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〜異世界に降りた自衛官、リアルも異世界も救う〜  作者: レノスク


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12/22

第12章「分断の島」

発表は、唐突だった。

 政府は当初、「原因不明の大規模災害対応」としてきた佐渡ヶ島周辺の事案について、限定的な情報公開に踏み切った。

 理由は単純だ。

 もはや、隠し切れなくなった。

 夜間に撮影された複数の映像。

 海面が歪む様子。

 沿岸に現れ、銃撃を受ける異形の存在。

 それらはSNSを通じ、瞬く間に拡散した。

「フェイクだ」

「軍の新兵器実験だ」

「いや、本物だ。異世界から来たんだ」

 意見は割れ、感情が先行した。

 政府の会見は、火に油を注いだ。

「現時点で、国家安全保障上の重大な脅威が存在する可能性は否定できません」

 その一文が、世界を揺らした。

 海外メディアは即座に反応する。

『日本海に未知の存在』

『異世界接触か』

『新たな脅威の出現』

 日本国内でも、世論は二分された。

「自衛隊は何を隠している」

「なぜ佐渡を封鎖した」

「島民を危険に晒すな」

 一方で、

「国を守るために必要だ」

「情報を出せば混乱する」

「今は信じるしかない」

 政治は、鈍った。

 国会では追及が続き、

 内閣支持率は急落。

 地方自治体からも、佐渡封鎖への異議が噴出した。

 そして、最悪の判断が下される。

「……一時的に、部隊を縮小します」

 “緊張緩和”という名目。

 国際社会への配慮。

 国内世論への妥協。

 佐渡ヶ島から、一部の部隊が引き上げられた。

 その夜だった。

 沿岸監視システムが、同時に沈黙した。

「……通信、切断」

 地下指揮所で、警報が鳴る。

「電源系統が外部から破壊されています」

 それは、偶然ではない。

 空間が裂けた。

 前回よりも安定した歪み。

 場所は、同じ沿岸部。

 今度は――数が違った。

 異形の群れ。

 統率された動き。

 そして、その後方。

「……人影、確認」

 人間だった。

 黒衣の男。

 魔力をまとい、歪みの中心に立つ。

「ここが、“向こう側”か」

 静かな声。

 迎撃に残っていた部隊は、必死に応戦した。

 だが、数と準備が違った。

 魔法による妨害。

 通信の遮断。

 補給の断絶。

 数時間後――

「……佐渡、制圧された」

 その報告が、防衛省に届いた。

 正式には、

 「一時的に統制不能状態」。

 だが、現実は明確だった。

 敵は、日本の領土を踏んだ。

 世界は震えた。

 国連は緊急会合を招集。

 各国は、日本に説明を求めた。

「なぜ日本なのか」

「これは地球全体の問題だ」

 日本は、答えを持たない。

 一方、異世界。

 蒼真は、遠く離れた場所で膝をついた。

 胸の奥に、重い感覚が走る。

「……佐渡が、落ちた」

 確信だった。

 エリシアが顔を青くする。

「人々は……」

「生きている。だが、戦場になった」

 蒼真は立ち上がる。

 これ以上、傍観はできない。

 世界が分断された結果、

 境界は破られた。

 敵は証明したのだ。

 人間の迷いこそが、最大の武器だと。

「……取り戻す」

 それは、命令でも義務でもない。

 一人の兵士としての、決意だった。

 佐渡ヶ島は、

 もはや島ではない。

 世界の運命を分ける前線になった。

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