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乗り物を作ってみよう

ちょっとしたネタも挟みつつ

タムルの子分たちのフォローを


 「おはようございます、マイケル。」

 「おはよう、キット・・・てか、マイケルちゃうわ、タイチロウや!」


 まあ、分かる人には分かる車のドライバーズシートに身を収め、乗用サーバントとでも言うべき車と会話を交わす。

 原作のAIの代わりにサーバントのコアクリスタル、エンジンは魔道バッテリーによるモーター駆動となっている。


 なんでこんな趣味に走ったかの様な状況になっているかというと、その原因はタムルだ。



 「なあ、タイのおっさん。俺の子分らなんとかしてくれんか?」

 「誰がおっさんか! 口の減らんガキが!」


 まあ、言われんでもそうする気は満々だったから、口の利き方が悪かろうがしてやるつもりだったが、こいつらから見ると俺はマジでおっさんなのか?

 ちと凹む。

 エルやサルカが気遣い見せるのが余計なぁ・・・凹むんだよな。

 昨日はそれなりの口を利いていたのだが、気づけばご覧の有様だ。

 さすが、ナチュラルボーンガキ大将。


 ともあれ、最初から大勢乗れる乗り物で町まで行くのもなんだし、ロードローラーと同じく俺のポシェットに入れて持ち運べる事から、別の乗り物を作ろうとユニットを作る事にした。

 《乗用サーバント製造ユニット》

 乗用の知能を備えたサーバントを作成するユニット。消費MP130


 ちなみに攻撃能力を持った乗用ガーディアンなんて代物も作れる。

 《乗用ガーディアン製造ユニット》

 高い攻撃力を有する乗用ガーディアンを生産出来る。消費MP270~1500


 なんか戦車や戦闘機に留まらず、ATやMSみたいなモノも作れるっぽい。

 流石に喧嘩を売りに行くわけではないので、こっちはNG。

 しかし、能力使えば使うほど益々世界征服可能だっていうのが実感できるな。

 

 ともあれ乗用サーバントを作ることにして、最初に子供たち全員乗せても余裕のあるバスみたいなもの、それもいざとなればかなり自律判断の出来るものなどと考えていたら、出来てしまった物がネ○バス。

 こんなもんで町に近づいていこうものなら、あっという間に警戒されてモンスター扱いで殲滅対象になりかねない。

 次いで作ったのが冒頭のナ○ト2000。

 魔術で作ったものの癖に何故か原作知識を持っていて、冒頭の様なネタをかましてきやがる。

 助手席には何か有った時に備えブラスが乗り、後ろの座席にはタムル、リュック、そしてお世話になった娼館にどうしても挨拶がしたいというリーフが乗っている。

 城に残った子たちは城の探検に向かうそうだ。

 俺もまだ一度も足を踏み入れたことの無い場所が結構あるからな、あの城。

 帰ってからの報告が少し楽しみでもある。

 俺とは全く違う視点もあるだろうしね。


 「・・・というわけだ、さあ行こうキット。」

 「また、女にひっかからないで下さいねマイケル。」

 だから、俺はマイケルじゃねー!

 女も子供以外この世界に来てから見かけてすらいねぇし!





【SIDE:タムル】

 

 流石に人攫いに攫われ、人買いに売られてこの俺もダメかと思ったが、馬車から捨てられたリコが助けを呼んで、なんとか助かった。

 

 訳の分からない、だけど凄い魔法を使って俺たちを助けてくれたのは、タイチロとかいう自称異世界の魔法使い。

 なんか冴えない感じの男だが、アイアンというすっげぇ強そうな奴を従えて、俺ら全員にはんばっがとかいうウマい食い物をくれた。

 俺は恨みも恩も忘れない男だ。

 この借りはいつかきっと返してみせる。


 城に向かうという話に、こいつもどっかの貴族なのか? と反感が起こったが、どうもそんな感じではないし、口調も俺と変わらないほど乱暴だ。

 町でたまに見かけた貴族たちのスカした感じが全くない。

 リコの「とにかくすっごいの、すごく綺麗で、夢みたいなお城なの」という要領を得ない説明では、全くどんなトコかも想像がつかない。

 それよりタイチロの乗ってるろーらあとかいうのや、アイアンとか言う奴の方が気になる。

 他の奴らも結構アイアンに興味を持っているのが良く分かる。

 思い切ってアイアンに乗せて貰えないかと頼むと、タイチロに了解を得て乗せてくれる事になった。

 アイアンはとても硬くて、乗り心地はいいとは言えなかったが、俺みたいなガキにも丁寧に応対してくれて、本当に強い奴ってのはこういうものだよな、などとしみじみ思ってしまった。


