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ゴーカートを作ってみよう

純粋な物作りタイムです


 ノード伯とは大人の話し合いをして、それなりに満足して帰って頂いた。



 決まった事は以下の通り。


 ・城壁自体を含む城壁の内側は俺が開拓したものとして私有を認定する(元々何も無い荒れ地だったしな・・・後ほど正規の書類にして複写を届けるとの事)

 ・国境を越えて来た聖骸騎士団に関しては「ノード伯の配下が倒した」事にする(手柄の譲渡ってわけだ。コネは欲しいけどノード伯で十分だろ? 俺の事知ってる人間は少ない方が面倒が起きにくいと思うし・・・)

 ・城壁内にウェスティン所属の騎兵たちが駐屯する兵舎を建設、提供する(部隊単位でローテーション組んで駐屯するとのこと。月単位で巡回→アジト→巡回→ウェスティン~と繰り返すらしい)

 ・紛争時の戦力提供(まあ、例の道化関連で小競り合いが起こる可能性もあるし)

 ・災害時の救援提供(近隣の街はウェスティンからより、ウチの城から出向いた方が早いしな)

 

 後は、子供たちが将来的に王国で学んだり、働いたりする事を希望した際の仲介と保障をお願いしておいた。

 


 俺としてはトラブル無く正式にココの所有を認められれば、この国から欲しい物は別にないんで(貴族位なんかも含めて)、かなりこっち側の提供するモノが多い取り決めだが、まあ、満足のいくラインだ。


 少しは雑談っぽい会話もして、俺みたいな苗字・名前表記はこの世界では大帝国風の名前としてそれほど特別なモノではないという事なんかも分かった。何でも大帝国時代に大帝国へ「姓を賜りますよう」と申し出をした貴族が何人もいたようで、タナカとかサトウとかスズキとかいう苗字の人間もかなりこの大陸には居るのだという(タナカ・アーネストとか、スズキ・ジェラルディンとかもノード伯の連れてきた兵の中に居るとか)。


 一応、賄賂用に貨幣鋳造ユニット使って宝飾品とかも作ってはおいたんだが、実際に話した感じ、そういうのを喜ぶ人じゃないっぽいんで、俺の持ってる携帯用水晶球の簡易版(連絡する機能だけ)を渡すに留めた。


 護送車も渡したな、これは人買いどもを護送するのに必要だからだが、あの一番偉そうにしていた道化まで一緒に押し込められていたのは笑った。




 あー、あと一つあったな。


 「タイさん、この紅茶はなかなかおいしいですね。」

 騎士さんことシモーヌさんが、「駐在武官」としてこの城に滞在する事になった。

 なんか、言葉だけ見るとここが外国扱いみたいだが、まあ、そこまで複雑な事はなくて、単にここに「駐在」する王国所属の「武官」ということ。

 俺としては多少見慣れた感もあった鎧姿は、今では普段はアメジストに依頼して作ってもらった「動きやすく、楽な服」に代わってるんだが・・・。



 なんで、俺の母校の体育ジャージなんだよ!

 「北工」と漢字の混ざった校章が左胸にしっかり入ってるし!


 アメジスト、完全に俺に悪意あるだろ?


 別に極端に変な代物じゃねぇけど、持ち帰って洗濯とかしねぇヤツが「発酵」とか「腐敗」って言いたくなる様な状態にさせたなんてイベントの記憶のせいで、どうしてもあのジャージにはいいイメージが浮かばないんだよ。


 別に色々作れるんだから、例えジャージを作るにしても、有名ドコのジャージとかでいいじゃんな?

 シモーヌさんが「これは、本当に動きやすくて楽でいいですね!」と気に入って、同じモノをいくつも作って着ているのが、余計「なんだかなぁ・・・」って感じだ。

 まあ、水を差す様な事は言ったりしないけど・・・・・・。


 今のこの部屋、二人っきりってことはなくて、他にも子供たちが数人いるんだが、その内の何人かも同じジャージを着ている。

 子供サイズの高校指定ジャージという、かなり奇妙な代物だ。

 

 シモーヌさんが飲んでるのはティーバッグの紅茶。

 リ○トンとかト○イニングとかみたいなヤツだ。

 この城で出るお湯は飲めるものなんで、カップだけで入れる事が出来る。

 

 そんな事もあって、寝室をはじめ、人が割と長く居るような場所には置いてあるのだ。

 この国では紅茶を飲む文化があるようだが、結構手間がかかるきちんとしたものしかないらしい。

 ティーバッグは楽だからなぁ。

 「あっ、ティーバッグ入れっぱなしだと出過ぎて渋くなるんで、ソーサーの方にでも避けといた方がいいですよ。」

 


 俺は別にまったりティータイムという訳ではなく、「ナイトみたいなの乗りたい!」という主に男の子連中の要望に応えるべく、F-○風ゴーカートとでもいうべきものを作ろうかと考え、そのコースレイアウトをいじっているところだ。


 ここの周囲は城関連以外何もない荒野だし、習うより慣れろでいきなりナイトに乗って練習するって言うのもアリだ・・・大人ならな。


 子供たちの場合、シートで調整してもアクセルやブレーキを踏むのが難しい。

 (世の中にはそれでも運転してしまう子供も居て、たまにニュースになってたけどな。)

 口頭の指示でもキットは動かせるが、それは子供らの望む「乗りたい」というのとは別物だろう。


 本当は遊園地の一部にしようかと考えていたんだが、遊園地はどうしても懲りたいから作るのがまだまだ先になりそうなので、これだけ先に作ってしまう事にしたのだ。


 乗るカートは最初子供用だけ作ろうと思ってた。

 だがブラスやシモーヌさんに留まらず、ルビーやサファイア、アメジストまで乗りたがる様な気がして、大人でも乗れるモノも作らなくちゃダメだろうなぁ・・・と考えている。

 小さい子や運転はしたくないけど乗ってみたいって子の為に、二人乗りも作った方がいいかな?


