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27 勘弁してよね


 まあ、【喰う】っていうには大袈裟かもしれんが、死を目前にしたゴリラとサイコがあんな麻薬中毒ヤクチュウみたいな瞳で「くわせろ!」って追いかけてきたらめっちゃ怖いからな。

 

 ある意味、メテオも敵じゃないから。



「気が済みましたか?」



 一頻りポカポカしてたら、アナスタシアが諭すような目を向けてくる。



 少しは悪いと思ってんのか? 顔があれだからイマイチ微妙な表情がつかめないんだよな。まあ、少しスッキリしたし、結果的には二人に助けられた訳だからいいけど。


 ついでに新たな疑問も沸いてきたし。



 俺はベッドであぐらをかいて座ると二人を仰ぎ見た。



「っていうことはさ。お前らいま不死なの?」



 とりあえず全員助かったってことはそういうことじゃないのか。



 俺の主観を抜きにすれば、聖獣の噂が真実で、それを食って無敵状態の二人はメテオの衝撃と爆風に耐えて、その二人の間に包まれていた小さい俺は奇跡的に助かったってことだ。身体中痛いのは俺は不死じゃないから衝撃のせいかな。



「それが、そうでもないみたいなのです。確かにあの時は身体中に得体の知れない力が沸き上がっていましたわ。まるで女神の祝福を受けたかのような」



「だけど、しばらくしたら元にもどっちゃったんだよね。あの時はちょっと痛いぐらいで怪我もしなかったんだけど。ほら、昨日果物ナイフで切っっちゃったとこ」



 そう言ってニーリスが差し出した人差し指には新しい傷が残っていた。

 彼女が親指で押すと少し血も滲んでくる。



「おそらく、一時的な絶対防御だったのではないでしょうか」



「きっとノゾミンを食べると、一定時間いっときだけ無敵状態になるんじゃない?」



 ……なにその設定。

 俺生き物だよ。ブスだけど生きてるんだよ。マ〇オのスターじゃないんですけど。


 

 しかも、これって非常にマズイ状況だよな。

 

 ああ、なんかまたもやイヤな予感だ。



「おまえらさ……、このこと、誰にも言ってないよね」



「ダメなのですか?」



「そうなの?」



「ダメに決まってんだろうっ! 喰ったら弱不死って、どう考えてもいろんな奴らに狙われんだろがっ!」



「言われてみればそうですわね」



「そっか」



「すぐ気付けよ! バカなのか! この世界バカだらけかっ! 誰だ、誰に言った。今すぐ口止めを……って、お前ら……マジ?」



 二人はようやく事の重大さに気づいたのか、アナスタシアは目を逸らし、ニーリスに至っては口笛を吹き始めた。


 この反応、どう見てもやらかしている。



「いったい何人に言ったんだ!」



「ええと……、直接はそんなに言ってないよ」



「ですわ」



「ああ? じゃあ、いま現在どれだけの人間が【弱不死説】知ってんだ。五人か」



「……」



「……」



「まさか、十人とか?」



「……」



「……」



 二人とも黙り込みやがった。



「……もしかして、すごい数なのか?」



「………………いまいる街中、かな。アハハハハ」



「ウフ、ウフフフフ」



「てめえら頭おかしいんじゃねえのかっ!」 




 終わった。終わったなこれ。



 メテオによってじゃなくて、こいつらによって俺の異世界生活ははやくも先が見えた。


 これからは盗賊とか悪の組織とか、下手したら王国とかに狙われるんだ。捕まったら、ちょっとずつ肉とか削がれて生き地獄を味わうんだ。



「……どうしよう」



「どうしたの? あ、ノゾミ、起きたのね!」



 そんな時、扉の向こうからひょっこり現れたのは、俺の癒しにして救世主。おまけに嫁候補美少女剣士!



「ユフィー!」



 やっぱり彼女だった。


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