 他の奴と交代して、今度はタイチロのろーらあに乗せてもらう。

 タイチロは俺の話をちゃんと聞いてくれたし、町にいた大人たちとは全然違う気がした。

 子供だから、とか、子供なのに、というものがまったく無い。


 城に着いて驚いた。

 たしかに凄くて、綺麗で夢みたいだ。

 リコが口で説明出来なかったのも当然。

 これは実際に見なければ分からない。


 こんなすげえ城をタイチロは魔法で作ったという。

 魔法ってすげぇんだな。

 もっと、爺さんとか人間じゃねぇみたいな外見の奴が使う様なイメージを持ってたけど、タイチロは見た目は結構若く、その高そうな服装さえなければその辺に居そうに見える。


 中に入って更に驚く。

 召使いとかいう偉い人に仕える人間かと思ったら、全部魔法で動く人形の様なものらしい。

 確かに良く見ると人間とは違うけど、受け答えは普通の人間と一緒だ。

 俺たちは、サファイアという綺麗な女性の魔法人形に連れられて風呂というものに入った。

 夏とかは川や池で水浴びした事はあるけど、あったかい水がこんなにいっぱいあるなんてのは見たことがない。

 石鹸とか言ういい匂いがするもので体を洗うと、最初はあまり泡が出なかったが、何回か流すうちにぶくぶくと蟹みたいに泡が出て、気がつけば体が綺麗になっていた。

 目に入るとしみて痛いのは勘弁だけど、こういうのもいいなぁ。


 風呂の後はメシだった。

 リュックも目を輝かせて食べてるが、本当にうめぇ。

 あいつらにも食わせて・・・ってそうだ、あいつら、俺がいなくなってどうしてんだ?

 俺らはここに置いてもらえるらしいが、あいつらはあのままあの町かよ。

 それを受け入れることは俺には出来ねぇ。


 タイチロに言うとあいつらを連れてきていいという事になった。

 こんな恩返せんのか、と不安になるくらいの恩だが、きっと返してみせる。

 兄貴とか俺にもいたらこんな感じかなぁなどと寝る時思ったりもしたが、俺はあいつらにとっての兄貴でいなくちゃいけない。

 だからタイチロの事は「おっさん」と呼ぶ事にする。

 

 

 いざ出発という事で黒い馬の付いて無い車に乗り込む。

 ブラスというこれまた強そうな騎士が乗っているのが心強い。

 その隣ではタイチロが車と言い合いをしている。

 すげぇと思ってるんだからさ・・・もっとカッコいいトコ見せてくれよ。


【SIDEOUT】



 町の近くの目立たない辺りで車を止め、ポシェットに収納する。

 夢のマシンのファンタジー的再現は結構いいんじゃねーかな・・・俺の名前をマイケルと呼ぶ事以外は・・・。

 タムルの方は城壁の外のスラムだが、リーフの行き先は中の娼館だ。

 「門の中に入るのは何か必要なのか?」

 「商売とかするならともかく、傭兵とか冒険者とかも出入りしてるから、大荷物でも抱えてない限り問題ないわ。」

 「そっか、じゃどういう組み合わせにするかな。」

 「タイがこっちに来て頂戴。」

 って腕を絡ませるな、いきなり。

 いや、なんつうか子供なのにこの子「女」なんだよね、正直、ちょっと苦手なタイプ。


 「じゃ、ブラスがタムルたちと一緒って事でいいか?」

 「それでいいぜ、タイのおっさんより頼りになりそうだしな。」

 「あ、あの・・・兄貴がすいません。」

 リュックぇ・・・あんま気にすんな禿げるぞ?


