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理不尽な話
男は何もしようとしなかった
ただ、傍観を決め込んだ
例え、今
この世界が消え去ったとしても
男は死ぬその時まで、そうしているだろう
少し前の事だ
男は復讐を考えていた
自分の家族、友人、恋人…全てを奪った者への復讐だ
男は許せなかった
自分から全てを奪いながら、そのモノは幸福に過ごしていた
罪など感じていないように見えた
それどころか、男を見ると
まるで、汚らわしい物でも見るような目をして、
男を侮辱する
だから、男は
復讐を決意した
しかし、復讐は成し遂げられはしなかった
そのモノに復讐を遂げるには男の力は足りなかった
やがて、男は考える事をやめた
その時、男の魂は死んだ