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農場を作ってみよう

事後処理編アジトバージョンです

次かその次あたりで少し落ち着くかと

 「感謝してさしあげてもよくってよ。」

 あー、なにこの典型的なキャラは・・・。

 フラグを立てる気もないんで、華麗にスルーする。


 

 姫さんが妹さんの頭をパシパシと叩いてる。

 教育的指導ってやつですね。

 「全く、貴女という子は!」

 「やめて、姉さま、本気で痛いから。」

 確かにスナップとか良く利いてて平手打ちでクリティカルヒット狙えそうだな。

 


 お淑やかなお姫様だと思ってたんだが、結構猫を被ってたんだねえ。

 こちらの生暖かい視線に気付いたのか顔を赤らめてうつむいてるが、今更だろ。


 「アサガヤ殿、此度は大変お世話になり申した。」

 恰幅のいい白髪白ヒゲのおっさんが頭を下げてる。

 この人がサカイ卿か。

 会った事あるミヤガセ組の苗字が、サカイ、サカキバラ、ハットリ、ホンダ、イイ、トリイ・・・松平というか徳川関係の苗字か。

 大皇帝が時代劇マニアだっただけあるなぁ。


 

 ミヤガセって爵位とか聞かないけど、もしかして「○○守」とか?


 「いえいえ、私よりこの子の方が頑張りましたので。」

 そう言いながら横に座ったパンの頭を撫でると嬉しそうにしている。

 

 「そちらの娘子が?」

 「あの大魔城がこの子です。」

 端末だのなんだのの面倒くさい事を省いて語る。


 「これはこれは、大変お世話になり申した。」

 律儀に(見た目)子供に真剣に頭を下げる。

 いい人だな、このおっさん。

 からかわれてるんじゃとか、こんな子供に対してとかそういうの一切無しに躊躇せず礼を言ってる。

 パンも気に入ったみたいでニコニコしてる。


 「私の本体、このお城の上にあるから、今度来てね!」

 「是非、行かせて頂きましょう。」


 まあ、姫さんの妹はどうでもいいが、このおっさん助けられたのは良かったな。



 ま、そんな感じで姫さんたちとの会談は終了。

 サカイ卿配下に関しては姫さんたちの方で適当に割り振るだろう。


 ってことで、次に巻き込まれた民間人についてだが、ルビーが既にある程度の聞き取りをしてくれてたんで、それをまずチェックする。


 近在からの出稼ぎで城の下働きに来ていた者23名。

 これはミヤガセ国内情勢もあるが、あちらに家族なり親族が健在な者に関しては穏便にそちらに帰れる方策を見付けた方がいいだろうな。

 教会側も一般国民味方にする形でやってるし、ふつうの人たちならそうそう酷い目にも会わないだろ。

 ここがどこなのかも分かってないだろうし、戻す時も途中までは分からない状況にしといて運べば後々に問題になる事もたぶん無い。

 ここに残る事を希望する者に関しては姫さん達とも相談しながら、仕事を割り振る事になるだろう。

 人を使うって事に関しては、あっちの方が慣れてるしその辺は任せてしまっていいだろう。


 次いで野菜を運びに来てた近在の農家5名。

 子供も手伝いで一家揃って来ていたのは運が良かったとも言える。

 親だけで子供は残されてたなんてなったら、目も当てられないからな。

 

 向こうに戻ると言っても砦の近くの農地じゃ、軍隊+パンデモニム&偽装モンスターで、もしかすると完全に荒らされてしまっているかもしれない。

 ユニットで生産出来るとは言え、きちんとした農産物もあって悪いものではない。

 本人たちの希望次第だが、城の北側の池から水路を引いて農地を作ってもいいかもな。

 ここの家族とはきちんと話をして、ここで農業をやってくれるなら城の子供の中でも手伝い出来るヤツを手伝わせてもらいたい。


 

