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『喚ばれてみれば』 by紫陽圭

誤作動が明かすもの

作者: 紫陽 圭

有能だけどコワい上司の元、魔法陣の研究をしていた。

ある日、突然、床に落ちた魔法陣が誤作動して・・・。

 **********


「ほぉぅ?」

「すみません! 誤作動なんです! 私もワケ分かりません!」

 誰か助けてください。 魔王降臨です。 勇者様はどこ?

な~んて、実際は、相手の怒りのオーラがコワすぎて現実逃避すら出来てません。


「後で話を聞く。 それまで帰るなよ?」

「・・・はい。」

 彼は、足元で光る魔法陣が書かれた紙を拾い上げて机に置き、頭上の魔法陣を消す。

直後には、新たな魔法陣を空中に描くと、おそろしい一言を残して、その姿は消えていた。


 とたんに、腰が抜けて足から崩れ落ちて・・・机の角に額をぶつける。

その痛みで、気絶も現実逃避もしそこねた私は、額を撫でながら呆然とするしかなかった。




 **********


「それで?」

 その晩、上司(と書いて魔王と読む)からの最初の一言がコレ。

いろいろ省きまくったうえで『分かるよな?』と無言で圧力、この状態から、何を求めているのかを正確に掴んで必要なことを明瞭簡潔に答えろと・・・。


「まずは1つ確認いいですか? また、私のペンとインクを使いましたね?」

「それがどうした。」

「・・・!」

 威圧にぐっと耐え、ズバリ聞くと、ふんぞりかえるかのような口調の返事が来る。

いや、予想はしてたけどね、たとえ上司といえど実際にやられると腹立つわけで・・・。


「あの魔法陣を出しっぱなしで席を外そうとしたのは私のミスです、謝ります。 ただ、もしかしたら、誰かさんのせいで片付けてあっても作動して、もっとトンデモナイことになった可能性も有りそうなんですけど?

それと、とんでもないような理由でもない限り、貴方を、しかも会議中と分かっていて、召喚するほど命知らずじゃないので、あれはあくまでもアクシデントだと断言できます。 だいたい、ほぼ確実に、貴方が私のペンやインクを使わなければ起きなかったアクシデントですよね?」

「・・・・・・。」

「私は魔力がほとんど有りませんから、魔法陣に触っても、まず発動しません。

逆に貴方は魔力のダダ漏れを意志で抑えなければならないほどの魔力持ちなので、触れたものにまで魔力が伝わる場合が有ります。

そして、私の研究分野は魔法陣です。 だから、私の所有物には触らないで下さいと言ったのに・・・。 実際、以前に誤作動しかけたでしょう?」

「残存魔力は」

「いちいちチェックしませんけどね、普通はそんなことする必要もないでしょうし? とにかく私では感知できない量だったということです。 感知できる量なら当然除去してから使ってます。」

 相手は上司、しかも伯爵家令嬢の私より上位の侯爵様、普通なら不敬罪で処罰もの。 ただし、この上司は普通じゃない。

身分も魔力も威厳も何もかもを自覚しての言動は『いかにも上位貴族』なんだけど、意味の無い形式を嫌う、無駄を嫌う。 よって、最小限の敬語で端的に話すことを容認する。 本人が容認してるから不敬罪にならない。

今回は、どうしても私の言葉にトゲが含まれてるけど、それを面白がるくらいの人だから問題無い。


「で、あの時、何をしようとしてたんです?」

「ほぅ?」

「この魔法陣に貴方の魔力が含まれてることはもちろん、ここに有ることもご存じなかったはず。 そして、存在も知らない類似点の無い魔法陣に魔力を送り込むことは出来ない。 つまり、貴方が類似魔法陣を発動させようとしたから魔力が飛び火して誤作動したとしか考えられません。」

 こちらの説明を終わらせて、上司側の当時の状況を確認する。

 彼は、すっと目を細め、私がどこまで分かっているのか見極める表情になる。 楽しんでる気配を感じるけど、期待も含んでいるのがかすかに分かるし、反応を間違えるなんて自殺行為は出来ないので、完結に答える。


