表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〜異世界に降りた自衛官、リアルも異世界も救う〜  作者: レノスク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

第15.5章 「逃走者の末路」

地下神殿の崩落から、三日が経っていた。

蒼真たちは警戒を解かず、周辺一帯の索敵を続けていた。

敵の統率核は破壊した。だが、逃走した個体――かつて“魔王”を名乗っていた男だけは、確認できていない。

「生存率は低いと思うがな」

斎藤准尉の言葉に、蒼真は頷いた。

転移は未完成。

座標も固定されていない。

あの状態での逃走は、脱出というより事故に近い。

それでも、確認は必要だった。

「……反応あり」

索敵役の隊員が声を落とす。

魔力反応は弱い。

敵性反応もない。

蒼真は銃を構えたまま、慎重に近づいた。

そこにあったのは――

情けない光景だった。

岩壁と樹木の間に、男が挟まっていた。

正確には、**転移に失敗し、半端な位置で“落ちてきた”**らしい。

身体は無理な角度でねじれ、装備も衣服も引き裂かれている。

致命傷は、戦闘によるものではなかった。

「……滑落、圧死、失血。どれだ」

「全部だな」

誰かが小さく言った。

魔力反応は、完全に枯渇している。

術式の痕跡もない。

蒼真はしゃがみ込み、男の顔を見た。

そこにあったのは、

征服者の顔ではなかった。

恐怖。

混乱。

そして、理解できない現実に対する拒絶。

「……蛇口を失った人間の末路か」

蒼真はそう結論づけた。

力を失った途端、

この世界で生き抜く術も、判断力も、何も残っていなかった。

魔法に頼り、

世界を支配した気になり、

自分を“特別”だと信じた結果が、これだ。

「……あっけないな」

誰かが呟いた。

英雄の最期ではない。

宿敵の終焉でもない。

ただの、事故死。

蒼真は立ち上がり、背を向けた。

「記録だけ取れ。埋葬は不要だ」

冷たい言葉だったが、事実だった。

これは処刑でも、勝利宣言でもない。

戦争の後始末だ。

彼らは兵士であり、

やるべき仕事を終えただけ。

蒼真は歩きながら、思った。

――強さとは、力の量じゃない。

――力を失っても立てるかどうかだ。

あの男は、立てなかった。

それだけの話だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