23
「ゴウ!ティア押さえて!今なら剣は持っていない!クド、ヘレナを保護、山頂の観測所に行って籠城の構えを、サムス、クドと一緒に行って!」
ゴウと二人掛かりで何とかティアを抑えて寝室に連れていく、あそこならアレックスが居るから暴れない!頼むアレックス、エンジェルスマイルを見せてくれ!
「だぅー」
アレックスはエンジェルスマイルはしてくれなかったがティアをたしたしと叩き落ち着かせてくれた。
アレックスマジ天使。
ティアが落ち着いた後は二人で愛を確かめ合う、こっそりゴウにハンドサインで警戒態勢解除を伝える。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
・・・たしかこっちにもダンジョンあったよな?精力剤としてオークの睾丸を所望する。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あー・・・うー・・・」
屍のような気持ちで書類と格闘する・・・眠い。
「・・・」ラインが言葉を掛けようとしたのか口を開くが言葉が紡がれる事は無かった・・・
パチパチ、パチパチカリカリ・・・あれ?そう言えばクドはどこ行った?昨日の後片付け?ならしょうがないな、ドン、ドン!ああハンコ重たい。
さて・・・ヘレナの処置を考えなきゃいけないな、普通なら領主の事を悪く、クドの前で言う、それだけでクドに殺されてても文句は言えない状態だ、ロットに聞いてみても良くて家ごと追放、悪いと一家斬首と言う事になるらしい。
知らなかったとはいえサムスには追放しないと言ってしまった、言質が取られている。
何とか穏便な処置にしたい、ヘレナに悪気があったかどうかは不明だが流石に無罪放免とは言えない騒ぎになってしまった、こういう時は義兄に相談しよう・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「いきなり来たと思ったらそんな騒ぎがあったのか・・・」
「まだ十くらいの子供に罪云々言いたくないし追放しないと言質取られてる時点で積んでるんだ」
「難しい問題だなぁ・・・」
「そうなんですよ・・・」
二人で酒を飲みながら愚痴をこぼし合う、途中思い出したように義兄がつぶやく。
「そもそも、ティアが相手を子供と知らず嫉妬したのが始まりなんだよな?」
「そう言う事になりますね」
「うん、今回の事は皆口を閉ざすこと、これで済むと思うぞ」
「何故ですか?」
「領主の妻が勘違いで暴走、そんな事ティアなら日常茶飯事になっているが普通の貴族なら恥になるから黙っとくように言っとくだけで平気だろう」
「うちの場合は?」
「またか、それで済む」
・・・
「悩み損ですな」
「なに飲みに来る口実と思えばいいのだ、ティアも兄とは言え他領の領主に知られるのは恥ずかしいと思うだろう、良い薬になると思う」
「私もまだまだ精進が足りませんね」
「あいつと二十五年も付き合ってる私でさえ精進が足りずに婚約パーティーになったあの日も失神してしまったくらいだからな」
「頑張ります」
「頑張れ」
そう言って盃を交わしていくのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ダトゥルに戻るとタインも戻ってきていた、ヘレナについて聞いてみると
「あの子ですか?思い込みが激しくてついていけないところがありましたね、週替わりで結婚するっていう人が変わってましたが・・・あのくらいの子供ってあんな物なんじゃないでしょうか?」
今回の件については当家の恥になると言う名目で他言無用となることになった、苦労を掛けた領兵たちには特別ボーナスを出し逆に恐縮されたが一人の隊長がこう言った。
「臨時訓練でこれほどボーナスが出るのはありがたいですな」
そう今回の事は臨時訓練だったと言う事で皆納得してくれたようだった、良いやつが多いな我が領・・・いや義兄の築いた関係なんだろうか?
さぁ問題はヘレナだ、一番いいのはどこかで行儀見習いに行かす方が良い、あの発想力と口の軽さと空気の読まなさは爆弾と言っても過言ではないだろう、厳しすぎないところで寛容を持ち合わせていそうな人・・・軍人系で温厚で怖い人・・・ルッツさんだな鎧取りに行くついでに押し付けてしまおう。
「・・・と言う訳でヘレナには行儀見習いへ行ってもらうこととなった、行先はザルクス領、領主邸だ」
「あの・・・大丈夫なのでしょうか?無礼打ちとか侮辱罪で一家共々国外追放とか・・・」
ははは、多分大丈夫だ・・・たぶん。
「行くまでにヘレナに家庭教師をつけることにします・・・」
「今まで付けていなかったのか?」
「もうそろそろ行儀とかマナーを教えようかと妻と話し合っていた所で今回の件が有りましたから・・・」
首を項垂れるサムスかける言葉が見つからなかったが流石にこれ以上はどうしようもない。
こうして今回の騒動は終わったように見えた・・・が。
「いやー!変態貴族に慰み者にされる」
タインと離れるのが嫌なヘレナがこんなことを口走りながら町中逃げ回ったため・・・サムス一家は隣国に引っ越すことになりました。
サムスの背にドナドナが流れていたような気がしましたが・・・流石に今度は庇う気もしませんでした。




