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路面電車を作ってみよう

この城に初の大人の来訪者です

マジメそうな人ですが、マジメで有れば有るほど

主人公の理不尽な力の餌食に^^;

【SIDE:巡法騎士】


 これが報告に有った「天罰の塔」というやつでしょうか?

 鍛え上げられた剣より更に硬い材質で出来ていますね。

 表面に複雑な装飾がなされていますが、この為だけにわざわざ作ったのか、それとも他の場所にあった物を運んできたのでしょうか?

 


 それにしても王都の方々も無理をおっしゃる。

 こんなに巨大な物をわざわざ王都に運ぶなどと、一体どれくらいの人数がどれくらいの日にちをかければ出来ることやら。


 そんなに見たいのであれば、ここに足を運べばよろしい!


 ・・・そう言えれば楽なのでしょうね。


 

 塔の先端にあるのが噂によれば子供を奴隷として売りさばいていた人買い。

 その様な輩がこの王国に居るとは、我々の力もまだまだ足りませんね。

 


 それにしても、この「道」。

 これも一体何なのでしょうか?

 石を敷き詰めたりはされていませんが、ここまで表面が平らな道というのは初めて見ました。

 土なのにどういう手段を用いたのか、石よりも固く突き詰められています。

 王都の道もそれは綺麗な物でしたが、ここまで滑らかなものではありませんでした。

 一体、どういった人間がどの様にすればこの様なものが出来るのか・・・。

 

 まるで、この塔へたどり着く為にあるかの様な道。


 この道の反対側の果てには何があるのでしょうか?


 塔の方はすぐにどうこうできる物でもありませんし、幸い一人で自由の利く身です。

 ここは確認してみるのもいいかもしれません。

 

 決して興味本位じゃありませんよ・・・いや、ちょっとは、というかかなり興味はありますが。


 ですが、人買いの死体とこの塔だけ残して、買われたという子供も乗っていたはずの馬車も消えているのです。

 

 おや?

 

 よく見れば、この固められた「道」の上にかすかに馬車の轍の様なものが。

 それにこれは馬の蹄の跡でしょうか?

 かなり大きく、しかも訓練された馬の跡の様に見えます。


 少なくとも馬車を引くような馬の物とは違いますね。

 それでいて蹄鉄も打っていない。

 不思議なものです。



 ともかく、これでこの道を辿るべきだと分かりました。

 道に沿って進んでみましょう。





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 これは・・・いったい・・・・・・。

 いや、どう考えてもおかしいでしょう、これは。

 王国の外れに近く、普段誰も来ないような場所とは言え、これほどの物が作られるとなれば、多くの人や資材が動いたはずです。

 

 というか、この城壁、そして向こうに見える城はもしかしてすべてクリスタルですか?


 まさか神か、大地の精霊王が城を築いたとでもいうのでしょうか?

 この様なものが人の手によって作られるとは到底思えません。


 『「道」の果てにはクリスタルの城がありました。』


 そんな報告を出したら正気を疑われて解任されるだけでなく、騎士資格まで剥奪されかねません。

 真実でありながら誰にも決して信じてもらえないでしょう。


 一体、私がどんな悪いことをしたというのでしょうか?

 これでは、あんまりです。

 私の手に負えるものじゃありません。


 誰かなんとかしてください!


【SIDEOUT】



 


 昨日、一昨日と俺らしくも無く結構働いちまったんで、今日は少し俺の娯楽も兼ねて作るのを楽しめるユニットでも置こうかな、とユニット生産で作れるものを色々確認している。


 子供たちの一部は「働き」始めている。

 女の子は厨房ユニットの調理班とサファイアの指示に従った清掃班、それに服飾班。

 まあ、服飾班は自分が着たい、人に着せてみたい服を作ってるだけの遊びみたいなもんじゃねーか? なんて見方も出来るけどさ、俺やアメジストがお仕着せで作るよりはいいし、チルカなんかはそうやって出来た服に自分で刺繍を入れたりしてるしな。


 男の子はタムルを中心にブラスにくっついて城の巡回、ガーディアンがやってる様な事をやり始めてる。

 