 問題は通りがかりの行商も含む商人8名なんだよな。


 まだ、直接面識は無いが、商人として少しでも才覚があれば、ここの色んなものがとんでもない商品価値を持ってる事には気付いているはず。

 砦出入りの商人の方はそれでも使われてる側みたいなんで、話の通し方で出稼ぎ組と一緒に帰国という形で済むと思うんだが、行商ってのがどういうタイプなのか、決まった物を扱って近在を巡回するものなのか、それとも自分で離れた場所の商品を買い付けて、価格の差で大きな儲けを生み出そうとするものなのかで全然違ってくる。

 前者なら物じゃなくお金である程度なんとかなるが、後者は絶対に食い下がってくる。

 まあ、最悪、寝具や衣服といった、他に与える影響が小さめな物でなんとかするしかないか。


 魔法関係は絶対NG。


 まあ、この辺は取り敢えずは運ぶ時にチェック出来る機械使って、後々の事も考えて城壁のゲートにもスキャナーユニット付けとこう。


 商品とかは砦で徴収したか捨ててきたかなのかな?

 ま、その辺は金銭なりなんなりで補償する。


 だいたい、こんな感じでいくか。


 

 ・

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 幸いと言っていいか、「ニート養成所」とも言えるこの城に居ても「働きたくないでござる!」となってる人はいなかったので、ほぼ想定通りに話は進んだ。

 農家のスミス一家(夫婦、長男、長女、次女)には、農地と民家をユニット生産してプレゼント。

 民家と言っても、ここ仕様の魔力便利道具付きなんで、元の暮らしよりは良くなってると思う。

 他にも何か必要なものがあれば気軽に言ってくれ、と言っておいた。


 出稼ぎ組はここに残るのが8名、国に帰るのが15名。

 俺から金を渡したりするのも変な話だから、サカイ卿に「これを彼らに」と、まとまったお金を渡しておいた。

 ある程度ミヤガセ国内情報を集めたり連絡を取ったりしてから帰国という事になるので、残留組以外はしばらく今のまま。

 残留組は城内でミヤガセ組の世話をする事に。

 サーバントとの連係にしばらくは苦労するだろうが、頑張ってくれ。


 商人は、予想通り、一番面倒臭かった。


 ほぼ全員が「ここの物をなんでもいいから扱わせてください!」と言い、3名が「部屋ひとつでも構わないので支店を置かせて下さい!」となり、2名が「こちらで雇って下さい」とのたまった。

 行商人は厄介なタイプの方で「俺に投資してください!」と強気だった。


 みんなパワフルだねぇ。

 こんなパワーがありゃ、俺も向こうであっさり再就職出来たのかもね。

 

 素直に「じゃ、帰りまーす」なんて言う人間一人もいねーし。

 

 連絡取るトコあればこっちでなんとかする、とだけ明言して細かい事は後回しに。

 

 ココで雇ってくれと言ってきた2名は、元の勤め先との関係がクリアになれば問題は一番簡単だろうなあ。

 支店をと言ってきたヤツは、それなりに自分トコの商会だか商店で力というか持ってるか、それとも目端の利くヤツだろうな。

 こっちはその手の事は素人なんで、相手の言うままだとダメだろう。

 ここのものを扱うってのは、ミヤガセとココとなると正直難しい。

 ここの中に姫さん抱えてるし、教会中心で国がまとまってく方向のようだが、そうすんとこの国との関係はかなり悪化すると思う。

 例の道化関連も全く進展してないみたいだしな。

 

 こことこの国の別の街とかなら、まあ、商品絞れば問題ないだろう。

 貴族や裕福な商人向けの嗜好品とかならば、この国の経済への影響も少ないし。

 


 自分に投資しろと言ってきたヤツ。

 おい、いつ「マ○ーの虎」の収録現場になったんだ、ここは。

 初対面で相手の事を何も知らずにそんな事を言ってくるなんて、大物か大馬鹿者のどちらか、または両方だろ?

