あの子を呼んでみよう
メンタリティでは登場人物で一番下な子の登場です
「来ちゃった(はぁと)」
う~む・・・・・・。
声とメンタリティは台詞にぴったりだが、外観としてはどんなもんだろう?
わらわらと中から湧き出して来ては纏わり付いてくる小人たちに「一人一人は軽くてもこんだけたかられると結構重いな」などと思いつつ、俺は声の主を見上げたのだった。
王様との話で冒険者ギルドと学校とテーマパークを作る事になったわけだが、学校に関しては現状授業はそれなりにというか校長たちスタッフが頑張って最善を尽くしている最中ではあるものの、前例も下地も無い状態な訳であり、よーいドン! で今すぐスタートという訳にもいかないので、取り敢えずは王の配下で学校関連の責任者となる人間と実務を行う人間を決めて貰い、その人たちにアジトまで来てもらって実際の学校の授業等を見てもらいながら話し合いを進めることになった。
官吏の養成という事もあるので、引退した官吏の人間から責任者は決まるんだろうなぁ。
権益とかは発生しないだろうが、名誉だの貴族間の派閥バランスだのとか面倒な事もあるだろうし、実際に動き出すまではノータッチでいいだろう。
冒険者ギルドに関してはほぼノータッチで済むと思われる。
既に西都、北都と実績があるからな。
ただし、ゴルテックスはともかくトパーズの負担が大きくなり過ぎるので、補助の人員の確保が必要になる。
いつもの様に新しい高級サーバントを、でいいのかもしれないが、先々の事を考えるとこの国の人間で能力を持った人間を見つけるか、育てるかした方がいいのかもしれない。
この辺はトパーズとも相談して決めよう。
最後にテーマパークだが、本を読んだり、王都の学者さんやら神官さんやらから話を聞いて神話や伝説を勉強をするのも気が進まない。
なもんでアジトに帰ることにする。
城の子やら学校の子やらと話をして、人気が高かったり評判が良かったりする話なんかを中心にでっち上げてしまおうという考えだ。
基本、テーマパークにしろ遊園地にしろ、置けるものの傾向ってのはある程度限られてくる訳で、一所懸命に歴史やら伝説やら神話やらを勉強したところで、下手に「これは省いちゃダメだろ?」とか「これは国として入れておいた方がいいかな?」とか考えるようになって、かえって「それ面白いの?」というものか「それってこじつけに過ぎねぇ?」ってものしか出来ないと思うのだ。
けっして俺が楽をしたいからじゃないぞ?
まあ、誰一人として信じてはくれないだろうが・・・。
城に戻った俺は子どもたちに話を聞いて回ったんだが、城の子たちはちょっとヤバいかもしれない。
夜とか雨降った時なんかに話をねだられて、たまに童話やらなんやらを必死に思い出しつつ話してたのが、その内ネタ切れになって漫画やらゲームやらの話をダイジェスト風にしたのとかも話してやってたのがいけなかったのだろう。
なんか、元の伝説に変なアレンジがかかったものになっていた。
最初は話を聞いて「俺は~」「私は~」とか話すのをメモ取ってたわけなんだが、どうもどっかで聞いた様な展開になったりする。
それでも最初は「世界が違ってもお約束は似たようなもんなんだなぁ」と深く考えずに聞いてた。
だけど勇者が魔王をデンプシー・ロールでボコボコにしたり、国の危機にお姫様が女神の力で変身して魔法を使って魔物を倒したりと「流石にそれは無いだろう」という話に他の子どもからも「それは~のお話だよ」とかツッコミが入って「これはあかん」と・・・・・・。
かと思えば博士やタカさんから「本当の話」を聞かされて「美化すげぇ・・・」と絶句するハメになったりもした。
うん、間違っても「本当の話」は公表しちゃダメだ。
王子様と庶民の娘の身分差を越えたラブロマンスが、娘(実際には少し婚期を逃していたらしい)が切り盛りする食堂にお忍びで入った王子様(ショタと言えるくらい年下だったらしい)が胃袋がっちり掴まれて、食い意地に駆り立てられた怒涛のアタックに根気負けして結婚を承諾したなんて、聞いてしまえば実にこの国らしいと納得出来る話であっても、やはり皆の夢は壊すべきではないだろう。
結局、一番役立ったのは校長の協力の下、「自分の好きな物語の絵を描いてみましょう」という授業で描かれた子どもたちの絵と、その絵に対する子どもたち自身の説明だった。
「こんな感じでイメージしてるのか」とか「こういう話が好きなわけね」と、男女別に傾向に差はあっても、街や農村の子と貴族の子にそれほど好みの差が無い事も分かったのも収穫である。
そんなこんなでイメージも固まった頃、王様の方からも用地の確保が出来たとの話があったので、テーマパークを作るために再度王都(というか建設予定地の旧・近衛演習場)まで、今度は面倒な偽装無しに向かったのであった。
さて、建設予定地は元々演習場だっただけあって、かなりだだっ広い。
だけでなく、意外と王都から近い。
まあ、基本、王の側に居る近衛の為の演習場だから、遠くに作るという訳にもいかなかったのだろう。
今回は博士は外惑星の方に行っているので同行せず、俺基本ユニットプラスシモーヌさんという王都対応バージョンでの移動である。
お仕事モードなのでシモーヌさんも鎧を着こんで、普段のぽややんぶりが嘘の様な凛々しさだ。
だから、ルビー、なんで無駄に張り合ってるの、お前は?