 まあ、エルスは相変わらず本を読んでるし、サッフォーは寝てるけどな。


 仕事の状況はそれぞれに担当サーバントも付いてる事だし、まあ問題はないだろう。


 朝食後張り切ってそれらの仕事に向かう子供たちには「仕事だけじゃなく、しっかり遊べよ!」とも言っておいたが、少なくとも今日いっぱいは「仕事」に夢中だろう。



 さて、ユニットを色々と見ていた俺だが、ちょっと面白そうな物を見つけた。

 それは都市交通ユニット、という代物だ。

 説明見ると空港とかにある無人運行のシャトルみたいな感じ。

 走らせる長さと車両数で消費MPが決まる。


 城の中だけなら歩きの移動で十分だけどさ。

 城壁で更に外側を囲ったじゃん?

 そっちまで歩くとなると結構大変だし、端と端の移動は大人でもキツいと思う。

 

 ま、ガキに囲まれて童心にかえって、自分でレールを引く電車遊びがしてみたいってのが一番の理由だけどな。

 城の前をターミナルにして、そこから東と北、東と南、西と南、西と北って感じで城からの直線→外周沿い→城からの直線と4つの弧を描く形でまずは城とそれらの門に駅を作って、建物や施設が増えたら、そこにも駅を追加するって形でいいかな? と思ってる。


 あー、駅も別ユニットで、追加時にダイアを再編成する必要があるのか。

 こりゃ、なかなか本格的なシミュレーションゲームだね。

 子供が近くに寄って事故に合わない様に、安全対策もしなきゃな。

 まずは線路をコネクトするか。

 おお、やっぱりこういうのは面白い。

 

 これが終わったら、今度はナイト乗り回せる高速道路でも作るかな。

 昼飯前には完成させて、昼飯の後、子供たちにお披露目試乗会とかやりたいな。

 その為にはガンバ、ガンバ。


 えっと、線路は敷き終わったんで、次は駅のコネクトか、で、それが終わったらダイアを設定して車輌を設置して試運転。

 ・・・よし、駅が出来た。

 でもってダイアだけど、まあ、最初はそれぞれの線に車輌一台ずつでいいだろ?

 駅での停車はドアが開いてるのが40秒で停車してるのが一分。

 速度はあまり速い必要も無いし最高30キロくらいでいいか。

 安全対策として距離に反比例した反発フィールドを動いている時には発生させる様にして、直接車輌との接触は起こらない様にしよう。


 あー、なんか路面電車作ってたら、今度はジェットコースター作りたくなってきたなあ。

 城の周り全部空いてるし、遊園地作っちまうかな?

 子供たちの驚く顔が見たいし、それはあいつらが寝ちゃってる間、とかいいかもな。


 いかん、いかん。

 車輌セットして試運転せねば。


 「おーい、ルビー! シャトルの試運転行って来るんで何か有ったら連絡「私もご一緒します!」・・・あ、そう。じゃサファイア「私も!」・・・アメジストも来るか?「はい、当然ですね」・・・じゃ、みんなで行くか。」

 

 いや、高級サーバント、日に日に自己主張強くなってね?

 気のせいじゃないよなぁ。

 普通のサーバントもいずれそうなるのか、高級だからなのかどっちなんだ?

 その点、高級ガーディアンはマジメというか、いかにも武人だよなぁ。


 


 更に巡回をブロンズとバトンタッチしたブラスまで着いて来た。

 こいつ、あまり自己主張しないけど、実は乗り物好き?

 ナイトの時も結構実は内心ノリノリだったとか?


 

 耳に心地よい音楽が流れて、シャトルのドアが開く。

 いつの間にか合流していたテオとボリックの目が輝いてる。

 「さあ、乗るぞ!」

 いや、ルビーさん?

 子供と争うように進行方向の良く見える場所を確保するのはどんなもんでしょう?

 「なかなか興味深い物をお作りになりましたね、タイチロウ様。」

 なんで、褒めてあげましょうなんて感じになってるんですか、サファイアさん?