「追加で必要になった書類を召喚獣に取りにこさせようと思ってな。」

「召喚獣召喚より婚約者(候補)召喚、召喚獣より婚約者(候補)という人間、優先事項が重なったために、距離が有るにも関わらずくだんの魔法陣が作動。 結果、貴方が召喚される事態になった。」

「そういうことだ。」

 状況を聞いて、思わず溜め息が出る。 完全に偶然の産物だ、それもメチャクチャ厄介な・・・。

類似魔法陣同士のうえに、同一人物の魔力によるからこそ、私に感知できない程度の残存魔力でも作動したのだから、予測なんて出来るわけもない。


「で、召喚されたついでに、自身で隣室(自室)の書類を持って戻ったと。」

「ほぅ? 良く気付いたな。」

「当然です。」

 彼の執務室と廊下の間に秘書室が有り、彼の秘書も兼ねている私は通常の事務仕事はそこで行う。 だから、私の部屋の魔法陣で召喚された彼が着いたのは自身の執務室の隣。

そして、彼は王国随一の魔術師であり、隣と言う近距離で、どこに何が有るか分かってる自室からなら召喚獣さえ使わずに物質召喚できる。

あの退室直前に、それまで持ってなかった書類を彼が持っていることに私は気付いていた。 というか、この上司に対応してるうちに、それほどに観察眼を鍛えられてしまったというのが正しい。


「更に調査するので、その時の魔法陣を書いてください。 そして、ペンとインクの魔力を完全除去してください。」

「分かった。 後で報告をあげろ。」

「はい。」

 上司に紙とペンとインクを差し出して依頼する。 彼は、無造作なほどさらりと書いて魔力を除去、報告指示への返事を聞くと自身の執務室へと去って行った。





 **********


 はぁーっと大きく息を吐き出す。 いつものことながら、彼の相手は疲れる。 ましてや、威圧を向けられたり、試すようなことをされたりすれば、緊張も上乗せされるから疲れは倍増する。


 だいたい、彼の秘書なんて、私には不本意極まりない。 この現状は、すべて彼の性格のせい。

無駄が嫌いな彼は当然ながら余計な人付き合いなんて拒否するので、外部から来る雑事を振り分けて処理する人間が要る。 かといって、バカな人間も無駄なものと考える彼への対応なんて誰にでも出来るものじゃない。

つまり、過去の数多あまたの任命者の中で現在続いてるのが私だというだけの話。



「さっさと(私以外の)誰かで妥協してください。」

 彼の秘書候補として執務室に呼ばれた時の、私の最初の発言がこんな感じだったと思う。


 『カルロッサ・イル・マーリク』。

 かつての魔術師団長官カロ・イル・マーリクの曾孫ひまご。 歴代最強魔力を持ち、現在の魔術師団長官。 魔術研究官の私『ルーラ・エル・テュリウス』の現在の上司。

 神眼と地獄耳を持つと噂され、嘘や誤魔化しが一切通じず、冷徹で、ほぼ無表情な美貌に浮かぶ氷の微笑は破滅への前奏曲として地獄の渡し守『カロン』の別名を持つ。 彼のずば抜けた魔力もあって、私は初対面から『魔王』と心の中で呼んでいる。 彼はどちらも知ったうえで無視してるのは確実だから、彼からツッコまれる時はホントにヤバい時だろう。


「今日中に準備して明日から始めろ。」

 それが彼の返事。 つまり、お試しだったとしても採用決定。

 いま思えば、この時が、面白がるような表情を見た初めての場面。 そして、聞き返すなどのバカをやれば即座にクビだと本能的に悟って 「分かりました」とだけ答えて行動に移したのが現状の始まり。


 承諾かクビかの2択しかなかったわけだし、選択の余地なんて無かったんだけどね。 この後が大変だった。

 朝一で呼び出されて準備は今日1日。 主な仕事場が彼の秘書室になるし、超多忙な彼の秘書を兼ねるとなると、研究を整理して一部は引き継がなくてはならない。 明日の朝一から向こうでの仕事が始まるから秘書室の準備も今日中に済ませる必要が有る。