 タカさんとかは気に入りそうなタイプだな。

 あの人、バカが好きだから。


 今まで付き合いのあった貴族や子供たちとは全く違った情報源だし、商人たちとはこういう上と下って感じじゃなく話をしてみたい。


 ま、その辺は追々でいっか。

 




【SIDE:行商人】


  

 俺もどデカい事やって、大商人と呼ばれるようになってみたい、そんな気持ちはありましたよ、ええ。

 波瀾万丈な冒険物語なんかに子供の頃ときめいたりもしました。

 こうして行商の旅をしているのも、まだ見た事の無い物、出会った事の無い人に会ってみたいという気持ちがあったから、というのは本当です。



 ですけどねぇ。

 物には限度ってもんがあるでしょう?


 単純に安全なトコで一泊させてもらおうとしたら、王党派と教会派の争いに巻き込まれて砦に閉じ込められる。

 まあ、この程度なら無くは無い話ですね。

 

 落城寸前で救出が、これも有り難がりこそはすれ、文句なんて言えたもんじゃありません。


 その救出が・・・どうみてもモンスターでした、本当にありがとうございました。


 おまけにどう見ても魔物の巣としか言えない奇怪な建物。


 なんか上の人にはあらかじめ「モンスターのフリをした救援が!」って話はあったらしいんですけどね。

 あれは、フリなんて生やさしいものじゃありませんでした。

 みんな恐怖で絶叫してましたし。


 その後は魔物の巣でモンスター(?)に囲まれて過ごし、モンスターのフリをした訳の分からない乗物に乗せられ、更に別の乗物に乗り換えさせられて(最初の乗物はメチャクチャ揺れまくりで、胃液を吐きました。後の方は馬車なんか目じゃないほど、止まってるのかと思うくらい揺れがありませんでした。両極端過ぎますよねえ)、到着したと言われて外に出てみればクリスタルの城。

 頬をつねりすぎて内出血をしてしまい、消えるまでに3日かかりました。

 

 案内されたホテルという旅館は、都の最高級旅館ですらこれほどではないのではという豪華さ。

 食事も毎食考えられないほどおいしい物が出て、もしかして貴族と間違われてるのでは、と不安に思ったりもしました。


 地獄から天国っていうんですか?

 まあ、今回の体験で自分の中の物差しが完全に壊れてしまった様な気がします。


 お姫様にもお目にかかる事が出来ました。

 メチャクチャ美人だったです。

 傍に居た貴族の方々も、格の違いを実感させてくれました。

 うん、俺、貴族に生まれなくて良かったです。

 こんな人たちに囲まれてたら、卑屈な人間にしかなれなかったでしょうし。


 この城では姫様方も客人という扱いだそうで、失礼ながら姫様以上の美貌を持つ女性たちの主がこの城の主人だそうです。


 何故か、城には子供が沢山いました。

 その主人とかいう人とこの美人たちの間の子供でしょうか?


 なにやら覆面とか被りたくなってきますねぇ。


 

 ルビーさんという美人を従え、子供の手を引いた状態で現れた城の主は、威厳とか、カリスマとかとは縁遠い、なんか普通の人でした。

 彼は微妙に疲れた感じを漂わせながらこちらの希望を尋ねてきました。


 支店を作る・・・ムムム、そういうのもアリか、品物を扱わせてくれ・・・まあ商人なら当然だな、ここで働かせてくれ・・・結構思い切ったな、でもそれもアリかもしれないですね。


 他の連中と違って、俺は後ろ盾になる様なもんもないです。

 商品も何とか持ちだした金以外の全財産も砦と一緒に無くなりました。



 ・・・待てよ、逆に考えるんだ。

 ここでいくら失敗しようがこれ以上失う物は無い。

 

 よし、ここは勝負だ!



 「俺に投資してください!」


 

【SIDEOUT】

本当はショッピングモールかオフィスビルでも作って

商人関連はあっさり終わらせるつもりだったんですが

行商人くんが出しゃばってくれました^^;

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