 アメジストとブラスは、座ってすっかり寛いでますね。


 ・・・ま、いっか。

 他の子たちも、きっと楽しんでくれることだろう。


 しかしなぁ、来てすぐ城作って、子供たちの相手をして、この世界って中世ファンタジーっぽい、良くRPGなんかである様な世界なんだろ?

 全然実感沸かないんですけど?

 モンスター見たこと無いし(アイアンやブラスやブロンズは、見ようによっちゃモンスターだけどな)、町に行ったけどお姉さんたちしか記憶に残ってないし(それ以上にリーフのインパクトが強かったし)・・・・・・うーむ。

 いわゆる異世界っぽさって、3つある月くらいでしか感じたことがないぞ?


 などと考えている内に、城から門へとシャトルは快調に進んでいる。

 子供だけでなく、高級サーバント達もブラスも楽しんでるようだ。

 いや、このシャトルより君たちサーバントの方がハイテクだからね、どう見ても。

 

 「タイチロウ様。現在向かっている南門外壁付近に接近、というか佇んでいるアンノウンが居るとの事です。」

 「どんなお相手? 怖そうな人だと嫌だなぁ」

 「水晶球で映像を出せるようにしました。」

 

 水晶球、正確には携帯用水晶球。

 腕にはめる半球状の水晶で、城の部屋にある水晶球と同じ感じで、サーバントたちとの連絡もとれるって代物。城の外でも使えるからね。前回、町へ行ったときもこれを身につけてた。

 そこに表示されたのは、こりゃ、騎士さまか?

 「騎士っぽいよねぇ。」

 「そうですね、単独で居る事から巡法騎士ではないかと思われます。」

 「何、その巡法騎士って?」

 「タイチロウ様の知識で似た物を当てはめると、西部開拓時代の連邦保安官でしょうか?」

 あー、活動範囲の広い、一定の権威を持った法の番人ね。

 

 フィクションにしろ、俺の世界の過去の歴史にしろ、騎士って頭固いってか融通利かないのが多いって印象だけど、面倒くさい事にならないかな?


 「なにやら途方に暮れている様にも見受けられますが?」

 「あー、そういわれれば、そんな気もするねぇ。下手に声掛けたらガックリ崩れ落ちそうな。」

 「人間の行動とは時々我々サーバントには理解することが難しいですね。」

 

 いやいや、あんたらは時々その人間以上に理解が難しいですよ?


 「あー、サファイアとアメジストはこのままシャトルに乗って子供たちと城に戻ってくれ、ルビーとブラスは俺と一緒に次の駅で降りて、あの騎士さんと接触してみよう。」

 「了解しました。」


 気のせいか、なんかブラス落ち込んでね?

 そんなにシャトル乗ってたかったのかよ。

 後で好きなだけ乗せてやるから、今は俺に付き合ってくれ。


 ・・・分かった、今度お前用の乗用ガーディアン作ってやる・・・いきなり偉く張り切り出したな、おい。

 そんなに乗り物が好きなのかよ?


 最初のロボットっぽいって印象が、どんどん覆されていくな、ホントに。



【SIDE:巡法騎士】


 少し離れた所にあった、巨大なクリスタルの門が開き、中から3人の人物が現れました。


 ローブを着た魔術師のような男性。

 ドレスとはまた違ったシャープな印象を受ける服を着た女性。

 そして、一目で強さが、いや強さという物を鎧に押し込めた様な騎士。


 私も騎士として、それなり武というものに精進を努めてきた者ではありますが、あれほどの域に達するにはどれほどの修練が必要となるものか・・・。


 その立ち位置から、主であると思われる魔術師風の男性はこちらに視線を向けると口を開きました。


 「あー、新聞や宗教の勧誘ならお断りだし、NHKはテレビ無いんで見れませんけど、どういったご用件で?」



 ・・・・・・・・・。

 ・・・はっ?


【SIDEOUT】

当初の予定だと、とっくに城に入って

子供たちに尊敬のまなざしで見られてたハズなんですけどねぇ、騎士様

主人公が線路遊びに夢中になったせいで、こんなトコで区切りに^^;

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