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作業員を作ってみよう

人増えすぎ、と言われつつ

また、人(?)が出ます


 引き続き、発掘作業を続ける事にする。

 その前にサファイアがメシを持ってきてくれたんで休憩。

 これはユニットじゃなくて子供たちがつくったものだな。

 ガーディアン連中は基本的に疲れないはずなんだが、休憩を指示すると少しホッとしていた様に見えた。

 俺も一緒にスコップ持って、久々に体を動かしたって感じなんで、たぶん美味いメシが食えると思う。

 あー、冷たいビールとかも欲しいトコだなぁ。 



 さて、この後だが、スコップで穴掘りする戦闘機械、というのもなかなかシュールで個人的には気に入ってるんだが、埋まっているものが有るという事はわかったし、どの程度掘る必要があるかも分からないんで、ちゃんと発掘する為の設備を作る事にした。


 まずはコンベアユニット。


 クリエイトやコネクトで何か作ってく時は余分な土とかは消えるんで気にする必要は無いんだが、今回は土をどこか別の場所に運ばなくてはならない。

 えっちらおっちらとハイテクがローテク作業をするのもいいが、作れるモノの中に入ってたんで作ってしまう。

 これで掘った土をコンベアに乗せれば自動的に上に土が運ばれる事になる。


 次いで工作ガーディアン生産ユニット。


 言ってみれば「工兵」だな。

 肘から先がアタッチメントで付け替えられる様になっている。

 今回は馬鹿デカいスコップの代わりにもなる手だ。

 今後もユニット生産の後の調整作業やらなんやらで出番は多い事だろう。

 もっと早めに生産しておいても良かったかもしれんな。


 ドリルもなあ、カッコいいんだけど、岩盤削るわけじゃないし、埋まってるモノはなるべく壊したくないんで今回はパス。

 その点、この手は手全体でスコップみたいにガッシガッシと掘る事も、指でチョコチョコと崩していく事も出来る。

 この手の作業には向いているのだ。


 作業の進展に応じてコンベアユニットを延長したり、通路ユニットを増設したりする事になるだろうから、俺も引き続き発掘作業に付き合う。


 「ごっそさん、おいしかった、城の方はてけとーに頼むな。」

 「了解いたしました。」





 

 作業を進める内、少しずつ埋まっているモノの姿が明らかになってきた。

 これ、城だな・・・ウチの城に色を除けば良く似ている。


 材質は黒曜石っぽい石。

 風化どころか劣化もしておらず、「昨日作って埋めてみました!」と言われた方が、長くここに埋まってたと言われるよりも納得出来る状態だ。


 そして現れたベランダ。

 

 ウチの城の応接室にくっついてるのと同じ様な作りだ。


 推測出来る窓の辺りを、損ねない様に気を付けながら土を取り除く。

 この土を取り除けば、ここから中に入る事が出来るだろう。



 出てきた窓は細部の細工と色を除けば、見慣れたウチの城のモノとほとんど変わらなかった。

 こちらの意思に応じて、自動的に開く所まで同じ。

 あっさり開くのを見て「防犯は?」とか思ったけど、土の中に埋まってたもんだしな。

 でもって中の様子を見て、慌ててUターン。


 綺麗な絨毯、ウチと比べると落ち着いた色合いの内装、どれも毎日掃除されているかの様で、自分の今の状態(土まみれ、汗だく)のまま中に入るのは、かなり気がひけたのだ。

 しっかし、この状態、こんな土の中で誰かここで暮らしてるのか?


 



 上に戻り、シャワールームをコネクト、ランドリーユニットも作り、着ていた物を放り込む。

 シャワーを浴び、ポシェットから着替えを取り出し身に付ける。

 あの城の状態だと「誰かに会う」かもしれないし、それなりに見栄えを気にして「陽炎のローブ」(幻惑付加で回避力を上げる効果があるらしいが、そんなの関係無しに見た目がいいから選んだ)を身に付け、「壮健のサンダル」(ツボを刺激して体を健康に・・・って健康サンダルじゃねーか、これ! まあ、それなりに防御力もあるみたいだけど)を履いて、あらためて下へと向かう。





 「お邪魔しま~す。」

 ちょっと声を潜めた感じで中に入る。

 大声でもいいと思うのに、なんでこういう時って声を潜めちゃうんだろうな。


 俺の後ろにはこの為に呼んだルビーとブラス。

 他の連中呼んじゃうと、大ごとだというのが城の他の住人にバレてしまう可能性が高い。

 その点、この2体は、俺がくだらない用事とかも頼んでるんで、そういう心配は少ないのだ。


 「きちんと手入れがされたお城の様ですね。その割には人の気配がしませんけど。」

 ルビーが周囲を眺めつつ、感心した様につぶやく。


 ウチの城と同じ位置にエレベータがあった。


 これ、完全にウチの城がこの城の真似してる感じだなぁ。

 近くにこの城があったからモデルにしてウチの城が出来たのか、それとも元からのデザインとして登録されてたのかは分からないけど、あの時「クリエイト・オブシディアンキャッスル」とか言ってたら、この城そのものが出来てたハズだ。

 

