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キッチンを作ってみよう

小説内時間、まだ一週間たってません

周辺地形変わりすぎです


 さて、昨日はタムルの子分たちの件も含めて、街に出かけたりしたわけだが、その間、他の子たちはというと「城の探検」という、こう俺も子供時分を思い出してちょっとワクワクする様な事をしていた。


 みんな揃っての夕食、新しいメンツの顔合わせも兼ねたその席では、そうした探検の報告なんかもあったわけだが、その後の雑談の中で年長組を中心に「自分たちも何か出来る事をしたい」という要望があった。


 まあ、気持ちは分かる。


 人が働くのってさ、単に食い扶持を稼ぐって意味だけじゃなくて、「誰かに必要とされる」、「誰かに認めて貰う」って要素も多大きいんだよな。

 逆に俺が向こうに居た時みたいに、ハロワから紹介された転職の面接とかで不採用が続いたりなんかすると、普通に考えりゃ相手の募集している人材とは「違う」ってだけなのが、なんか自分の存在価値自体全て否定された様な気分になっちまうんだ。


 話は逸れたけど、お客さんとしてここに居るんでなく、ここで「暮らしていく」となれば当然出る話で、それが子供たちの側から出たってのは、ぶっちゃけ俺としては有り難い(まあ、年少組は分かって無くても良しとする。子供時代の1歳の差って、大人になってからのより圧倒的に大きいからな)。

 いや、変に気を遣ってやる事を割り振ってやった末に「働くのなんか・・・」的な事を言われるのもキツイしな。

 子供なんだから遊んでりゃいいじゃん、って気持ちもあるけどな。

 自分のガキの頃だって、手伝いして「ありがとう」って言われるの嬉しくて誇らしかったの憶えてるし。


 ま、要は遊びたいヤツは遊べ、働きたいヤツは働け、勉強したいヤツは勉強しろ、って事なんだが、ここの城、新築バリバリで、その癖サーバントやガーディアンっていう労働力があるし、色々なユニットが簡単に色々な物を作ってしまう。


 いざ、子供たちに何か働いて貰う、手伝って貰うとなると、その為の設備を作らなければならない、という、仕事を作る為に仕事をするというどっかの国の公務員みたいな事になるわけだ。


 アイクに関してはあの馬車の馬の世話をして貰えばいい、と言う事であっさり話が決まったんで問題は無いが、他の連中だよなぁ。


 子供たちには特に言わないし、今後も言う気はないけど、裏では人買い連中の根絶とその手に落ちちゃった子供の救出なんてのも、ルビー中心にスカイアイ使って情報収集してるとこなんで、俺としても子供たちの相手だけをして、毎日を過ごしていく訳にもいかない。


 というわけで、高級サーバントを更に2体生産。

 子供たちの生活の面倒を見る事をメインとしたエメラルド、医療ユニット関連を統括し子供たちの健康、体調管理を行う事をメインとしたパールが誕生した。

 

 さっそくエメラルドには翌日からの子供たちへの対応を、パールにはリコの右目に対する何らかの対処法についてと、子供たちの健康状態のチェックをお願いしておいた。




 そうして、今朝、ルビーに起こされ目を覚ましたのだが・・・ルビーがカチッとしたスーツに眼鏡(当然伊達・・・ていうかサーバントだし眼鏡必要=修理必要ってことだからね)、サファイアが濃紺ベースのメイド服、アメジストが執事服、エメラルドがダークグリーンベースのメイド服、パールが薄いピンクの看護服っぽいドレスと、高級サーバントの皆様がコスプレをしていた。

 

 うん、まあ、正直似合ってるからいいんだけどさ?

 なんで、わざわざ服を作って着ているの?

 「私が服飾生産ユニットで作成いたしました。」

 当然、という顔をして答えたのはアメジスト。

 そういや、子供たちの服に関しては頼んだよなぁ。

 ついでに自分たちの分も作っちゃったんだ・・・。

 

 なんか、どんどん自主性と個性が強くなってないか?

 ・・・・・・ロリやショタに目覚めなければいっか。


 朝食時、高級サーバントだけでなく、他のサーバントたちも服を着ているのに気がついた。

 子供たちそれぞれに対応しているサーバントが、エメラルドと同じダークグリーンのメイド服。

 他の配膳、清掃等の城の活動をしているサーバントが、サファイアと同じ濃紺のメイド服。


 女の子たちは、そのメイド服をどこか羨ましそうに見てるし、男の子はなんか照れてるっぽい感じで、少し腰がひけている。


 朝食はファストフードのモーニングセットっぽかった。

 子供たちは喜んでたが、俺としては改善せねばなぁと思う所である。


 ドリンクバーの様に、飲み物は自分の好きな物を好きなだけ飲める様になっていたのだが、タムルが俺の真似をしてコーヒーを飲んで顔をしかめていたり、リンネが予想通り飲み過ぎて腹がタプタプになっていたりと、なんとも賑やかなものであった。

