勇者とヒーラーのショートコント
勇者
念願のヒーラーを仲間にしたぞ!
ヒーラー
……。
勇者
これからよろしくな!
ヒーラー
……。
魔法使い
こいつ喋りませんね。人形なら壊しても構いませんよね?
勇者
待て待て。さっきはちゃんと喋ったんだ。
ヒーラー
オイ勇者。
勇者
ほらな。
ヒーラー
私ハお前の道具じゃないゾ
勇者
なんだいきなり。
ヒーラー
前のパーティは私を散々(さんざん)弄んだ挙句ポイポイしタ。
魔法使い
へえ!そのポイポイの内容を詳しく聞かせてくださいよ!
勇者
食いつくな食いつくな。いや俺はお前を道具なんて思ってないって。
ヒーラー
前のパーティの男もそう言っタ。でも実際私はポイポイされタ。
勇者
ポイは一回でいいだろ。
ヒーラー
そうヨ!ポイポイされるのなんか1回で十分だワ!
魔法使い
勇者さん。こいつなんかヤバそうですよ。
勇者
十中八九お前の方がヤバイから心配すんな。おいヒーラー。捨てられた件は無理に話さなくて大丈夫だぞ。
ヒーラー
あれは50年前のことでしタ。
勇者
エグい遡り方したな。
魔法使い
やっぱりコイツ喋りたいみたいですよ?アハハ!変態ですねえ!
ヒーラー
いつものように農作業を終えて家に戻る途中でしタ
勇者
ヒーラーは?
ヒーラー
その時私はただのピーポー。
勇者
農業従事者だな。
ヒーラー
そしたら1人の男が声をかけてきタ。ヘイ彼女!お茶でもどう?ッテ。
勇者
ナンパだな。
魔法使い
ナンパですね。
ヒーラー
私はなんやかんやでその男の仲間になっタ。
勇者
ちょろいな。
魔法使い
ちょろいですね。
ヒーラー
だけど彼が私に求めていたのはカラダ!私は全くヒーラーとして期待されていなかっタ!
勇者
だってお前一般人だったんだろ?
魔法使い
それも芋くさい農民ですよアハハ!
ヒーラー
デモ彼は!「俺の戦いの疲れを慰めて欲しい」って!
勇者
それ完全に下心だな。
魔法使い
ヤル気マンマンですね。
ヒーラー
でも私は拒否シタ!私はそんなにライトウエイトチャンピオンじゃなイ!
勇者
軽い女じゃないって言いたいのか?
ヒーラー
そしたら捨てられタ!ポポイのポイっテ!
勇者
ヨヨイのヨイって?
ヒーラー
ヒーッヒッヒ!私は用無シ!何の取り柄もない女!
勇者
落ち着け!俺はお前を捨てたりしないから!
ヒーラー
嘘ヨ!もう何も信じられなイ!
魔法使い
そんなことより先ほどの話を聞いてたら、あなたは回復魔法とかは使えないんですね?
ヒーラー
使えるヨ!
魔法使い
じゃあ証拠を見せてもらいましょうか。おりゃ。
勇者
痛!手に鋭い痛みが!
魔法使い
針で刺しましたからね。
勇者
躊躇いねえなお前!
魔法使い
さあ芋農民、あなたが本当にヒーラーだというのなら勇者さんの傷を治してごらんなさい。
ヒーラー
ペッ!
勇者
きたね!ツバ吐きかけやがったコイツ!
ヒーラー
そんくらいツバつけときゃ治るわい。
勇者
せめてキャラ固定しろよ!
魔法使い
じゃあ勇者さんにはもう少し重傷を負ってもらいましょうか
勇者
なんで俺なんだよ!
ヒーラー
ヤメナヨ魔法使イ!私が治せるのは虫刺されくらいだヨ!
勇者
ウナコーワかお前は!
ヒーラー
ほラ!やっぱりお前も私を道具としてしか見てなイ!虫刺され用の塗り薬としてしか!
勇者
いやつっこんだだけだろ!
ヒーラー
私に何をツッコむつもりヨ!
勇者
面倒くせえなお前!
魔法使い
ねえ勇者さん。もうこの農民用無しですよね?やっちゃって良いですよね?
ヒーラー
ひぃ!
勇者
やめろ魔法使い。俺はもうヒーラーを仲間にしたんだ。一度仲間にしたからにはとことん付き合うさ。
ヒーラー
ほ、本当カ?
勇者
ああ。
ヒーラー
じゃあ私、頑張るヨ!一生懸命治癒魔法も覚えるヨ!
勇者
おう。これからよろしくな。それでいいだろ魔法使い。
魔法使い
私は勇者さんに従いますよ。そんなことより勇者さん。
勇者
どうした?
魔法使い
私、早とちりして半径1kmを吹き飛ばす爆弾を起動させちゃったんで早く逃げた方が良いですよ。
勇者
アハハ!俺はお前をクビにしたい!
終わり
最後までお読みいただきありがとうございました!
勇者と魔王のショートコント
http://ncode.syosetu.com/n7446dv/
勇者と魔法使いのショートコント
http://ncode.syosetu.com/n8781dv/