 全部掘り起こして、外から全景を見てみたい気がするけど、ここの管理してる人なのか、それ以外なのかは分からないけど、その相手の都合もあるしなぁ。

 俺が今まで上で色々やってて、今、ここに入ってきてる、その時点でも何のリアクションもないって事は、上を特には監視したり気にしたりはしていないって事なんだろう。


 「取り敢えずは、一回、上に行ってみて、誰か居なければ下に降りてみるか。」

 「そうですね、何かお土産でも持ってくれば良かったかもしれません。」

 

 上の階、普段、俺が一番良く居る部屋と同じ場所。

 扉をノックすると「はい、どうぞ~」とやわらかい女性の声が帰ってきた。

 思わずルビーと顔を見合わせてしまう。

 いや、一応、礼儀としてノックはしてみたものの、返事が有るとは思ってもみなかったのだ。

 なにしろ、俺が掘り起こすまで土に埋まってた城だし・・・。


 「初めまして、今度、上に住む事になりましたアサガヤ・タイチロウです。」

 まるでマンションで上の階に越してきた挨拶の様な言葉を放ちつつ、室内へと足を踏み入れる。

 「その妻のルビーです。」

 ちょっと待て、なにしれっと妻を詐称してるんだ、お前は!?

 「この先もその座が埋まる事はないでしょうし、構いませんでしょう?」

 俺にだけ聞こえる様にルビーがささやく。

 ああ、そうかもなぁ・・・と、ちょっと納得してしまった自分が悲しい。

 

 いかんいかん、目の前の相手にきちんと対処せんと。


 室内で俺らを待ち受けていたのは、どこかルビーたちサーバントに似た雰囲気を持った美しい女性だった。

 

 「あらあら、まあまあ、これはご丁寧に。私はこの城の管理を『王様』に任されてます、セレナと申します。なにぶん、お客さんが来ると思ってなかったので、お茶とか切らしちゃってるのよねぇ、ごめんなさいねぇ。そうそう、この間、外に行ってた子たちが持ってきてくれたお菓子がどこかにあったはずよね、どこに置いたかしら・・・。なにせ、この城に『外』からお客様がいらっしゃるなんて三百年ぶりくらいの話だし・・・。あら、あなた、どこか『王様』に似た感じがするわねぇ、ともかく、そちらにお座りになって、お話はそれからにしましょう。」


 美しい女性なんだが、中身はオバちゃん?

 こちらが一切口を挟む隙もなく喋り続け、ニコニコとしながら何かを思いつくたびに手をポンと打ってみたり忙しない。


 「勝手に押しかけてきておいてこういった事を聞くのも失礼かと思いますが、そもそも、このお城はどういった由来のモノなのでしょうか?」


 「あー、外から来ると不思議に思うわよねぇ。そうね、一言で言えばこの城は・・・ジャ~ン! 魔王城で~す♪」


 なん・・・だと?


 魔王城って、魔王の住む城って事だよな?

 なんで、そんなのが地下ってのは違和感ないけど、土の中に埋まってるの?

 てか、そもそも、この世界「魔王」なんて居たの?


 得意満面の笑顔で言ってくれちゃってるけど、そんなに軽く言っていいものなのか?


 「もっと分かりやすく言うと『大魔王』の『本物』の『魔王城』って事になるわね。」


 いやいや、全然分かりやすくないんですが?

 『本物』って事は贋物があるってことくらいしか、分かりませんよ?


 「あらあら、外では今じゃもう『大魔王』様の話は伝わってないのかしら? 一度は、この世界全体を手中に収める勢いだったっていうのに、人間は忘れるのが早いのねぇ。」


 つまりは、あなたも人間ではないという事ですね。


 「あ、あの人も起きたみたい。それじゃあ『王様』の所へご案内するから、着いてきてくださるかしら?」


 『王様』を「あの人」って、むっちゃ奥さん発言だよね?

 この人が王妃様?


 まあ、今は素直についてくしかないんだけどね。

 

 

 

 エレベーターに乗って下に下り、ホールを抜けて城の門を開けると、そこは緑色の薄明かりに包まれた開けた空間だった。

 「ウチの地下って結構空洞が広がってたんだなぁ。巨大ブロンズが暴れると抜け落ちるかもな。」

 「足下が少し湿ってるんで、滑らないように気を付けてちょうだいね。あら、危ない。」

 こちらに注意を促す間もなく、自分が滑りそうになっている。

 「何百年経っても、人の姿は慣れないわねぇ・・・王様と同じ姿の方は楽なんだけれど。」

 「はあ。」

 王様と同じ姿ってのが、どんなもんか分からないんで曖昧な返事を返すしかない。

 魔法で人の姿を取っているのか、はたまた別の方法なのかはともかく、やっぱり人間じゃないんだ。

 

 案外、上の世界にもこの人(?)と同じ様な存在が、けっこう紛れ込んでるんじゃないの?

 少なくとも、こうして見てる限り、内面と外見のギャップはともかく、普通の人間にしか見えない。



 


 案内された先は巨大な地底湖・・・・・・に見えた、その時は。

 対岸とかは見えない。

 湖面の先が闇に消えている。

 なんか、ウネウネしてるなぁ、とは思ったけどね。



 近寄ってみて、かなりビビった。

 水じゃねぇよ・・・これ。

 表面に人の顔とか、獣の口とか、モンスターの目みたいなものが浮かんでは消えてくし・・・。


 もしかして、ショゴス? 

地底湖(?)は別にSAN値を削る様な存在ではありません

普通の人間は見た目で不快になるかもしれませんが

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