 

 昨日の探検では

 ★書庫:エルスはここの発見後、夕食までここから動かなかったらしい

 ★応接室:サッフォーはここのソファでずっと昼寝をしていたそうだ

 ★避難用シュート:6階から1階まで滑り落ちる非常用のハズが「滑り台」としてすっかり遊具化してしまった様だ

 ★温室:色々な花や果実が溢れていて、女の子たちのお気に入りの場所になったようだ。果物が手に入る事でリンネも気に入った様だが、背の高さのせいもあって果物が食い尽くされなかったのは僥倖と言えよう

 ★鍛錬室:壁面が一面分鏡張りで、木剣や練習用の人形が置かれた武術鍛錬用の部屋。男の子たちの遊び場になる事がほぼ確定?

 ★隠しバルコニー:4階の客室本棚を動かすと出られる、とか、良く発見したなぁ、こんなの。他にもこの手の物がありそうだ

 等々が子供たちによって発見されてる。


 水晶球で調べれば分かる事だけど、そもそも大人的には「何か目的があって場所を探す」って事が多いんで、子供たちの様に好奇心の趣くままってのは難しい。

 

 朝食を取り終え、子供たちに仕事についての大まかなルールについて説明する。

 

 ・俺かエメラルドに申請してそれが「仕事である」と認定された事に関しては、時間や内容を考慮して給料を出す。あくまで自主申告ベース。

 ・給料はこの国で流通している貨幣を用いる。支払った後の給料は個々で管理すること。

 ・自分の仕事を他の子に手伝ってもらい、それに対して自分からその子にお駄賃やお礼としてお金を支払う事もありとする。

 ・仕事が上手く行かなかったり、こうした設備や道具があるといいのにと思った際は、エメラルドやサファイアに相談する。

 ・その他のそれぞれの仕事に関する細かいルールは、仕事認定時に決めることとする。

 

 よく分かってないって顔をしてた子も居たが、現時点で「働く」意思のある子たちにはしっかり伝わってたんでよしとする。

 実際に他の子が働いたり、それでお金を得たりすれば別の子が興味を持ったりするだろうし。


 「今日は俺はいくつか設備作るから、お前たちは探検の続きをするも良し、早速自分でなんか仕事考えてエメラルドに申請するもよし、後、服飾生産ユニット使って、自分の着てみたい服を作ってみるなんてのもいいかもしれん。服飾生産ユニットについてはアメジストに説明を受けてくれ、俺より詳しいハズだから。じゃ、今日も元気で一日過ごそう。」


 早速、女の子たち(あー、グリンもか・・・)はアメジストに先導されて服飾生産ユニットへと移動していく。まあ、理論上どんな服でも作れる・・・なにせNASAの宇宙服まで作れるからなあのユニット。


 さて、じゃ執務室の方に移動してルビーの報告も受けておくか。

 



【SIDE:サルカ】


 このお城に来てから何度目になるか、数えるのも忘れちゃうくらい沢山になるけど・・・本当に驚いた。

 最初の日、用意された服を着た時、今まで着た事もないほど良い服だっていうのには驚いたし、嬉しかったけど、それがどうやって用意された物かなんて考えなかった。


 この服飾生産ユニットっていう機械? を使って作ってたんだね。

 

 アメジストさん(この人、というか人間じゃないっていうけど、最初の時と違って今日は服を着てる事もあって人間そのものに見える)に説明を受けて、みんなどんな服を作りたいか口にしたり考えたりしている。

 

 いつもは落ち着いてるエルですらウキウキしてるのが分かる。

 リコの事もあって、自分が何が欲しいってのは我慢する事が多かったからね、エルは。

 本当に「降って湧いた」という言葉がぴったりな幸運で、昨日も起きたら夢なんじゃないかと寝るのがちょっと怖かったりしたけど、こんな事があるなんて、本当に信じられない。


 馬車の中ではじっと黙ったきりだったニーナもニコニコしている。

 あの時は励ましながらも「この先どうなってしまうんだろう」と不安でたまらなかった。

 

 真っ先に服を作り始めたのはリーフという子。

 時々分からない事を言うし、男の子の事をちょっとバカにしている所があるけど、女の子、特に年下の子に優しいのは馬車の中で一緒に過ごして知っている。

 ニーナの事も良く気にかけてくれて、今も自分の後に作ってみたら、と声をかけている。

 

 「ではリーフさん、こちらの丸の中に立って下さい。」

 アメジストさんがリーフさんに説明をしている。

 「はい、これで大丈夫です。他の方も一度ずつこの丸の中に立ってください。ここでは皆さんの体のサイズを測っています。一度計ればそれを元に服が作れますので、一着作る毎に計り直す必要はありません。ただし、皆さんまだまだこれから成長なさいますから、服がきつく感じる様になったら、あらためて計り直してくださいね。では、次ニーナさん、その間にリーフさんや他の方はどの様な服が欲しいか考えておいてくださいね。」


 私も、なんでこれで体のサイズが測れるのか分からなかったけど、丸の中に入って、指示に従ってちょっとの間じっと立ってみた。


 リーフはお姫様みたいなドレスを作り、ニーナもその色違いのドレスを作って早速着ている。

 お城に居るお姫様でも着た事のないくらい素晴らしいドレス、そう思った瞬間、あ、そう言えばここもお城だった、などという事が頭に浮かんだ。


 私はどんな服が欲しいかな?

