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お料理教室を開いてみよう

詰まっていた配水管が通るようになった感じです


 最近、この国に都がひとつ増えたそうだ。


 中央の王都、北の北都、東の東都、南の南都、西の西都に加えて料理の「味都」として俺らが住むアジトが知れ渡っているんだとか・・・・・・なんじゃそれ?


 カップ麺とレトルトしか一般に流れてるもの無いはずなんだが?

 (レーションは軍の一部で一般に使用されてるが、今までの保存食よりはいいものの、町とかの出来立ての食い物には勝てないレベルだし・・・。たまーに口にするとちょっとうまく感じるけどな)。


 それで味の代表格扱いって・・・・・・城の子たちが作ってくれたこの国の料理だって、けっこうおいしかったよ?


 元の世界の某紅茶の国ならともかく、元々が食い意地が上から下まではっていたこの国は、普通に食べられるものもかなりおいしい。


 冒険者ギルドで出してる調理ユニットの食い物も、今じゃ西都、北都の冒険者ギルドで普通に食べられるし、南都にもギルド支部を作る話も出てるし、今度の王様との話し合いでは、王都にも冒険者ギルドを作るという話も出るらしい。


 つまりは、ここでしか食べられないものじゃないってことだ。


 なので、「なんでだろうなぁ」って首を捻ってたら、城の小さい子が隣で真似をしていた。


 グリグリと頭を撫でてやってから慌てて周囲を見回した。


 ・・・セーフ。

 サーバントたちは見てなかったようだ。

 

 こういうトコ見られるとあいつらも撫でてほしがるからなぁ。


 ともあれ、分からんままだと気にかかるんで他の人の意見を聞きにいってみよう。


 まずは博士か?


 「ここがなぜ『味都』と呼ばれる様になったかですか? 人間やはりインパクトがあり、新しいことの方が刺激がありますからね、それにこちらで新しく出る料理はこの国や周辺の国にこれまで無かったものや無かった調理法が多いです、あとはそれを秘匿せず、広く一般に開放していることでしょうか、10人の人しか知らないことより、1000人の人が知っていることの方が人の噂にはなりやすいですよね、そうそう、そう言えばこの間・・・・・・・。」


 久々のブレスレス解説モードご苦労さま。

 後半は全然関係ない話ばかりだったけどな(まあ、料理機能に特化した簡易サーバントが独身男性に売れるかも、というのは確かにありそうではあるが)。


 インパクトねぇ・・・日本に最初にマクドナルドが入ってきた時みたいなもんかね?


 あ、シモーヌさんはどう思います?


 「ここが味の都と呼ばれるわけですか? それはやっぱりおいしいもの、特に甘いものが多いからじゃないですかねぇ? この間のパフェもおいしかったですし、その前のミルフィーユも、その更に前のモンブランも・・・。」


 この国の菓子、それも一般庶民向けのも結構おいしいのあると思うんだけどねぇ。

 生クリームとかその辺は確かにあまり見ないけどさ。


 

 外行ってみるか?


 お、駐屯兵S、元気に走ってるな!


 「ここが味都と呼ばれる訳ですか?」

 「そりゃウチの伯爵様とか、俺らとかが『美味かったぁ!』って余所で言ってるせいじゃないですかね?」

 「俺らもここの駐屯になる前にさんざん伯爵やらここに来たことある奴らに自慢されてましたからねぇ・・・。」

 「カレーライス最強、毎日食っても平気。」

 「待て、ラーメンに敵う食い物はねぇ!」

 「肉だろ、肉、肉食わなきゃ話にならねぇ、から揚げ、ハンバーグ、テイルスープ・・・。」

 「豆腐は万能食品、温かくても冷たくてもいけるし、主役にも脇役にもなれる!」

 「丼物こそ至高! 上に乗っているものが違うだけで様々な変化を見せてくれる上に腹にもガッツリたまる!」

 「いやいや醤油がだな・・・。」

 「なんと言ってもトロトロのソースだろJK!」


 ああ、まあ、なんというか、お前らの食い物にかける情熱だけは分かったよ。


 だから食い物談義から乱闘に移行してんじゃねぇぞ、メシ抜かせるぞ!


 「「「「「「「申し訳ありません!!!!」」」」」


 じゃあな、引き止めてわるかったな、訓練続けてくれ。




 うん、まあね、食い物に関してのこだわりは、この国の人間、日本人レベルだわ。

 その需要にマッチし過ぎたってことかね?

 日本だって文明開化以降、急速に海外の要素取り込んで貪欲にそれを吸収していったしな。

 カレーライスもラーメンも、和食ではないが「日本食」と言っていい。

 そんな感じにこの国アレンジの料理が出てくるのも楽しみと言えば楽しみだな。



 

 で、タカさんはその辺どう思うよ?


