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16、事後処理と雛の囀り

 

「お帰り、一日ちゃん」

「ただいま、歌成ちゃん」

 一日は無傷の様だ。シャツに所々の赤が在るのは返り血だろう。

(刃物持ち込んでないのに返り血って事は……結構苦戦したのかな?)

 そんな事を思って。

「収容終わった? 一日ちゃん」

「うん、研究者で外に出る事を希望した奴と希望してない奴と検体と呼ばれていた少女達、あと衛生班みたいな人たちも。黒服の人たちが頑張ってるからデータの収集もあと数分だって」

「そっか、また、会社立ちあげないといけないのかな? 義肢だけなら幾つかの会社に分散すればいいけど……他の情報もあるだろうしなぁ――どう思う、一日ちゃん」

 技術が集まる。これはあくまでも副産物でしかないのだが。

 それでも無駄にする事はないし、有効利用している。

(――少女を食い物にする奴の利益になるのは癪だしね)

 そんなことを思いながら一日の意見を待つと。

「んー、そう言うこと専門じゃないからわかんないや、歌成ちゃん」

 わかんないかぁ。こういうところももっと相談できたら良いんだけどなぁ、良い子だし。と年上の少女に対して思う。

「僕も結構忙しいからね、有能な友達が欲しいなぁ……」

 思わず呟いていた、それに対して一日は少し悲しそうな目を向けてきた。

「あたしは駄目かな、歌成ちゃん」

 その声に簡単に場で絆されそうになってから一度息を吸う冷静になって。

「……一日ちゃんは、僕に出来ない事を出来る友達だしね。僕の代わりを一日ちゃんはできないし、一日ちゃんの代わりを僕は出来ない、そういうバランスでしょう?」

 説明すると一日は頬に手を当てた。

「――えと、バカだからわかんないや」

「えーと。お互いに一人一人の友達だからってこと」

 そういうと一日は嬉しそうな顔になった。

「くふふ」

 一日は……普段はこんな性格ではない様だが僕の前でだけこのようになる。

(甘えられているのだろうか?)

 分からないけれど直接聞くと気を遣われるかなぁと思いながら。

「で、良い子はいたかしら?」

「居たわよ、お手つきだけど」

「お手つき?」

「うん、うみちゃんって子。思い切りとか判断とか、見た目も勿論、でも好きな相手がいるみたいね」

「そっか。ま、そう言う事もあるよね」

 んー、と受けてから通信。

「――もしもーし、要望とかはでてるかな?」

『あ、はい。東という研究者の……えと、一緒に居る少女からご要望です、検体扱いの少女達を自分の望みとして自由に、と』

 うん、囚われの身だった子としては順当な要求だ。

「ん、了か……いや、ちょっと。その望みってもしかして、好きの内容は」

『はい、えっと、とりあえずその子は東研究員の身柄の保証と……えと、……』

「いいよ、言って」

『――戦う手段と、戦う場所をと。出来れば守るための戦いを、と』

「……そう」

 それはまた、奇矯な。

「あー、歌成ちゃん」

「え?」

 通信中に一日に話しかけられた。

「その子がうみちゃんよ、歌成ちゃん」

「え、面白かった子?」

「うん、東って研究員のお気に入りみたい」

「――それで?」

 言いたい事が分からないので促す。

「――戦う場所が欲しいなら、御鳥に誘うわ」

「いいの?」

 一日の実家である御鳥は戦闘系の一族だ。

 ただ、血縁を重視しないと言う事らしいので、養子も良くあるのだとか。実際に一日も養子だと言う事だ。

「代わりに東って研究員にある程度権利をあげてうみちゃんのバックアップをさせてあげてくれる? 出来れば他の検体の子達の分もできるように」

「――必要なのね」

「必要なのよ、歌成ちゃん」

 そうか、と受け入れる。

「お待たせ、それじゃあ、皆にご要望を聞いてあげて……あと、話は聞いてた?」

『ご要望はまとめておきます、あとは東研究員に必要な物を聞いておけばいいですね』

「うん、僕、優秀な子は好きだよ――んじゃあ、頑張って」

 

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