赤い鎧とか3倍の速さで動くつもりか?
その剣どっから持ち出したんだよ!
お前が凶器持ってると俺は怖くて仕方が無いんだが?
まあ、そういった感じで時折首筋に寒さを感じつつ、テーマパークとして中央のシンボルの城は王都の城を元に作ろうかなどと考えていたのだが、視界をちょっと動かせば王都が見えるという位置で、あまりに近くに比較対象がある為に差し障りがある。
下手に豪華に作って本来の城より派手になってもまずいし、かといって余りにもチャチだと来る人間を馬鹿にしているようになってしまう。
正直、かなり困って無い頭を捻っていた俺だったが、唐突に閃いた。
比較の対象にならず、それでいて一目で凄いと分かる。
「別に新しく作らなくてもいんじゃね?」と。
早速、博士に連絡を取って、「本人」の快諾も受けて呼ぶ事にした訳だ。
王様にも許可を貰ったし、到達に際して起こる騒ぎへの対応もお願いした。
でもってやって来たわけだ、ストロベリーが・・・。
うん、パンの妹、あのストロベリーパフェ風のパンデモニウム。
緊急避難用って趣旨で、パンの期待もあってあそこで作ってしまった子だけど、別に緊急避難用にあそこまでの性能は必要無いし、外観もメンタリティも異形のモンスター天国よりテーマパーク向けじゃねえかと思ったのだ。
それにあまりにも傾向が違い過ぎるから王都やアジトの城と比較される事も無いし、モンスターや自然に囲まれると違和感あり過ぎるが、周囲がテーマパークならむしろしっくりくる。
遠路はるばる惑星間航行を行い、途中、パンとの姉妹直接対面(ちょっとその光景も見てみたかったがな)という一大スペクタルなイベントも果たした上で、こうして大地に辿り着いたストロベリー。
着陸も城の上部に紐付きの風船(といっても気球サイズだが)をフワフワといくつも浮かべてぶら下がる様に降りてくるという、城コプターという強引な力技を見せたパンとは違う、サイズ以外は脅威感が少ない登場である。
「メルヘンだなぁ・・・。」
「おいしそうですねぇ・・・。」
シモーヌさん・・・外見凛々しくしても中身はいつも通りなのね・・・。
「良く来たなストロベリー、お疲れ様!」
「あちらの星と違ってこちらは自然がいっぱいでニコニコです~♪」
「ここがこれからお前の過ごす場所だ。周りにテーマパーク・・・要は遊園地の凄い版だ、それを作っていくからな。完成したら色んな人たちが遊びに来てくれるぞ!」
「わーいです! お姉ちゃんも遊びに来てくれるかな?」
いや、流石にパンの本体はヤバいだろ?
・・・けど、まあ、端末の方なら来れるかな?
この子のイメージとのバランスを取りながら、実際に作っていく事にしよう。
「うわぁ、小人さんです、可愛いですねぇ、うちにつれて帰っちゃダメですか?」
シモーヌさん・・・昔はもうちょいマシだった気がするんだがなぁ・・・。
テーマパークのシンボルとなります^^




