかな?」
「ふむ・・・面白い仮説じゃのう、地の力が強いと言われている石はトパーズかのう?」
トパーズ・・・これか
コツコツカリカリ・・・最後の一文字・・・書けた。
「ふむ確かに呪文は彫れておるな・・・でこれをどうやって使うのだ?」
「普通は魔力を流すとかなんだがやってみてくれるか?」
「うーむ・・・砕石の魔法じゃからここで使っても意味が無いぞ」
タインに庭で石を拾ってきてもらい、ヴィシャスに使ってもらうと掌サイズがバラバラと砕けていく。
「使ってみた感じはどうだった?」
「うーむどちらかと言うとわしらなら呪文の方が早い」
その後試してみたが自分やタインでは起動せずロットは発動できた・・・魔力の使い方を知ってるかどうか・・・かな?
ティアは面白がって庭の岩を砕いている・・・あ・・・彫像・・・
ルビーで着火の魔法を作ってみたが火をずっとつけようとするとずっと魔力を消耗するようだ、要改造だな、あとは呪文や術式それからあるなら魔法陣の収集を始めた。
ドワーフ仲間で火や土の魔法で詳しい物を紹介して貰ったり、隣の大陸へ行って魔術師を雇って貰ったりもしている。
今のところ実用性のある物はダンジョンに潜る魔法使いが使っていた光の魔法が『ライト』として使えるくらいだ、ただこれも問題がある。
オンオフが効かないのだダイヤを使用し光の魔法の呪文を刻むそれに魔力を流し込めば光り始めるが切れるまで点けたままになる。
ダイヤの大きさに寄り、籠める魔力が減ったり効果時間が長くなったりする。
ヴィシャスが研究結果を持ってきた。
「恐らくじゃが大きさが魔力の量を減らし、カットの仕方で効果時間や効力が高まるな」
・光、割とどんな宝石でも可能、宝石に寄り発光が違う。
・火、ルビー、ガーネット~赤色系の宝石
・土、トパーズ、トルマリン~黄色系の宝石
・水、サファイア、アクアマリン~青色系の宝石
・風、呪文が集まらず、おそらく緑系の宝石
・闇、呪文なし、悪魔か邪神官なら持ってるかもお勧めできない
・無色のダイヤ、水晶は今のところ光にしか反応せず。
最初と最後の一文が少し気になった。
魔力を移す魔法が有るかと聞けば神官が使うそうだ、宗教関係か・・・
あまり関わり合いたくないな・・・
神殿に出向き聞いてみるが大神殿に行かないと使える者が居ないそうだ。
と言う事でここで一区切り、一応魔法が使えなくても魔力のある人は多いからライターのような火を出す物が第一号となった。
続いて出来たのがコップの底に水を出す魔法を彫ったもので魔力を注いでいる間は水が湧き出すと言う優れものだ。
魔道具と呼んでいいかわからないちょっとした物だったが両方シェフのジェフは喜んでくれた。
砕石魔法の方はとりあえず置いといて・・・これ以上庭の石や彫刻を砕かれては堪らない・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それから研究は進まなくなったがザルクス領から鍛冶屋のポトスが訪ねてきた。
「ヴィシャスから聞いたが面白い事してるそうだな、武器に還元するから色々教わりに来た」
当代一の鍛冶屋がわざわざ何しに来たのかと思ったら新技術と聞いていても経っても居られずに来てしまったと言う事だった。
「ですから宝石に魔力を通そうとすると・・・」
「なら柄か・・・いや魔力の通りやすい金属もあるかもしれんな、早速実験だ」
ドワーフ同士話がはずんでいるようである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「と言う訳で新しく商店を作ってもらう」
「・・・わたしがですか?」
唖然としている商人のアクセルと呼ばれている青年がこのおっさん正気か?と言うような目で見ているがいたって正気である。
オリトに話を持って行かないのは住み分けのためだ、何でも揃えていて大きくなった商人と言う物は万が一の場合潰せなくなってしまうのだ。
もちろんオリトは信用しているし息子たちも大丈夫であろう、しかしそれがずっと続く訳ではない、先のことを見越して色んな物を分散しなければいけないのである。
「話は分かりましたが店を開くと言っても元手もないのですが・・・」
「もちろん店を出す場所も防犯のしっかりした領兵の駐屯所の近くだ、商品は今のところ『ライター』と『ウォーターサーバー』だけだが高級品を扱う店になるから管理はしっかりしてくれよ」
「ハイワカリマシタ・・・」
『アクセルの魔法道具屋』が開店と同時に悲鳴を上げることになるとは思わなかった・・・
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