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婦人警官は突然に(終)

薄くたなびいている煙。所長室は吹き飛んで見る影も無くなって。まだ火薬の匂いが立ち込めている。


「はす向かいの5階空きテナントから直です。」


「了解。派手にやるわねー。」


目線が不意にちらっとそれて小首を傾げる。


「じゃ、こっちよろしく。」


青年は軽く頷いて。


「了解。」


「いっくよー。」


「ってどっから行くつもりですかっ。」


そのまま所長室の窓ガラスをぶち破り飛び降りていった。


「あーあ。あいかわらずワイルドな人だ…」


「な、なんだ?今の音は?」


「私の計算が間違っていたのか?」


「いえ、きちんと正しかったと思いますよ。」


「服こそぼろぼろですらあれ、無事なんですから、所長さん。」


「なっ、私はいきなり部屋が爆破されたから。」


「爆破ですか。本当に?」


「あ、ああ、好きなだけ確かめていいぞ。」


「私は何もしらん。」


ふと青年は調べていた顔を上げて呟く。


「そういえば…なんで物語とかの犯人って都合悪くなるとしらないって言い出すんでしょうかね?」


「私が何をしらないのかもしらないくせに。」


「っ…」


「あぁ、今度は黙秘権ですか。いいですよねぇ、犯人様にはそういう色々な弁護手段があって。」


「あれ?それでも黙り続けるとキャラが薄くなるというか幸も薄くなって髪の毛すら…」


「それくらいにしといたら?」


「あ、あぁいまお帰りで。」


「うん、結局スカ。ま、陽動になったからいいっちゃいいし、窓ぶち破ってつっこんだのはさいっこーに気持ちよかったからいい。あ、一応全部キープして抑えてあるわ。」


んーっと伸びをして。


「でも、あんまりいじめるとかわいそうよ?所長さん。」


「中年のトラウマとか、ウツとかリストラとか大変だからねぇ。妻子もちは。」


家庭環境まで調べていやがった…


「あぁ、まだ所長でしたね。」


「で?いつ所長でなくなるんですか?」


「もうすぐ辞令降りると思うのですけれど。カウントダウンかけてみましょうか?楽しいですよ~。」


「少なくなっていく数字たち。あぁ、そうだ口座のほうもきっちり差し押さえ入ってますから。迂闊に手出すとバレちゃいますよー?」


「うわー、極悪。あんたのほうが悪人だわ。」


「公共物破損な人間に言われたくないですね。」


「まぁ、そういうわけなんですけども、あんまり犯人ぽくなるまえに落ちたほうがいいと思いますよ?」


「私は、私は騙されていただけなんだ。そう、脅迫されていたんだ。」


「あーぁ見苦しい言い訳始めたんですけど。」


「復職の道は閉ざされましたね。」


「一応聞いたげる、騙されてるとか脅迫ってのは誰かいないとできないの。自分で自分騙してんのは自己暗示っていうのよ?」


「あんたにツッコまれたら終わりですよね、人生。」


「まぁ、今なら、そうね。地獄の果てまで航海に連れて行ってくれれば許してあげなくもないわ。」


「諦めて下さい。それって捕まるより、どんな賠償よりツライですから。」


「てか根に持ってたんですか?」


「あーっ?と本部とコンタクト。」


「チーフより撤収、だそうです。」


「あーあつまんなかったなぁーもーっちょっと豪快に破壊してくれれば暴れられたのに。

また遊びにくるかもね!ローズ☆彡」


「そうですね、落としがいが無くてこちらも残念でした。」


「あ、微妙に笑ってる。」


「まぁ、めでたしめでたしってことで。」


「いいことしたあとってお腹がすくよね?」


「そりゃビルの三階から飛び下りればお腹も、」


「すくか?」


「ちょっと常人じゃないからなんとも答えられませんね、対象者が。」


「まぁ、抹茶パフェとスフレチーズケーキと白玉パフェとショートケーキとイチゴパフェとバナナショコラと・・・。」


「最初の二つだけにしてください。」


「あ、譲歩した。」


「なかなか見所あるよ、ひみ。」


「スプーンくわえながら喋らない。」


「ってなんでこんなことしてんでしょう。僕。」


「んーー、ご褒美?食べる?一緒に?」


「寧ろ罰ですね、それ。」


「もー今度からきりきり働いてくださいよね。今回のは楽だったからいいけれど、あれがもし、」


「もふー、はたらひまふほも!」


「だから!!!」

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