 コースの方だが透明度の高いチューブ状で、速度が乗ると側面や場合によっては地面とは反対側も走れるらしい。

 カートの方はシートに結構きっちりと固定された上に、エンジンをかけると透明なカプセルで覆われる為安全度はかなり確保される。ぶつかったり、転がったりしても遊園地のバンパーカーでぶつけ合った程度の衝撃で済むらしい。

 また、コースの方も所々で衝撃吸収ジェルを射出する事が出来、外部から見て危ない状態の時に走行している(あるいはコントロールを失った)カートを止める事が出来る。


 でまあ、後はコネクトしてけばいいだけなんだけど、コースレイアウトをどうしようかと考えてるのが今の状況。

 通常のカートコースよりかなり立体的なレイアウトが可能なので、ついつい凝ったモノを作りたくなって「いやいや、それじゃ乗れないヤツがでちゃうでしょ!」と自己ツッコミ。


 色々考えて単純にいびつな八の字というかアルファベットのBを立体的に捻った様なコースにした。



 では、早速、コネクトしていこう。

 城の東側に遊園地を作る予定なので、その一部として作ってしまうか、それとも別の施設として違う場所に作るか?


 慣れ具合とかに応じて今後もコースレイアウト変えたり、なんて事も考え、遊園地とは別の場所、城の西側すぐに作る事にした。


 まずはスタート地点。

 カートを停車している場所から斜めにコースに出て行く形でスタート。あんまり大勢一緒に走るのも危険だし、最大8台くらいにしておこう。

 子供用カートが8台、大人用カートが2台、二人乗りが2台の計12台。

 このピットは空中に上げて、エレベーターでピットに出入りにしておく。

 コースを考えていた様につなげて、衝撃吸収ジェル射出機をポイント毎に配置、さて、製作者特権のテストプレイをしてみよう。




【SIDE:エリア】

 

 騎士様はシモーヌさんという名前でとても優しい。

 それでいて剣を振る姿はりりしくかっこいい。


 私もそんな風になりたいです、というと。

 「頑張れば、きっとなれますよ」と笑顔を向けてくれた。


 そんなシモーヌさんも用事が済めばどこかに行ってしまうのだと寂しく思っていた。


 でも、ノード伯というえらい人と話して、この城に居る事になったのだという。

 嬉しくて飛び跳ねてしまった。


 最近、シモーヌさんはジャージというアメジストさんにつくって貰った服を良く着ている。

 私もアメジストさんに頼んで、同じものを作ってもらった。


 やわらかく、伸びたり縮んだりして、動きやすい。


 剣の稽古も最近はこれを着てやっている。


 それにこのまま着て寝てしまっても平気。


 同じものを更に沢山作ってもらった。


 寒くなったり暑くなったら別の服に着替えるかもしれないけど、当分はこの「ジャージ」だけで十分だと思う。


 シモーヌさんとお揃いだしね。




【SIDEOUT】 



 テストプレイは結構無茶な操作もした。

 速度を上げて側面からさらに上を走っておいて、そこから急ブレーキをかけて真下にワザと落ちてみたり、スピンさせてみたりな。


 流石にこの辺は悪い見本で、子供はそういう事からやりたがるんで、外から見られない様にチューブの透明度を調整してからやった。

 

 ピットからコースへの出入りの安全確認や、カートに乗っていない人間がコースに出られないようにする仕組みのチェックも済ませた。

 

 ま、これ以上安全に、とかいうなら、やらないって方法しかないんじゃないか? と言える。


 ピットクルー兼ガイダンス係のサーバントも作成した。

 服も決めないでおくと、アメジストがレースクイーン風の衣装を作りそうなんで、ツナギ風の服にキャップを作って着せておく。


 

 いつの間にか結構集まってきたな。

 さて、それじゃ開場といくか。


 アジト・サーキット、オープンだ!

 


【SIDE:グエン】


 この城に来る時にロードローラーには乗せてもらったけど、ナイトはそれとは全く違って格好良く、乗せて貰ったタムルたちが羨ましかったのは本当だ。


 でも、乗せて貰うより、自分で動かしてみたいという気持ちの方が大きい。

 ブラスが乗っているバイクというものも乗ってみたい。


 そんな事をタイに言うと、「ナイトは足が届かねぇだろ? ブラスの乗ってるアレは、俺でも動かすの無理だしな」などという返事が返ってきて、かなり残念だった。


 残念なのが顔にも出ていたのだろう、タイは僕の頭をなでると「なんか考えて作ってやるから待ってろ」と言ってくれた。

  

 そうして、完成したのが、このカート。

 慣れるまで速度を出すのが怖かったけど、自分が動かしたのに合わせて動くカートに僕はすっかり夢中になってしまった。

 

 「ずっと乗りっぱなしじゃなく、他のヤツにも交替してやれよ!」

 笑いながらタイは言うけど、いつも降りると足にうまく力が入らなくなるほど乗り続けてしまう。


 「ナイトとかはこのカートほど安全じゃないからな。将来、外でそういう車にも乗りたいなら、その辺も考えながら乗ってみろ!」

 そういいつつ、後ろに自分では運転しない女の子を乗せた二人乗りカートに乗ったタイがスタートしていく。

 

 誰かを乗せる、そういうカートもあるのか。

 僕だったら誰を乗せるかな?


【SIDEOUT】  

まあ、全部、「魔法で対応大丈夫」って事も出来るんですけどね

中途半端にカートについては凝ってみました

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