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お互い笑顔を浮かべて話し合ってるつもりだが悪代官と商人のように見えてしまうのは私のせいでないと思いたい。
「さて、採用はほぼ決定事項なので諦めてもらうとして労働条件の事を詰めていこうか」
元『最大の彼方号』船長ライン、気のいいやつで貸倉庫業の時には常連だった、その彼が荷物を取りに来ないと言うのは何かあったと思ってはいたが海賊に船が沈められていたと言う事らしい。
「決定ですか・・・じゃあせめて良い条件で雇っていただきたいですね」
「じゃあ給料はこのくらいで家宰として領主代理をしている手当はこの位、あと業務に関していいアイデアが有れば褒美と言う形でそれについては応相談かな?」
「年俸?にしては少なすぎるよな半年分か?」
「月給で出そう」と言うとラインは噴出した「おいおい一介の商人に出す金額じゃねぇぞ、正気か?」
本気と書いてマジな話だ、金勘定が得意で!書類に詳しくて!礼儀作法もできて!元船長だから船の事も商売の事も詳しくて!為人も知ってるから安心して雇用出来る!そんな都合のいい人材が早々転がってるわけがない。
「わかった、じゃないな、畏まりました、誠心誠意お仕えさせていただきます旦那様」
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「それじゃあ船関係の書類の計算はラインに任せる、ロット、セバス仕分けと整理を頼む、クドにはいつも通りハンコを任すがよく見てハンコ押すように、ライン、ソロバンの使い方は分かるか?」
「これは便利な物ですな」とさっそく使いこなしている、何でこいつ船長なんてやってたんだろう?
これで留守も安心だな。
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三日後、タインは帰ってきたが案の定、呼び出しの書状を預かってきていた。
タインとソナルに馬車の支度をさせている間にティアを連れていくかどうか考えねば・・・
「行くわよ」
だろうな・・・
「と言いたいところだけど辞退させてもらうことにしたわ、これ陛下への手紙ね、理由としては育児の為と書いておいたからよろしくお願いね」
意外とあっさり決まった、呼び出し状には兵の事は書いてなかったがゴウとクド、それからセバスを連れて行き、領兵からは五名ほどの供が良いでしょうとのロットの言に従い、力の強い者をゴウに選ばせておいた。
盗賊が出ないのは平和の証とはよく言ったもので隣国近い領主などは少なくない盗賊の被害が出ていると言う、ダトゥルは義兄の領土に囲まれ、魔物も領兵がさっさと討伐してしまう、義兄の領土にはダンジョンもあるらしいがダトゥルの探索者組合などは採取位しか仕事が無いからほとんど人も居付いていない。
こんなに平和なら演習も必要ないだろうがと思うが毎年続けるのが重要なんだそうな・・・
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そうこう言ってるうちに王都に到着した、クドに先行してもらい先触れとなってもらう、よほど緊急でない限り着いたその日に謁見とはならないとロットから行動すべきことをメモに書いてあるとセバスが言っていた、そこはメモ見ずに言おうねセバス・・・
宿を取り旅の埃を落としてゆっくりしようと思ったらクドが血相変えて戻ってきた、その手には通行証と思われる物が握られていたが見てみるとがっくり膝を落としてしまう物だった。
『この書状を持つオセロ子爵に関しては儀礼、招集、用件など聞く必要無し、すぐに通し王または宰相に報告すべし』
・・・要は登城に関するフリーパスである。
セバスやクドに来てもらいこれってすぐに来いって言ってるのかな?と聞くと皆何も言わず登城の準備を開始し始めた・・・ゆっくりできないのかぁ・・・
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登城すると執務室まで通された、最近緊張しなくなった訳が分かった、この王様余所行きと身内で態度が違うんだ・・・王様と言うよりこの国のトップ周辺の方々が・・・かな。
「うん、で?奥さん来ないの?」
それ王様のセリフじゃねぇし・・・
「妻から詫び状を預かっております、育児に専念したいとの事です」
大臣ズ、喜んでいるのは良いが踊り出すな、ティアいったい毎年なに遣らかしていたんだ?と思ってたら宰相が教えてくれた、何年か前から陛下の開会のあいさつの後でティアが鼓舞するのだそうだが、それが兵士の間ですごい人気になっているそうな。
大臣ズが喜んでいる理由としてはダトゥルへの転勤願いが多くて毎年苦労していたそうだ。
それで従軍期間ですがどのくらいになりそうなのかを聞くと宰相が答えた。
「例年では揃ってから二週間くらいかな?揃うまでが遅くて二週間早ければ三日で揃うと思う」
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「おいーすマルコン元気か?」
「ザルク「ルッツさん」ルッツさんもお元気そうで何よりです」
相変らずやる気の無さそうな人だなと思いつつ厨房馬車について聞いてみると途端に仕事人の顔になった。
「よく聞いてくれた、これが概要でこっちのが図面だ、それである程度出来上がって試験運用まで持ち込んでいる、コレの良いところは戦争だけでなく災害などの場合も炊き出しに使えるってところがミソだな、あとこれの廉価版が出来れば今後屋台として販売することも考えている」
「それで軍事に関してどのような運用を?」
「あ~・・・っと運用ね、まぁ君のアイテムボックスのよう容量次第かな?」
容量については倉庫10個分でも余裕と伝えると「ふむふむ」といいながらなんか図面引き始めた・・・
「よしできた、それじゃ行くぞ」
と言われて引っ張って行かれたのが陛下の執務室、ノックもせずに入ったかと思ったら
「オヤジ、大急ぎでこれ作っといてくれ今回の演習の目玉にしようと思う」
オヤジと呼ばれた方を見ると宰相が額に血管浮かべていた。
「お、ま、えというやつわあああああああああ」
流石ルッツさん「んじゃ頼んだ」と言うとするっと部屋を出ていった。
設計図を見てみると・・・滑車を取り付けた巻取り装置・・・?
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