漏れの無いように、やるべきことを整理しながらメモして、処理しながらチェックする。 予定に無かったことだから調整が難しい事柄も多く、周りへも負担をかけることになる。 忙しさのあまり余裕が無く、ぞんざいなほどの態度でも反感を買うことは無い、なにせ相手が相手だ。 『これで俺は安泰だ』『頼むから長続きしてくれ』『キレさせるなよ?』などの心の声がダダ漏れなのは気付かないフリをする。 主な仕事場が移るとはいっても所属は変わらないし、研究室も残す。 今後のためにも、にっこりとイイ笑顔で 「これからもお願いしますね。」と言っておく。

ストレス以上にプレッシャーでアルコールが欲しくなる。 けど、明日を考えればアルコールは絶対危険で・・・。 準備とあいさつを終えて寮の自室に帰ると、食事・入浴・出勤準備だけ済ませてベッドに潜り込んだ。



 そうして始まった現状も、今では3年目。 少しずつ、自分の研究にてられる時間も増えている。

 魔王上司は、私の前では、面白がるような、あるいは試すような表情が多く、氷の微笑は向けられたことが無い。 そんなものを向けられた日には、彼の秘書どころか魔術研究官でさえいられなくなるのだから、現状を考えれば分かりきったことなんだけど。

 彼の秘書になって、私にも思いがけないメリットが有った。 それは、彼の執務室の本棚および専用書庫の閲覧が自由になったこと。 歴代の魔術師団長官の収集物や記録に加え、彼自身の著作など、希少書物が多い。 研究官としては見逃せないものばかり。

ちなみに、彼自身から知識や情報を得ることは出来ない。 超多忙のうえ、『自力で調べられないものは分不相応で知るべきではないもの』と彼は考えるらしい。 それでも、彼の気が向けば、研究の参考になる書物などをいつのまにか机に置いておいてくれる場合が有る。 もっとも、それが貸与か贈与か、返却先はどこかなどの表示は無く、自分で判断して対応しなくてはならないのだけど・・・。


 そして今回、初めて彼から情報入手、しかも直筆魔法陣。 手元に残した研究の中で、本来のメインテーマが魔法陣の私にとってはメチャクチャ貴重なお宝で、今回のアクシデントの思わぬ報酬といえる。 これだけはホントに素直に嬉しい。





 **********


「それで? 貴女の部屋に有ったのは婚約者(候補)召喚の魔法陣なんだよね?」

「はい。」

「たとえ同一魔力でも、条件が一致しなければ召喚は実現しないよね?」

「はい。」

「そして実際にカルロッサは召喚されてるんだけど、どんな条件だったの?」

「元国王イザーク陛下のとほぼ同じです。」

「具体的には?」


『生粋のアークティア国民。 男性。 健康体。 18~40歳。 独身で未婚。 過去にも現在にも恋人も想い人も居ない。 持ち込まれている縁談も持ち込んでいる縁談も無い。 子爵家以上の家柄。 本人にも親族にも犯罪歴が無い。 本人にも親族にも野心や浪費癖が無い。』


 傍目はためには親しげに質問してくるのは、会話に出てきた『イザーク陛下』の孫で現国王の『ヨシュア・イル・アークティア』陛下。 上司と私から報告を受け、明らかに事態を楽しんでいる。