 色々有りすぎて、中々考えがまとまらない。


 その時、頭にパッと閃いたのがサファイアさんが着ていたあの服。

 清潔感があって、派手じゃないけど綺麗だと思った。

 そうだ、あの服にしよう。


 そう言ってアメジストさんの顔を見ると少し驚いた顔をしていた。

 「そう言って頂くとあの服を選んだ私も、それを着ているサファイアも嬉しく思います。」

 今度はにっこりと微笑み、機械を操作すると出てきた服を私に手渡してくれた。


 「あ、私もその服欲しいです。」

 「私も、私も」

 エルとリコが口々に言うのを耳にしながら、着ている服を脱ぐと早速出来た服を着る。

 「ほら、その格好するなら髪も少しはいじりなさい。」

 リーフが服を着るのを手伝いながら、髪を整えてくれる。

 

 嬉しくて、楽しい。

 明日もまた楽しいと良いな。


【SIDEOUT】


 

 あー、今日も頑張ってしまいましたよ、おじさん(他称)は。


 まず作ったのはキッチン。火の精霊力とか使ってんのか、それともどっかからガスとかエネルギー引いてんのかは分からないけど、現代日本の業務用と比較しても遜色のないレベル。

 

 《厨房ユニット》

 一定の料理スキルを持った人間が料理を行う為のユニット。消費MP50


 でもって、まあ食糧生産ユニットから直接食材作れるけど、やっぱ料理といったらキッチンと冷蔵庫だよなぁ、とばかりにつくってしまいました。


 《食材保管庫ユニット》

 区画毎に温度、湿度等一定に保てる食料保存用ユニット。消費MP90


 でもって、今後の拡張性や安全性を考えて城周りの結構広い範囲を「クリエイト・クリスタルウォール」で作った城壁でグルリと取り囲み、そこにユニット形式で門を拡張して付けた。


 いや、最初に調子に乗ってグワワワワン、俺スッゲェエエエ!!!!的なノリで周囲にクリスタルの城壁作ってたんだけどさ、俺がこの世界来て引きこもり気味だとは言え、城壁に出入りする為の門が一個も無いのはヤバいと「コネクト」で門を作成し、それぞれの門に隣接して衛兵ガーディアン作成ユニットも付け、更に城壁の内周にバリア発生ユニットも作って、空中や対魔法の防御も完璧にした。

 城壁の内側は道どころか城以外何もないけど、これから色々作っていけばいいだろ?

 ともあれ、これで俺の許可なしには、誰も城壁の中に入れないし、ましてや城の中なんて入りようが無い。

 これ、最初にやっちゃってたら、リコとかガキ共は助けらんなかったって話だけど、その辺はスカイアイと定点監視用のサーチャーで(あ、この生産用ユニットも作ったんだったMP消費60だったかな?)監視する事で対応する。

 

 それからルビーの報告だが、俺の作った汚いオブジェにビビったのか、現時点結構なりを潜めているらしく、情報収集が難航している。

 ただ、不自然に馬車の出入りの形跡がある廃村を発見したので、アイアンの同型を増産するか乗用ガーディアンを作るかして制圧を行う予定。

 個人的にはATとか乗ってみたいトコだけど、ブラスの同型をATに乗せるとかも面白いかもしれんな、サファイアやルビー乗せるのもギャップがあっていいかもだけど、何故か俺の身に危険を感じるんで実行には移さないと思う。


 いや、生後わずか数日だってのに個性だけでなく、なんか妙な強さが出てきてるんだよねぇ、特にルビー。

 確かに秘書タイプにしようとは思ったけどさ、マンガとかである、会長や社長すら従えて、自分の意思で企業全体を采配するモンスター秘書タイプになってきてる気がする。

 切れ者で有能なのは有り難いけど・・・まあ、君臨すれど統治せず、をやってけばいっか。


 

 夕食時、女の子たちの何人かがサファイアと同じメイド服を着ていたのを見て驚いた。

 いや、正直、結構似合ってたけどさ、サファイアがドヤ顔してた気がするのは俺の気のせいか?

バリアはパリンッ!と割れるタイプです

まあ、そのレベルの攻撃は個人ではまず無理ですが

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