 「じゃあ、そういうことで、何か有ればブラスに言え。俺に連絡取れる。こっちも何かあればブラスを通じて連絡する。あ、そうそう、タムル手を出せ。」

 怪訝な顔をしながら手を出したタムルに金の入った袋を渡す。

 「それで義理のある人間に何か礼をするもよし、買い物をするもよし、好きに使え!」

 「ちょ、ちょっと待てって・・・。」


 タムルの声を背後にリーフと町の門に向かう。

 「リーフもお世話になった人たちに何か持っていくなら言ってくれ。」

 「分かったわ。お姉さんたちには何かお土産を買っていこうかしら。お店の方は現金があればそっちの方が後々面倒が無いわね。」

 いや、なんつうかしっかりしてる、ってのともちょっと違う。

 外見と中身の年齢差が激しいっていうのか、中身下手すんと俺より年上じゃね? って感じ・・・。

 10年後とか恐ろしいねぇ・・・冗談抜きにこの子巡って殺し合いとか起きるんじゃないのか?

 


 門で少額貨幣を支払い、何の問題も無く中に入る。

 娼館へ向かう途中「ここのお菓子がおいしいのよ」とリーフが言うお店でお菓子を買い、「帰りに、じゃあみんなの分も買うか」と答えつつ歩を進める。

 なんか腕の組み方にもテクニックがあるんじゃないかと思わせる組み方で、子供の背伸びといった感じは全くせず、内心かなり汗だくである。

 

 風俗行く金があったらバイクや車につぎ込んでたんで、当然こんな感じの場所に来るのは初めてのことだ。

 たとえそういった場所に行った経験があったとしても、緊張はしただろうが、まあぶっちゃけ年齢=彼女居ない暦の俺としては、自ら進んでは決して行かない場所といえる。

 「さて、で、俺はどうすればいい?」

 「黙って付いてきてくれるだけでいいわ。」

 な、坊やとお姉さんの会話みたいだろ?


 その後、彼女の言うところのお姉さん達に挨拶を済ませ、娼館の人間と「お話し合い」をしてリーフは正式に城の住人となることになった。


 いや、マジでこの世界来てから一番疲れた。

 タムルの方も問題なく彼の言うところの子分たちを見つけ出すことが出来、世話になった人間にも挨拶を済ませてきたらしい。

 ブラスいわく、「何もトラブルはありませんでした」とのこと、リュックより更に年下の男の子2人女の子2人が城の住人に加わることが確定した。



 帰りは少し町から歩いてネ○バスで、出した瞬間タムルの連れてきた子たちだけでなく、リーフまで目を輝かせていたのにちょっとほっとした。



 新しく城に済むことになった子供らは以下の通り。


 《ニエル》 

 9歳の男の子。髪の色は赤、目の色はブルー。かなり痩せていて、それでいて頭が大きく手足が長いため、普通にしていても不安定な感じがする子。それでいて走るのが速いという見た目と違和感のある能力を持っている。人攫いからもその足で逃げ切ったという話だから、本当に足が速いのだろう。タムルのいない間、彼が残された子供たちをまとめていたという話なので、そうした方面の力もあるかもしれない。

 《ネリス》

 9歳の女の子。髪の色は黒、目の色も黒。真っ直ぐな髪と白い肌が特徴的な大きな目をした子。タムルの事が好きなのが傍から見ても良く分かる。子守でお金を稼いでいて赤ん坊の面倒を見るのが得意ということ。意外に嫉妬深いようで、リーフと共に顔を合わせた際にリーフに対して警戒心バリバリだった。将来はタムルのお嫁さん以外何も考えていないだろう。

 《チルカ》

 8歳の女の子。髪の色はダークブロンド、瞳の色は薄いグレーで光の加減によっては全部白目に見える。目の事でからかわれた事があるせいか、あまり目を見開いたり、人の目を見ない。また声も小さく、会話には忍耐が必要。手先が器用で刺繍が好きなようだが、あまり材料が手に入らないのが悩みのようだ。将来的にはそちらの技能を磨くという事が考えられるが、対人関係で自分に自信が持てるようなんらかのフォローが必要かもしれない。

 《ボリック》

 8歳の男の子。髪の色は黒に近いダークブラウン。瞳の色はダークグレイ。タムルの後にくっついて回るのが日課だったらしく、今のところ特技は特に無いが、暇があれば鍛冶屋の作業を見に行っていたそうで、そうした事に興味があるのだろう。城の開発・製造系を見せてあげると喜ぶかも。職人系の技能は好きでないとやっていられない事も多いので、そういった意味では才能以上のものがあるかもしれない。

次回辺りから、少しずつ城の生活に

タイチロウ混ぜて人間20人

子供たち一人ひとりがきちんと個性が出るよう頑張ります

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