「18歳は結婚可能年齢として、40歳は?」

「後継者が必要な相手だった場合を考えると・・・。」

「なるほど。 貴女は19歳だっけ?」

「はい。」

 陛下からの質問は続く。 もはや、緊張よりイヤな予感が強い。


「持ち込まれている縁談も持ち込んでいる縁談も無い、ねぇ。 カルロッサ?」

「牽制の効果は出てる。」

「じゃぁ、婚約する?」

 予想以上の爆弾に、思考も動きも止まる。


「陛下? お祖父様の恨みを相手の孫にぶつけるつもりですか?」

「そんなこと考えてないよ? で、カルロッサは?」

「有り、だな。」

 拒否という援護を期待した上司からのトンデモナイ爆弾に、いっそ気絶したくなる。


「ほら、カルロッサもこう言ってるし?」

「イザーク陛下と同じような理屈を言わないでください。」

「婚約者(候補)召喚の魔法陣を持ってたのは貴女だし? 弱みとかは無いよね?」

「陛下と(魔王)上司に逆らえるとでも?」

「命令じゃなくて提案だから。 貴女にも拒否権は有るし、当然、カルロッサにも何もさせない。」


 関係者のみが知る、『当時、第2王子だったイザーク殿下が魔法陣で婚約者候補を召喚、一目ぼれして強引に婚約者にしようとしたら、婚約発表直前に花嫁召喚された彼女は召喚主の南国の王と互いに一目惚れで即時婚姻』という事実。 そして、その女性は私の祖母なんだから、勘繰かんぐりたくもなる。

ちなみに、その魔法陣を書いて作動させたのは魔王上司のお祖父様だったりする。

 実際としては、イザーク殿下の体調不良で発表延期ということにして、召喚陣を調整して調べた該当者と合意のうえで婚約者をげ替えて発表、後に結婚。 それがヨシュア陛下のお祖母様。

 イザーク殿下は傷心と屈辱で少しの間ひっそりと荒れてたらしいけど、婚約者のおかげもあって立ち直ったらしい。 私のお祖母様ルリアナ・エル・テュールの動きは裏切りにも似たものだけど、王太子でもない第2王子では(他国とはいえ)最高権力者の王には及ばず、婚約発表前の立場では抗議も出来ず、他国の王族の姻族となったテュール伯爵家にとがを負わせることも出来ず・・・結局はお祖母様の召喚そのものを無かったことにして事態を収拾した。


「カルロッサは後継者が必要だ。 でも彼の相手が務まる女性なんて限られるし、彼が受け入れる気になる相手となると更に難しい。 貴女はその条件を満たしてるようだから、考えてほしい。」

「・・・分かりました。」

 拒否権の保証の言質は貰えたけど、考えもせずに拒否できるはずもなく・・・。





 **********


「話の続きは後で。」

 ということで、呼び出されていた陛下の私室から上司の執務室に戻る。 


「最初に言っておく。 私はこの展開を歓迎している。 お前を気に入っているからこそ、一生そばに居てほしい。」

「もしかして、本気のプロポーズですか?」

「もしかしなくても、そうだ。 こんな状況で言う予定ではなかったんだがな。」

 執務室に入り、鍵を閉めた魔王上司からの、求婚という特大の爆弾。 思わず聞き返すと、彼は珍しくも苦笑して答える。 普段なら聞き返すなんて理解の悪い証拠として即座にクビになるところだけど、今回は状況を考慮してくれたらしい。 陛下との遣り取りからも完全復活出来てないところに追い打ちを掛けてるも同然だと分かっているようだ。 『ヤバい』という本能さえ働かないほど内心でパニクッてたから助かった。



「最初に魔術研究官としての受験希望を知った時は驚いた。 私が長官だと分かったうえで、他にも過去を知る人間が居る可能性が高い、かつての祖母と同じ魔術系の部署を希望するのだからな。 興味を持つのは当然だろう?

 受験管理者は、かつての魔術師団近衛隊第2班班長ユール・イル・ニルベルグの孫。 イザーク陛下の最初の召喚の立会人の孫で過去を知るだけに、念のためにお前の受験許可を私に求めてきた。 何も区別をする気は無い、と明言するので許可した。 例の件を理由に受験拒否の確認に来るようなバカじゃなくてよかった。

 最終面接のとき、私の魔力に威圧されるよりも『魔王だ』と驚いてるのが新鮮だった。 自身の魔力が少ない分だけ、魔力の感知が抑えられてたこともあるんだろうけどな。 『魔王』と感じたのがダダ漏れで、笑いそうだったぞ?