 「あん? そりゃココやお前さんが訳分からな過ぎるからだろ? 遊園地もこの城もダンジョンも、見た事無い人間に説明するのは難しいだろ。他の人間に説明して、あっさり分かってもらえる要素が食い物だったってこった。まあ、ウチの連中も美味いものは好きだしな。別に人間に限ったこっちゃねえわな。」


 流石、タカさん、これが正解っぽいな、いささか不本意ながら・・・。

 人に話す時は相手が理解出来ないものは話さんわな。

 ここを説明する時に「なんかわからんけど凄いものが一杯建ってて、食いもんが美味かった」とか言われりゃ「食いもんが美味かった」ってのだけが残って、「食い物のおいしいところらしい」って話が拡散していくわけか。


 納得したトコで城に戻るか・・・お、アイク、城に戻るトコか、お前も?

 近衛の馬見に行ってたのか?

 ああ、ありゃ同じ馬でもその辺の馬車引いてるのとは別物だなぁ。

 乗ってる人間と同等かそれ以上だろ? 馬の格で言えば。

 乗ってみたいじゃなくて、世話してみたいかよ、お前らしいなぁ・・・。







 貴族のお抱えコックやら、修行中の料理人やら、余所の町の旅館の女将やらからの要望で料理教室を開く事になった。


 講師役はサファイア。

 普段から調理班の子らを指揮して、城の料理を作ってるし、まあ、見た目もいいしな。

 間違っても侮られない、こう威圧感みたいなものも出せるし・・・。

 お手伝いというかアシスタントとして城の調理班の子らも参加。

 馬鹿にされてるとか思われて、腹立てる人間とか居たら嫌だなぁ、とこっそり見守りながら思ってたんだが、サルカを中心にかなりの活躍を見せた。


 というのも、サファイアの知識は俺の世界の料理の知識ベースになっていて、元々があんまり料理に関しての知識の無い城の子らに対してはそれで平気だったんだが、この国の料理人に対しては常識的な面の違いとかもあって、一部意思の疎通というかニュアンスと言うか伝わり辛い部分があったんだ。


 で、その辺を通訳と言うか、カバーと言うか、フォローしてたのが城の子料理班。

 最初は微笑ましいものを見る目で見てた料理人たちが、終わる頃にはすっかり頼る様になっていて、中には「うちに是非来てくれ」と引き抜きをかけている人間すら居た(まあ、子どもの後ろに「ニッコリ」と怖い笑みを浮かべたサファイアが立って、しつこい相手は撃退していたが)。今すぐは論外だが、将来的にはアリだろ。まああくまで本人の希望次第だが・・・。


 今日の料理は、カレーとホワイトシチューとビーフシチュー。

 調理プロセスに共通部分があるため、まとめての指導となった。

 どれかひとつを上手に作れるようになれば、必要な点をおさえるだけで他の2つは出来る様になる筈ということらしい。


 次回は揚げ物という感じで次回の予定も既に決まっている。

 から揚げやカツ類などは冒険者にかなりの人気を集めているが、比較的真似しやすい事から更なる差別化を図るために料理のコツだけでなく、違ったバリエーションの揚げ物を知りたいという希望に沿ったものだ。


 今回参加した人間だけでなく、参加出来なかった人間も更に増えそうだということで、このままいくとどうなってしまうのか不安を感じたりもしている。

 ちゃんとした料理学校とか作るなんて話にもなりそうだよな?


 中国の「三刀」じゃないけど、身一つでもやっていける可能性があるのが料理人。軍隊じゃ食い物作るのが上手いやつは生き残れるとかいう話もあるし、冒険者の引退後の進路のひとつとしても有望だな。


 この国じゃ特に「おいしいは正義」だし、おいしい料理が作れる女性は、外見がいい女性よりも結婚の申し込み者が多いとも聞く。

 また、シモーヌさんに限らず「甘いもの」への欲求はかなり高い。料理は料理人の仕事としてもお菓子作りの上手いことが貴族の社交において重要な意味合いを持つこともあるのだとか・・・ああ、お茶会とかいう感じか。

 

 商売人だったら、ここが商機とばかりに色々やるんだろうなぁ・・・。

 サファイアや城の子の負担にならなければいいんだが、この調子でどんどん人が来るとその内負担になるよな?


 何人か、城の手伝いに見習い料理人でも入れて、教える側に回れる人間育てるかね? それとも料理専門の高級サーバントでも作るか? 今のトコ男性型高級サーバントアメジスト一人だけだし、コックなら男性型でもおかしく無いしな。ジョ○ョのト○オみたいなのよさ気じゃね?


 他の連中からは「弟」扱いされるだろうけどな?





 ・・・というわけで誕生したのがエルバイト。

 ピンク髪に緑の目という外観で、年齢的には一番上に見えるのに他の高級サーバントたちからは弟扱いで可愛がられている。

 助けてくれ、と目で言って来てるが、俺には無理だ、すまんな。

 これから、料理人やら貴族の子女やら奥様方やらに囲まれる生活が待っているんだ。頑張って、ここで耐性をつけていってくれや・・・・・・。



なるべく年内に次を・・・。

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