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【02 ことば探偵】

・【02 ことば探偵】


「という事件を解決したこともあるんだぜー!」

「すげぇ!」

「ことば探偵さすがじゃん!」

「正太郎! 休み時間は一緒にドッヂボールしようぜ!」

 ……すげぇ馴染んでる上に、人気がヤバイ……。

 正太郎が転校してきてからもう三日間が経過していた。

 転校生という流行は、正太郎となって一般的に定着してしまった。

 でもあんなヤツ、言ってるだけじゃん……本当に”ことば”だけじゃん……こっちでの実績は全然なくせに……って!

 僻んでちゃカッコ悪い! というか全然僻んでないし! ちょっと今日は私の体調が悪いだけだし!

 私は男子たちのほうを小さく睨み、机にもたれながら、ジメッと座っていた。

「実際正太郎はさ、話しやすくていいよ。今後はいろいろことば探偵に任せようかな」

「おう! 何でも俺を頼ってくれて構わないぜ!」

 そう言いながら正太郎は胸を叩いた。

 何だよ胸を叩くというアクション。

 ゴリラか。ゴリラ探偵じゃん、絶対に。

 そんなことを思いながら、男子たちの話を小耳に挟んでいると、

「だってさぁ、鈴香ってちょっと尖がっているというかさ、偉そうなところあるからなぁ」

 ……わっ! 悪口だ! 私、悪口言われている!

 そんな……頑張って築き上げた城が壊れることってありますぅ?

 もう泣きそう……と思いながら、机にアゴを付けて、だらりと、かつ、ヌルヌルしていると、

「そういう言い方は違うと思うぜ」

 と正太郎が言い始めた。

「その鈴香がどういうヤツかは実際まだ俺は分からないけども、少なくてもこの二週間一緒に生活して何もおかしなところも無いし、そうやって悪く言うのは違うと思うぜ」

 そう言われた、私の悪口を言ったキャムラはその場で口ごもり、ゴメンと呟いた。

 それに対して正太郎は、

「言うのは俺に対してじゃないけどなっ、まあ聞こえていなかっただろうからいいけどさ」

 と、いつもの馬鹿そうな声ではなくて、真剣そうな声で正太郎は言った。

 何それ。

 聞こえていたし。

 でも、何か、正太郎って、そんなに馬鹿なヤツじゃない?

 まあ、まあなぁ……きっと私はこういうこと言うから尖っているとか言われるんだろうなぁ。

 私は立ち上がって、正太郎たちのほうへ、ツカツカと近寄り、

「キャムラ! 聞こえてるからな!」

 と言うと、キャムラはものすごい速度で頭を下げながら、

「いやゴメン! 何かホント! ゴメン!」

 という少なすぎる語彙で謝ってきたので、これ以上キャムラに何か言ってもしょうがないか、と思って溜息をつくと、正太郎がこっちを見て、

「元気があって良かった。そのまま落ち込まれたら俺も気分が悪かったよ」

 と言ってニッコリ微笑んだ。

 その顔がとても優しくて、何か、何か……変だった……。

 そしてこの日の放課後、正太郎が来てから最初の事件がやって来たのであった。


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