 新人の挨拶では、何を言われても負けるものかという覚悟が見えて感心した。

 魔力の多さや特性が逆に研究の妨げになる場合が有ることは知っているから、魔術関連は心配していなかった。 ただ、お前が祖母のように中和や増幅などのレア特性を持っていた場合、それを事前に知る方法は無いので、上官には兆候を見逃すなとだけは伝えた。

 研究の着眼点は独特で面白く、報告書は明瞭簡潔で分かりやすかった。 上官の評価も高かった。

 知るほどに興味を引かれたから、秘書候補を探すときは最後にまわした。 最後の候補となれば、お前も覚悟を決めやすいだろう? なのに、『さっさと誰かで妥協してください。』だからな。 あれは良かった。 言外の『私はイヤです』というの、ダダ漏れてたぞ? 最後でもあったことだし、問答無用で承諾させたわけだ。

 異動前日・初日・その後、何1つとして滞らせることが無かったのは予想以上だ。 しかも、効率は上げるし、言うべきことはハッキリ言うだけでなく、私相手でも皮肉などを混ぜてくる場合も有る。

 こんな相手には2度と会えないと思ったから、楽しみながら様子を見てたら、こんな予想外の展開が生じたわけだ。」



 呆然としていた私に自らお茶を出し、落ち着いた頃に明かされた衝撃の事実の数々。


「ということで、私にとっては突然でも何でもない。 無理強いするつもりは無いし、流されたり身分差で判断を誤るお前ではないことも知ってる。 私は諦めるつもりは無い。 だから覚悟して口説かれろ。 無駄な足掻あがきになろうとも、お前の決意の為なら受け入れるさ。 焦る必要は無い。 私が大人しく待つことは無いのだけ、分かってればいい。」

「・・・・・・。」

「仕事は今までどおり続行。 公私の区別はキッチリつけるが、この私がチャンスを逃すと思うなよ? 今日は帰って休むがいい。 明日も休みにしておくから、頭を整理し、覚悟を決めろ。」

「・・・分かりました。 失礼します。」

「そうそう、仕事以外では『カル』と呼べよ? 余分なもの付けても返事しないからな?」

「・・・失礼します。」

「おやすみ、ルーラ。」

「! ・・・おやすみなさい。」





 **********


 その後、何とか頭を整理して、無理矢理ながら覚悟を決めて、日常再開。

もちろん、魔王上司に書いてもらった魔法陣の研究も進めている。


「国内にはライバル居ないから。 国外の挑戦者もカルロッサ本人が撃退済みだし。 修羅場が無くて良かったね。」

 ヨシュア陛下、この言葉にどう反応しろと?


「世のため人のため、健康第一で長生きしろ。」

「彼のそばに貴女が居れば世間は平穏ですわ。」

 周り中が歓迎ムードというか、決定事項扱いだけど、もしかして私って魔王の封印扱い?

 カロは性格除けば超優良物件なのに、令嬢からは嫉妬どころか尊敬の目を、彼女たちの親からは感謝の言葉を向けられるって、すごく複雑な気分なんだけど?!


「結婚しても私もお前も仕事は変わらないぞ? お前への態度も、な。」

 カルに宣言された時は、『分かってくれてる』と心がほんのり温かくなる気がした。


 勤務中は今までと何も変わらない魔王上司が、仕事以外では極甘な口説き魔になると、イヤになるほど実感させられる毎日が日常になりつつある。

そんな中、緩やかな周りの動きに流されないように、甘い毒のような囁きに惑わされて自分を見失わないように、それでも正面からカロと向き合っていこうと思う。



 ***** (完) *****

『喚ばれてみれば』の直後のアークティア王国をチラリと暴露してます。

誤作動をきっかけに明かされる事実と(主人公にとって)意外な展開を楽しんでいただけたら嬉しいです。

この2人の出るネタが有るので別の話として書くと思います。 同じ世界を単発である程度書いて、まとめて連載形式にする予定です。

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