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新連載です、よろしくお願いします。

 

  なろう愛読者の佐江梨(さえなし)は絶賛無職中、今日も今日とてハロワに向かう日々が続いていた、50に手が届くおっさんに就職の口など・・・有るには有るのだが長続きせずハロワ通いになるのだった。

 ハロワに行く途中にある交差点、少年が渡ろうとしているがどう見ても信号は赤だ、そして近づく貨物トラック・・・「危ない!戻れ!」と佐江梨は叫ぶが耳に入っている様子はない、周りの人も()()()そちらに注目しない、轢かれそうな少年を助けようと駆け出す、貨物トラックの運転手も()()()()()()()()少年に向かっていく・・・少年を押し出し、佐江梨は貨物トラックに跳ねられてしまう。

 そのトラックには『転生トラック便』と書かれていた・・・


「貴様何をしたのか分かっておるのか?」

 第一声がこれだった。

 周りを見るとなろうでもよく使われる真っ白(手抜き)な空間だった、と言う事はこの人が神様か。


 神様が言うにはあの少年と言うかあの魂は様々な世界を渡り歩き、エネルギーを貯める役割があるそうな、そして有事の際に勇者や聖者と呼ばれる人間に成ったりするらしい。

 そして『転生トラック便』を出すにもエネルギーが必要らしく数年は出せず、あの魂が余分に生きて第二次成長を迎えてしまうと今まで溜めた分のエネルギーが無駄になりかねないとの事だった。

 謝りまくって何とか勘弁して貰えたが今度は自分の事について話し合う事となった、俺の残り寿命を全て没収しエネルギーに変換することが賠償替わりと言われ、このまま輪廻に戻るよう言われたが「良い事をしたはずなのに!」とゴネにゴネまくって別の人間として生き返るのであればと言う折衷案となった。


 ちょうど心不全で死んだ天涯孤独のおっさんが居るとの事でその体を使うことに・・・


 びっくりしたのが生き返る先が剣、魔法が有り、エルフ、ドワーフ、魔族、獣人の居る『ゴレスン』と呼ばれる世界であったと言う事で異世界、転生と来たらチートくれと頼みまくるがなかなかうんと言って貰えない、その世界にあるスキルを一つだけ選ばせてやると言う事で絞りに絞ったが『アイテムボックス』か『鑑定』か・・・

『アイテムボックス』は千人に一人ほどで人によって入れられる大きさは違うとの事だった。

『鑑定』は『ゴレスン』で十人も持っていないスキルで持っているのはドラゴン達と賢者と呼ばれる人達だけとの事だった。

『鑑定』はヤバい、持ってるとばれただけで国が確保に動くレベルだ、となると『アイテムボックス』しかないな。

 神様にお願いしてなんとかアイテムボックスだけ貰える事となった。

「ではな、もう会う事も無いだろう」最後までひどい神様だったな・・・



「ヒュー・・・ぐふぅ、げほっげほっ」

 生き返っていきなりむせた、そりゃそうだろうな・・・さっきまで息してなかったんだろうし・・・


 脳がこの男のままなのか言葉が通じないなんて事も無さそうで一安心する、次は今の自分の確認だな、鏡など当然無く水瓶が有ったので覗いてみる。

 元の体より少しは若返ったし髪もふさふさメタボだった体も引き締まったものに変わっていた、身長は・・・周りから見ると高い方だと言う記憶があった、髪は茶色、瞳も鳶色で取り立ててイケメンと言うわけでも無いが元の顔よりは・・・イケメンである。

 この男の名前はマルコン、天涯孤独の身で歳は36、職業日雇い労働者・・・だと・・・まぁ少しは蓄えもあるし何とかなるだろうと思っていたらドアを叩く音がする。

 ドアを開けるとそこに居たのは日雇い仲間でマルコンとは腐れ縁のクドと呼んでいる男だった。


「お前昨日も休んでたけど大丈夫なのかよ?」

 大丈夫じゃありません死んでました・・・とも言えず体調を崩しただけと言い見舞いは終了、顔を見て安心したのか帰っていった。


 さてこれからの事を考えないとな、まずアイテムボックスがあるからこれからはきつい肉体労働でなく商店や、もしかしたら商会で雇って貰えれば一生安泰だ。

 まずすべきことは容量の確認、この世界のアイテムボックスは中の時間経過がどうなるかもわからないから検証だな・・・まず使い方を習得するところからだな・・・


 色々試し分かった事は手で持てる大きさで有る事、入れる場所は割と自在で水瓶も一ミリでも持って浮かせられれば落とすように入れられると言う事、出すときはスライドさせるように取り出せば水もこぼれないと言う事、容量は水瓶、ベッド、衣装棚、テーブルなどこの部屋にある物全部入れてもまだ入ると言う事だった。水など無理で容器に入ってないとダメだった、つまり掴める事が条件っぽい。時間経過は湯を沸かした鍋で試してみたが一時間たっても熱いままだった、これは使える。


 翌朝からこの町、港町ダトゥルにある大きな商会から回ってみることにする、ハロワも無いので直接回るしかないのだ。


「うちはもうアイテムボックス係は居るから雇えんよ、すまんな」

「今まで勤めていた所の紹介状も無しに?信用できんな」

「そんな恰好で雇ってくれとは片腹痛い」


 うーん既に雇っている、信用が必要、身なりの問題、確かに現代社会でも必要な物ばかりだな、持ってる服の中で一番マシなものを着てきたんだが・・・服屋に寄ってみるか・・・

 は?面接受けられるような服だと手持ちはおろか貯蓄全て足しても足らないだと・・・

 お金のために就職したいが就職するためにお金が足りないと言う八方ふさがりとなってしまった。

 


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[一言] 片腹痛いは草
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