14、地下室に吹く風と外への誘い
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「やるわねぇ」
雛子とぶつかりとばされた私の身は受け止められた。
私を受け止めたのは長身の女だ。スーツを着ている研究所ではあまり見ない格好の女性。
「だれ、ですか?」
「んー、気にしなくていいわよ、えっと、うみちゃん」
名前を呼ばれた、多分さっきの放送の前から訓練室の中に居たのだろう。気付かなかったのは……。
「存在感無いですか?」
「――ひどい事言うわねぇ、うみちゃん」
「えっと」
「あぁ、そうそう、分かりやすく言うなら侵入者という奴ね。この建物の中の少女を救いに来たのよ」
そういって、長身女性は私を抱きかかえた。
鉄パイプを投げ捨てて。
「とりあえず、東って書いてあった研究所以外の大人は気絶か拘束してるから、好きにしたらいいわ」
好きに……自由に。
この人は。
(あーに似てる、のかな?)
「あ、あの」
といった私の視線をその女性は読む。
読んで――倒れている雛子を見る。
「大丈夫よ、あの子も保護して……とりあえず外に運ぶけど。やっぱり、その後どうするのかはその子次第ね」
そんで、といって女性はスピーカーを見る。
「そっちに行くからちょっと待ってなさい」
そういった。
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どこかに電話をして黒服の人を呼んだ女性は自分を一日姉様と呼べと言った。そして、
「一日姉様……どこに」
「決まってるでしょう? 東さん家よ」
私は足が壊れて自力で歩けなくなっていて一日姉様に肩を貸して貰っている。一日姉様は途中の道で鉄パイプを拾った、さっきのは血で汚たから捨てたらしい。
「~♪」
楽しそうだ。
「……えっと」
と思ったらわからなくなったらしい。ぐるぐると周りを見回す。
「――迷いましたか?」
「迷いましたね」
駄目な人かもしれない。
「――あっちです」
「うんうん、ナビよろしく~、~♪」
ハミングをしながら歩く一日姉様。
周りの風景はかつての様に綺麗な物ではなくぼろぼろに崩れている。
その中を散歩するように歩いている。
「おっ、見覚えがある扉。ここで合ってる?」
聞かれた。けれど。
「なんで、半壊してるんですか?」
何度も打撃を加えられた後がある。凹みと血の痕。
「あ、開けようと思ったから」
……文明人だろうかこの人。
「お、開くようになってんねぇ」
スライドして扉を開ける。
――がだん!
と凹みが収納部に当たって止まった。
「――あー」
「ま、入れるよね」
一日姉様は力ずくでガリガリと扉を開いて約一メートルの隙間を空ける。
「んー、あ、こっちは実験室か」
更に奥に進んで。扉、こちらは壊れていない。
ノックして。
「おじゃましまーす♪」
開いた。
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「どっちが協力者でどっちがここの研究者かな?」
一日姉様はあーと谷に詰め寄った。
「あー!!」
詰め寄られた二人、谷はあーに銃を突きつけている。
大丈夫、と掌で制される。
(大丈夫、なの?)
「ん~、見た目でいうと、そっちが協力者?」
あーのほうを指さす一日姉様。
「――うみちゃん、どっちがあなたの保護者?」
聞かれた。
「えっと、突きつけられてる方です」
「そっか」
頷いて、かくん、と揺れが来る。
一日姉様が腕を振ったようだ。
その結果は。
――かしゃん。
谷の手にしていた銃が地面を滑る。
鉄パイプを振るったらしい。
「ま、とりあえず。暴力はだめだよね会話しようよ」
――鉄パイプを血振するように振るいながらいう言葉じゃない。
「どっちでもいいけどさ、まぁ、一緒に外にでる?」
軽く誘う言葉で一日姉様は言う。
――けれど。
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