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城ごと逃げ出してみよう

計画通りに行けば数時間で戻れるトコでしたが

ノリと勢いだけで立てた穴だらけの計画なんで・・・

 えー、まあ、なんというか・・・・・・なつかれた。


 「おにいちゃん、おにいちゃん! 今度はどこに連れてってくれるの?」


 まあ、非常に可愛らしいと言えるでしょう・・・声だけは。



 ん? 誰になつかれたかって?




 背の高さで俺の数百倍。

 重さで俺の数千倍じゃきかねえわな


 


 「みなさん、はじめまして! パン・デモニウム、パンちゃんと呼んでください!」




 「作戦」の時に作ったパンデモニウムにだよ!








 

 作戦の結果は「だいたい」うまく行った。

 ど派手な展開と文字通り木っ端微塵な砦に、姫さんの妹やサカイ卿の生存は絶対にあり得ないと思われてる。

 ってか、偽装モンスターの余りの暴れっぷりに、包囲してた連中からも同情の声が上がるくらい。

 「敵とはいえ、あの最期は酷い・・・」って感じ。

 あらかじめニンジャくん通じて連絡済みだったにも関わらず、偽装モンスターのそれっぽさにビビって悲鳴を上げてた人間も大勢居たからな、断末魔に聞こえたんだろ。



 本来なら目的の姫さん(妹)なんかが絶望って時点で解散になってた包囲軍だが、こんな大魔城があっちゃ解散なんて出来る訳がない。

 警戒してる中、偽装巨大モンスターの乗用ガーディアンに分乗した救出済み人員も暴れながら脱出し(乗ってた連中吐いたんじゃねえか?)、人目の無い所でアジトから来た乗用サーバント(ホバー走行、光学迷彩・・・・・・あれ? 最初からこれ使ってもよかったんじゃね?)に乗り換えアジトへ。


 今頃、感動の再会も済んでるだろ、とっくに。



 まあ、この辺まではバタバタしてたんで、気付かなかったんだが、作るときに俺の気合いが妙に入っちゃったのか、それとも場所的になんかパワーが有ったのかは知らんけど、パンデモニウムにかなり強い自我が生まれた事がこの時点で分かった。


 アジトの側で作った時は、こちらに必要な事を受け答えするだけの機械っぽいものだったのが、高級サーバントと比較しても遜色の無い、要は人間っぽいものが出来ちまったって訳だ。

 自爆させるのも、放置するのも、消すのもちと抵抗がある。

 しかも博士の到着まで、俺の他は偽装落としたガーディアンたちだけだったんで、必然的に話し相手になった挙げ句なつかれちまった。


 高級サーバントが、まあ、色々個性は出てきたにしろ大人の人格だとしたら、こいつは知識は俺以上にあるんだが子供の人格をしている。


 その後、博士が来た(包囲の中騒ぎも起こさずどうやって来たかは不明だが、気がついたらアクアマリンと一緒に中に居た。・・・・・・これは・・・博士に頼んでお任せでもあっさり救出できたんじゃね?)ので事情を説明すると博士のテンションはかなり上がった(その後、俺に対しては「おにいちゃん」なのに「おじさん」と呼ばれた事に少し凹んだようで、ややテンションは下がった)。



 俺と博士とパンデモニウム、そしてアクアマリンで話をした。

 話した比率は俺2:博士39:パン38:アクアマリン1。

 博士とほぼ同等に喋るなんてのは凄いわな。

 しかも博士の言う専門的なネタにもしっかりついて行ってる。

 喋り口が幼女レベルなのに俺を遙かに超える頭脳。


 コンプレックス刺激されまくってアクアマリンとトランプやって遊んでた。



 ついていけねーんだもん。

 

 色々フォローを受けながら、アクアマリンに慰めて貰いつつなんとか理解した所によると、このパンデモニウム、錬金術と魔道科学とでもいうべき魔術ベースの科学が組み合わさって出来てるそうで、ガーディアン生産ユニットを作らなくても、「端末」という各種作業を行える魔術人形が生産出来るんだとか。

 

 城の側で作った時はそんなもんなかったんだけどねえ。

 なんか城自体に攻撃や防御の為の腕や触手が出てくる場所はあったけど。


 「わたしが特別なのは、きっとおにいちゃんの『愛』だね!」


 端末の実例として作って見せたらしい、人間の髪の光沢とは違った液体っぽい光沢を持つ黒髪の幼女が、当然の様な顔をして俺の膝の上に座りながら言った。


 あのなあ・・・。


 「ほほお、それが『端末』ですか、人間の魔術師が見たら歯ぎしりして悔しがりそうなスペックですねえ、城本体から魔術ラインが引かれて、私でも長期間の儀式と陣を利用しなければ出来ないような魔術が行使出来るようですね、この他にも色々なタイプの『端末』があるんでしょうか、城が破壊されない限り無限に近く供給出来るとなれば、タイさんの言うところの『チート』すら超えたレベルですね、もしかして、城の方も自分の意志で変形とか分離合体とか出来るんでしょうか、いやいや、こんな物を見られるからタイさんの側にいるのはやめられませんね・・・。」

 「あのね、あのねえ、私自分で歩いたり飛んだり出来るんだよ、凄いでしょ! 今は動いてないけど、やろうと思えばいつでも出来るんだよ。『端末』も増やせるし、外に居る人たち殲滅したらおにいちゃん褒めてくれるかな? 褒めてくれるんならすぐにやるよ。あ、そう言えばおにいちゃんたちお腹減ってない? わたし料理だって出来るんだよ、えらいでしょ。おいしくてほっぺた落ちちゃうんだからね・・・。」


 博士単独でも凄いのにパンが加わって聖徳太子でも理解不能レベル。

 言ってることすべてを聞き取るのは無理だろ?


