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2脱出


ゴミの中に、いや…食べ物の中に、古びたナイフのような鉄の欠片が入っていた。

これで縄を切れる。

頭がいい。

僕は、なんでこんなことを思いつけるんだろう。


お母さんにナイフのかけらを見せると驚いていた。

僕は、何故かやり方を知っていた。一生けんめいこすったけど、縄は固くて頑丈で全然切れなかった。


その時だった。

僕はお母さんに頭を撫でられた。なんか…痺れるようになんか来た。


少し大きくなり、僕は洞窟の外にも出られるようになっていた。

言葉も大分わかるようになった。ゴブリンは教えられなくても言葉を覚えるみたいだ。とても便利だ。

あれ、僕はなにを言ってるんだろう?

隠していたナイフを見る。


『隠しておきなさい』

お母さんが言ってた。お母さんは、片言のゴブリン語しか話せない。身振り手振りで説明してくれた。

それでわかった。


『研いで。平らな石を見つけてこするの。一生けんめいにこするのよ。真っ直ぐにね』

こんな事を言っていたと思った。


僕はお母さんに言われたように平らな石を見つけて、サビサビのナイフを研いでみた。


僕はやり方がすぐに分かった。砥石も良いものが選べた。


きれいな銀色にはならなかったけど、少しずつ刃先が尖った

僕は、お母さんの縄を切りに行った。


お母さんの縄が切れた。でも完全に切るのに二日かかった。お母さんは僕を抱きしめてくれた。

僕はなんか痺れた。


お母さんはすぐには逃げなかった。縄をいじくって何かしてる。

僕は、大分考えられるようになっていた。

お母さんは縄で結ばれてるふりをしてるんだ。

僕に朝に来てという。


朝は仲間が少ない。みんな寝ている。その時一緒に逃げようと言うんだろう。

いつもは少ししか食べない食べ物を、その日お母さんはたくさん食べていた。

僕と目が合うと笑ってくれる。

嬉しい。


僕は準備した。お母さんは裸足だ。ずっと歩いてないし歩けないだろう。


僕は他の子と違って知らない言葉を知っている。それに考えられる。布を拾って集めた。

僕はなんて賢いんだろう。


朝迎えにいくとお母さんは素敵な笑顔をくれた。

また痺れた。なんかふんわりする。


縄を捨てて、洞窟の外までお母さんの手を引いて行った。

お母さんはお日様が眩しいみたいで、なかなか外に出られなかった。

お母さんと歩いて遠くまで行った。


枯葉を踏んで、岩を登って森の中を歩いた。

お母さんの足が痛くなった。


僕は忘れていたことを思い出した。バカだった。あまり賢くない。

布をお母さんの足に巻いてひもでしばってあげた。


お母さん僕を抱きしめてくれた。ぎゅっとぎゅうっと抱きしめてくれた。

痺れた。痺れたよ。気が遠くなるくらい痺れたよ。

なんか涙が出た。


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