 「この程度が聞き取れなくては博士の助手は務まりませんから。」


 あ、アクアマリンは出来るんだ・・・。



 別の端末(こっちも髪の色は違うものの幼女だった。こいつ俺のことロリコンだと思ってるんじゃねーだろうな?)が運んできたメシは、自慢するだけあってメチャクチャ旨かった。

 アクアマリンが普段以上に無口になってたしな。


 博士が色々味付けやら食感やら、グルメマンガの主人公も逃げ出す勢いで解説してた。

 


 ニコニコとそれを見てる端末は髪を除けば普通の子供と変わらない。

 てか、たぶん「俺の知り合いの子供」とか紹介したら、城の連中は何の疑問も持たない気がする。


 ・・・言ってて少し自分の周囲からの見られ方に疑問を感じた。


 「俺関連」ってだけで、大抵の変なことはあっさり受け入れられてんじゃね?

 タカさんにしたって「俺の同郷の先輩」って以外、一切説明足してないし、博士もろくに紹介もしてないのに受け入れられてる。

 まあ、こんなこと今更口にしたところで、高級サーバントどもは「今頃気がついたんですか? ネタとかギャグでなく?」とか言うだろうし、シモーヌさんは「タイさんが悪いんですからね!」と子供を叱るような口調で返してくるだろう。


 

 さて、現実逃避はこれくらいにして、これからどうしようか?


 ずっとここに居るわけにもいかないけど、パンデモニウムを移動させて、そのままアジトの隣に置くとかいうのも色々な意味で無理。

 置いといたら偽装が完全に無意味になるもんなあ。

 地下はタカさんトコで使ってるし、どうしよう。


 「下がダメなら上でいいんじゃないですかねえ。」


 「わたし、お空も飛べるよ!」


 いや、脱出はそれでいいだろうけど、その後の事。

 

 「前に言ってた軌道エレベーターでアジトとつなぐのはどうですか?」

 「空気がなくても私は平気だけど、おにいちゃんが来られなくなるよ?」

 「そこは内部を密閉した上で、空気の生産と清浄化を行う様にすれば・・・。」

 「魔力はお日様から生成出来るから大丈夫かな?」

 

 衛星軌道上に置くってことかい!

 まあ、それも面白いかもな。

 この星を外から眺めてみるのも楽しそうだし。

 

 「重力は必要に応じて魔力で生成出来ますし、陣を刻んで効果を付けてもいいかもしれませんね。無重力状態、自由落下状態というのでしたっけ、それも面白そうですし、錬金術の実験をそうした環境でしてみるのも楽しそうです・・・。」

 「宇宙っていうんだっけ、そこ用の端末を新しく考えてみるのも楽しいかもね。少し落ち着いたら場所に合わせて形を変えてみるってのもいいかもしれないし、必要なら数を増やしてもいいだろうし、この星全部囲んじゃうのも面白いかも・・・・・・。」


 いや、星全部囲むのは流石にやめてくれ!

 囲むなら他の惑星か衛星で・・・。


 ・・・・・・なんか4つ目の月が出来たのが幻視出来たぞ?


 そこまでは流石にやらん・・・よな?


 「この際ですから、そこから足を伸ばして月に行ってみるというのも楽しそうですね。」

 「お月様かあ、食べちゃダメかな?」


 可愛く言ってもダメだ。

 月を食おうとするな!


 「ぶう、いっぱい食べないと大きくなれないのに・・・。」


 今でも十分すぎるほど大きいぞ?


 「今後の方針も決まりましたし、取り敢えずここは立ち去ることにしましょう。」

 

 心なしかツヤツヤしてるな、博士、こいついじり甲斐ありそうだもんなあ。


 「じゃあ、いくよー!」

 かけ声と共に城が激しく振動し、周囲の地面が崩れていく。

 

 地面の下から目が変色すると暴走する虫の足の様なものや、木の根っこと触手のハイブリッドの様なものが蠢き現れてくる。


 正直、ちとグロいな。


 「女の子にそういう事言っちゃいけないんだよ!」


 思っただけなんだがなあ。


 「それでもダメなの!」


 はいはい、すみませんでした。


 「じゃあ、次ね! 『城コプター』!」


 そこだけ物まねかい!

 プロペラというか、木の葉というか、なんかそんなもんが上に広がって、凄い勢いで回転してる。


 包囲軍あらため、パンデモニウム攻略軍は愕然→阿鼻叫喚→呆然となっている。

 

 城はどんどんと真上に上がっていく。


 これプロペラで上がってるんじゃないよな?

 

 「その辺はタ○コプターと同じなの。科学通りなら、あれも首ちょんぱなの。」


 まあ、良くて頭の皮剥だよな、あれも。


 「これだけのサイズのものが飛ぶと壮観ですねえ。外から記録に残したいくらいです。」

 「近くに居たスカイアイに指示を出しておきました、博士。」

 「さすがはアクアマリンですねえ、それでこそ私の助手です。」


 こっちはなんかかなり息が合ってるな。

 

 「下から見えないくらい上がったらおにいちゃんのお城の上に移動するからね。」

 

 まあ、雲の上に出れば大丈夫だろうけど、雲が無いと結構高くまで視認出来るぞ?


 

 その後もぐんぐんと上昇を続け、大気圏も突破した。


 さすが、なんだかよく分からない原理。


 強烈なGを感じることもなく、衛星軌道に達した。



 達したのはいいんだけどさ・・・・・・俺、どうやって帰るの?

多い多いと言われつつ新キャラ(?)です

端末はあくまで端末で、本体は巨大なパンデモニウムです

端末の数が増えてもすべて同人格になります

つまりゴッツいモンスター形状でも

耽美な魔族風であっても、すべて幼女口調で喋ります

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